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このブログは、
弁護士としての立場ではなく、
予備校講師の立場で書いています、
とコメントをしたばかりですが、
今日は、久しぶりに弁護士会の研修に出て、
非常に有意義な話を聞いたので、
紹介をします。
愛知県弁護士会の瀧 康暢先生
による研修でした。
この方は、平成6年に弁護士登録をされ、
以後、多重債務者問題を中心に
取り組まれてきた方です。
クレサラ問題では、愛知県のみならず、
全国でも随一の経験と知識を持っている方です。
研修そのものの内容も濃かったのですが、
話の途中で雑談っぽく話されている、
過払い金返還を大量処理することへの
先生なりのコメントが、
偏見のない、公平なものであったことに
感銘を受けました。
つい先ごろ、武富士が会社更生法を申請しました。
昨年ころから、武富士は、
過払い金返還訴訟の和解において、
「支払を翌年の夏以降にして欲しい」
という申立てをすることが多かったそうですが、
会社更生法の適用によって、
武富士が負担する債務は大幅にカットされるので、
過払い金返還についても、9割以上が減額されてしまうだろう、
と言われています。
貸金業者の業績が悪化する中、
会社更生法や廃業・事業譲渡へどのように対抗するか
が研修のテーマでした。
研修のテーマそのものの紹介の前に、
過払い事件を大量処理する事務所の行動様式について
先生が話された現状をまず紹介します。
最近(今年の2月頃)、東京地方裁判所は
破産事件の受付の運用方針を変更しました。
従来は、債務者の居住地にかかわらず、
破産事件の申立てを受理していましたが、
2月以降、東京都以外では、千葉・神奈川・埼玉の
1都3県に居住する債務者についてのみ、
受付をするようになったそうです。
ネットで見る限り、この変更は何ら公示されていません。
ただ、研修の中でも、この話題は出ていましたし、
そもそも、原則ルールとしては、
東京都に居住する人だけが東京地裁の管轄、
となっているので、
従来の運用の方が例外であり、
今回の変更は、原則に戻しただけ、ということのようです。
さて、広告等で借金整理・過払い金回収の事件を
大量に集める事務所が
地方での出張法律相談を行なう場合、
以下のような問題が起きているそうです。
多重債務者が相談に来た場合、
借り入れ・返済履歴をヒアリングした上で、
過払い金が発生しそうな業者の分だけを
「つまみ食い」して受任し、
その一方で、他の業者からの借り入れで
残債務が残りそうな案件は放置し、
債務者(依頼者)から問い合わせがあった場合には
法テラスの相談窓口を知らせ、
そちらで相談するように誘導してしまう、という問題です。
東京地裁が全国の破産事件を受任していた頃は、
東京に本拠がある大規模事務所が、
地方の法律相談で獲得した債務者について
過払いだけでなく破産事件も担当する、
ということがあったようですが、
東京地裁の運用ルール変更後は、
地方における「過払い金のつまみ食い」
「破産事件の法テラス送付」
がより目立つようになった、
との話を瀧先生はされていました。
通常、この話の流れだと、
大量処理できて、かつ、実入りが多い
過払い事件だけを選び出すという手法は、
債務者の真の救済を考えていないものである
という批判へ発展するところですが、
今回の瀧先生の研修は、
東京・大阪の「過払いバブル事務所」の
このような行動様式を前提とした上で、
そのような事務所から「見捨てられる存在」であった、
残債務が残ってしまう人が、実は「金の卵」になり得るよ
という回収方法を提示する内容でした。
研修の狙いは、
大量処理を旨とする事務所に対して、
多重債務問題に取り組む弁護士、という同じ土俵に
立ちましょう、という呼びかけをする、
というところにあったのです。
現在、過払い金返還請求の回収
が困難となっている最大の理由は、
判決が出ても業者が払おうとせず、
預金口座を差し押さえようにも、
差押が競合してしまって、実質的には回収できず、
和解の席では、ずっと先の支払期限が提示される、
という「開き直り」が横行しているためです。
そこで、瀧先生は、過払い金の回収手段として、
当該貸金業者からの借り入れが未だ
残っている人(債務者B、とします)に対して、
依頼者(債務者A、とします)が有している
過払い金返還請求権を譲渡し、
Bが業者に対して負っている貸金返還債務と、
譲り受けた過払い金債権とを相殺する
というスキームを提唱します。
債権を回収するためには、
債務者が持っている確実な財産を
狙い撃ちすることが重要ですが、
貸金業者にとっての「確実な財産」は、
貸金返還請求であり、
この観点からは、残債務が残ってしまう債務者は、
貸金業者に対してお金を返済しようとしている点で
「確実な(有望な)財産」である、ということになります。
相殺そのものは対当額で行ないますが、
Bが実際に支払うのは、
AB間で債権譲渡の対価として定められた金額
でよいので、以下のように設定すれば、
Bにとっては残債務の一部減額をしてもらったことと
同じ効果が生まれ、AにもBにもメリットがあります。
例:Aは100万円の過払い金返還請求権を有している。
Bは貸金業者からの借り入れが30万円残っている。
↓
Aは、100万円のうち、30万円分をBへ債権譲渡する。
この譲渡の対価は、25万円とする
(代金の支払時期は、Bに譲歩するのであれば、
Bから業者への相殺通知後、一定期間経過後、とする)。
↓
AB間で譲渡契約締結後、Aは業者に対して
「譲渡の通知(確定日付ある通知)」を行なう。
その後、Bは業者に対して、Aから300万円の債権を
譲り受けたので、対当額で相殺する旨、通知する。
(この相殺によって、Bの債務は全額消滅する。
すなわち、25万円支払えば30万円の借金が消える)。
実際上、過払い金返還請求の金額の方が
残債務よりも大きいので、
1人の過払い金を全額(に近いだけ)回収するには、
複数人の残債務を負う人を見つけてくる必要があります。
↑
残債務の計算においても、引き直し計算は
必ず行なうので、額面の債務が大きくても、
実際の債務残額は50万円を超えることは珍しいので。
このように考えると、
残債務を負う債務者を多く抱えているであろう
大量処理の事務所こそ、
このスキームを回すには有利、
ということになります。
ただし、瀧先生は、このスキームの
【使用上の注意】として以下のように述べています。
このスキームは、あくまで「多重債務者の救済と
生活再建」のために利用し、
ボロ儲けするために利用することは厳に慎みましょう。
万一、道を踏み外した目的をもって利用する場合、
貸金業者からは正面から、依頼者からは背面から、
斬りつけられて、弁護士資格を失うことにも
なりかねませんのでご注意ください。
詳しく解説しようとすると、
弁護士倫理(職務基本規程)の
「利益相反」の理解が必要となりますが、
要は、このスキームの場合、
債権譲渡の譲渡人・譲受人の両方に
1人(ないし1法人)の弁護士が関与することになるので、
利益相反の問題が発生しやすくなります。
また、「債権譲渡と相殺」というテクニカルな手段であるので、
弁護士や司法書士を介さずに、
債務者(上記のAやB)本人と直接、
このスキームを使った場合、後になって、
一方当事者から「損をした」と言われる恐れもあります。
瀧先生も強調されていましたが、
大量処理そのものが悪なのではなく、
「多重債務者の救済・生活再建」という志を
もって活動をして欲しい、
というメッセージが研修の所々で散りばめられており、
この点に深く感銘を受けました。
今回の話は法律論を正面から扱っていますが、
最近は、昔の受講生の方で
このブログを読んでくれている方もいるようなので、
民法の復習として読み解いてもらえれば、と思います。
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法律系資格
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もう2日が経ってしまいましたが、
24日、司法研修所の卒業試験である、
いわゆる「二回試験」の合格発表がありました。
223人が受けた、とのことですが、
2008年の旧司法試験の最終合格者は144人。
この差は、主に、昨年11月の新司法修習
(2008年の新司法試験に合格し、その年の11月からの
修習に参加した人)のうち、二回試験に不合格だった人が
再試験として受験したのが75人いた、
とのことです。
新聞では、単純に、223人を分母として、
不合格者28人は、約12.6%に当たり、
不合格率が過去最高になった、
との報道をしていました。
この報道をはじめに聞いたときには、
08年の旧司法試験の難関
(受験者1万8203人に対して、合格者が144人なので、
合格率は0.79%。初めて1%を下回った)
を突破したはずなのに、
実はあまり優秀でなかったのか、
と疑ってしまいました。
しかし、しっかりと記事を読めば、
再試験だった75人のうち、
16人が再度不合格になった、
という情報が載っていました。
普通に、初回の二回試験にチャレンジした人だけを見れば、
148人の受験に対して、不合格は12人であり、
8.1%です(これでも、
2007年の新司合格者向け修習の
不合格率7.2%よりも高いので、結局、
過去最悪ではあるのですが)。
さて、この「二回試験」は、名前を聞くと、
2回しけ受験できない試験なのか、
と思ってしまいますが、
3回まで受験できることになっています。
今回の8月の発表で2回目の不合格となった人は、
最後のチャンスとして、
今年11月に実施される、新司合格者向け修習の二回試験
を受験できます。
最高裁によると、該当者の心情に配慮して、
3度目の不合格数は公表しない、とのことなので、
今年11月の二回試験(発表は12月)における
「本当の合格率」は判断しにくい状況になりそうです。
さて、話は変わりますが、
先月4日に実施された司法書士試験において、
正解肢が複数存在したり、正解肢がない問題
(いわゆる「没問」)が3問もあったことが、
先日、法務省から発表されました。
(詳しくはこちら)
法務省の発表が出たので、
今さら、文句を言っても仕方ないのですが、
午前の部・第7問は、
1又は3が正解、なのではなく、
「1が正解である」が正しいのでは?
と思ってしまいます。
当日の解答出しをした際にも
かなり迷った問題でした。
問題がまだ法務省から発表されていないので、
簡単に問題を説明すると、
いわゆる「解除と第三者」と呼ばれる事案で、
解除前と解除後を比較しつつ、
教授と学生が議論している中で、
学生の返答5つのうち、誤っているもの2つの
組み合わせを問う、というものです。
ウの肢は、「解除後の第三者を
545条1項但書の『第三者』
に該当する」と言っているので、
確実に誤りです。
そして、エとオの肢は解除の効果についての
間接効果説を前提とする考え方を
問うものですが、特に誤りはないと思います。
問題はアとイの肢です。
アの肢は、
「判例の立場で、Aが解除前の第三者Cに対して
登記なくして所有権を主張することができないのは
なぜですか。」と、
教授が質問しているのに対し、
「解除前の第三者については、
民法545条1項ただし書によって
解除の遡及効が制限されるからです。」
と返答していて、一見すると正しいように思えますが、
教授の質問は「第三者保護について
対抗要件としての登記が要求されること」
を前提としています。
(権利保護要件としての登記を
保護要件として要求する学説の立場からは、
Cが登記を備えるまでの間は、
Aは登記なくして所有権を対抗できるので)
とすると、単に遡及効の制限、
というだけでは、返答として不十分です。
遡及効の制限、というだけなら、
権利保護要件としての登記を
保護要件とする見解を導くことも可能だからです。
解除権者であるAについても、
所有権を主張するためには登記を必要とする、
という立場を説明するためには、
復帰的物権変動を観念すること
(二重譲渡類似の関係)の説明が必須です。
この点で、アは誤っていると思います。
これに対し、イの肢は、
「解除前に目的物を譲り受けていたCについて、
Cも、登記がなければ所有権をAに対して
主張することが出来ないのはなぜか」
という教授の質問に対して、
「判例の立場によれば、この場合も
解除の遡及効が制限され、
BからCとBからAへの二重譲渡類似の関係
になりますので、
いわゆる対抗要件として登記が必要となります。」
という返答をしています。
この肢が誤り、とする説明は、
解除前の第三者の事案で、
判例は、「BからCとBからAへの
二重譲渡類似の関係」
という言い方を使っていない。
だから、誤り。
という説明しかないのではないか、と思います。
しかし、判例は、
解除前の第三者保護についても
「対抗要件としての登記」を明確に要求しますし、
「対抗要件」である以上、
二重譲渡類似であることは、論理的必然だと思います。
そうなると、イの肢は正しく、
3(イウ)は正解にはならず、
1(アウ)が正解になるのではないか、と思うのです。
この「解除と登記」の論点は、
要件事実的に整理すると、
結局、解除前であっても、
対抗要件としての登記を、
A(解除権者)にも、C(第三者)にも
要求する考え方を採らないと、
うまく整理ができない、という点で
分かりにくい問題の1つです。
この手の論理操作問題を司法書士の試験で
課す意味があったのか、は非常に疑問です。
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昨日の記事とは、
「民法」というキーワードで
関連しますが、今日、19:30から
生講義としては水道橋本校で、
その他の校舎でも同時中継で、
不動産鑑定士試験の
論文試験の分析講義を行ないます。
⇒詳しくはこちら
もっとも、私の担当は、
民法だけで、20分ほどで終わりますが、
現在公開中の解答例に加えて、
問題への講評を掲載した冊子を
配布しますので、今年の本試験の手ごたえを
知りたい、という方には有益です。
いつも、直前の告知となってしまいますが、
東京近辺にお住まいの方は池袋本校へ、
その他の場所は、お近くのLEC各本校へ
お越しください。
所管の国土交通省のサイトでは、
問題文は公表されていませんが、
LECの解答速報では、
問題文も同時に掲載していますので、
法科大学院の既修者入試対策をしていて、
法科が発表している過去問は
だいたい解き終えてしまって、
何か良い練習問題(論文の問題)がないか
探している人にとっては最適だと思います。
予備試験でそのまま出題してもよいのでは、
と思えるくらい、ハイレベルです。
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昨日、入門講座の受講生(&高校生数名)を
連れて、東京地方裁判所へ、
裁判傍聴へ行ってきました。
裁判員裁判も何件かありましたが、
朝10時からずっと行われていたので、
午後から開廷する新件を見に行きました。
罪名が「電磁的公正証書原本不実記載
同供用」となっていたので、
不動産の登記簿を偽造した人かな、
と思っていましたが、
実際には、外国人の偽装結婚の事案でした。
法律を勉強した人にとって、
フィリピンパブ、と聞くと
共同正犯と過剰防衛の論点
(判例は、積極的加害意思を
有していた人については
侵害の「急迫性」を否定し、
積極的加害意思が無かった人にだけ
過剰防衛を成立させる、という
急迫性を相対的に捉えた)を
思い出す方が多いと思います。
昨日、傍聴した事件でも、
被告人となっていたのは、
フィリピンパブの経営者でした。
私も初めて知りましたが、
この手の外国人パブ・キャバレー
においては、2005年までは
興行ビザ(在留資格が「興行」)
で入国した人をホステスとして
使うことが多かったのが、
2006年の春から、審査が厳格化され、
興行ビザで普通の女性が入国することが
難しくなってしまい、
ホステスの確保のために、
日本人男性と婚姻させて、
「日本人配偶者」ビザを取得させる、という
偽装結婚が増えていったそうです。
この手の事件の場合、
直接の「被害者」と言えるのは、
市役所や区役所の戸籍係・住民係の担当者であり、
その担当者の調書が必ず必要で、
さらに、婚姻意思が無かったことの立証として、
婚姻届を提出した日本人男性と、
フィリピン人女性の双方からも調書を取ることが
必要なので、甲号証は44番まで出ていました。
追起訴分も含めて、3件の偽装結婚
(電磁的公正証書原本不実記載、同供用)
が起訴されていたので、
求刑は3年半、と重めでしたが、
保釈もされていましたし、
おそらく、執行猶予となるでしょう。
傍聴後、参加者の人たちに
解説をしましたが、
検察官も裁判官も(たまたま、両方とも女性でした)、
不法入国した女性たちの待遇の低さに
こだわって質問をしていましたが、
結局、この被告人がどれだけ儲けていたのか、
についての追及が甘かったです。
被告人質問の中で、
「興行ビザが厳格化される前は、
売上が年間で2400万円程度であった」
という供述を調書内でしている、
という話が検事から出たとき、
被告人からは「ビザの厳格化前は、
7000万円以上の売上だった。
厳格化された後の方が売上は下がった。」
という訂正の回答があり、
検事が、「じゃあ、なぜ調書には
2400万円と書かれているのか。
読み聞かせがあったのではないか」
と追及する場面がありました。
この食い違いに関する私の予想は、
10人のホステスを稼働させているのに、
1ヵ月の売上が200万円しかない、
という方が不自然(1日当たりで10万円に満たない)で、
調書では、
「ビザの厳格化前は、
(売上から経費を引いた)儲けが
2400万円程度であった。」
と答えていたのだと思います。
10人も稼働させていれば、
1人平均、1日で2万円くらいは稼ぐ気がしますし、
そうすれば、1日20万円。1ヵ月で600万円となって、
年間売り上げは7000万円を超えます。
当然、利益率は30%程度はあるでしょう。
ここら辺の感覚が、検事にも裁判官にも
欠けていたのはまずいな、と感じた次第です。
さて、昨日の傍聴ではありませんが、
以前、同じように受講生を連れて行った
傍聴で、興味深かった事件があったので、
クイズ形式で紹介して、
今日の記事は締めたいと思います。
以前に見た事件は、
クレジットカード詐欺の事案でした。
要は、他人名義のカードを店頭で提示して、
商品を購入した、という事案です。
被告人は若い男性で、25歳前後、といったところ。
被告人が、他人のカードを入手したのは、
ホテルに一緒に入って、相手がシャワーを
浴びている隙に、財布からカードを抜き出す、
という古典的なものでした。
さて、当然のことながら、被害者の供述調書が
証拠として提出されるわけですが、
その事件では、被害者の名前が仮名とされました。
また、弁護人曰く、
家族に情状証人をお願いしたが、
「ある事情」のために、被告人は
家族とは絶縁状態で、勘当されていた、
とのことでした。
この「ある事情」は、被害者が仮名であった理由と
同じなのですが、それは何でしょうか?
以前、このクイズを、
研修所の同期の法曹メンバーが
入っているメーリングリストに
投げたことがありますが、
正解は1人しか返ってこなかったので、
かなりの難問かもしれませんが、
ヒントも入れたので、ぜひ考えてみてください。
時々、こういう事件にも当たれることが、
裁判傍聴の楽しみかもしれませんね。
マイブームとして裁判傍聴をしている人もいるようです。
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ご存知のように、司法書士は
午前と午後に試験が分かれています。
午前は2時間、午後は3時間の試験で、
午後は、択一だけでなく、書式も
解かなければいけないので、
時間配分が勝負となります。
これに対し、午前は、
憲法・刑法各3問、
商法(主に会社法)が8問、
民法が21問、の計35問で
2時間なので、
1問3分半平均で解けばよく、
比較的時間に余裕があります。
最近は、午前の基準点
(この点数を下回ると、
午後の択一や書式がどれだけ
出来ていても不合格になってしまう)
が、平成20年は84点(28問)、
平成21年は87点(29問)、
と非常に高くなっています。
⇒平成21年の試験結果はこちら
8割取れないと、足切りされる試験
というのは異常な状況だとも思います。
今年の問題を見ると、
出題レベルを上げることによって、
基準点を下げようとする意図を
感じます。
例えば、憲法は3問しか出ないので、
人権が2問、統治が1問となるのですが、
昨年の統治は
裁判所の規則制定権と
法律との関係に関する学説の対立
が出題され、これも司法書士受験生にとっては
かなりマイナーでしたが、
今年は、地方自治、という
そもそも勉強すらしていない分野で、
「地方公共団体」の意義に関する
判例の見解や、条例制定権の根拠など
いわゆる「論点」が聞かれており、
憲法にあまり時間をかけていない
一般的な受験生にとっては
捨て問となったのではないか、と思います。
民法でも、昨年は全く無かった
個数問題が3問も出題され、
しかも、出題範囲が
占有、根抵当権、養子(親子)といった
若干マイナーな分野であったので、
これも捨て問にしてしまった方が
多かったことでしょう。
全般的に、民法は
現場で考えさせる問題が増えたな、
という印象があります。
抵当権の順位の譲渡・放棄をした場合の
配当額の計算をさせたり、
転質に関する学説の根拠・帰結を聞いたり、
解除と登記に関して、判例の考え方と
間接効果説に立った場合の解釈を聞いたり、
といった「旧司法試験」的な問題が
出題されています。
民法について、このような新傾向の問題に
どのように対応するか、が
今後の司法書士の合格のポイントだと思います。
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