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「哲学」について2冊

今日、ある業者(アプリ開発系のベンチャー)と
会っていたら、その経営者が、
「最近、哲学を勉強しているんです。」と言い始めて
紹介してきたのが『哲学用語図鑑』。
その後、本屋で平積みになっていたので、
手に取ってみると、
TBSラジオLifeでもお馴染み
斉藤哲也氏が編集者になっていて、
パラパラと見てみました(購入はアマゾンで)。

ピプトグラム(トイレの男女のマークのような感じ)の
イラストで、難解な哲学用語を直感的に理解させる
というコンセプトは面白いとは思いますが、
かなりアバウトに作られているので、
<ビジネスにも交渉にも役立つ、
教養としての哲学思考>
とまで言ってよいか、は疑問です。
脱構築とか、パノプティコンとかをビジネスで
使う場面があるとはあまり考えにくいです。

LECは、普通の会社よりは法律や経済の用語
が飛び交う、文系教養チックな会話があり得る会社ですが、
ポストモダンとか、構造主義、といった話よりも
法哲学を踏まえた議論の方が大事です。

その意味では、タイトルは若干ふざけていますが、
『リベラルのことは嫌いでも
リベラリズムは嫌いにならないでください
〜井上達夫の法哲学入門』はお薦めです。

このタイトルの元ネタになったのは
「私のことは嫌いでも
AKBのことは嫌いにならないでください」ですが、
ある主義主張を唱えている人がいい加減であるからと言って
その主義主張そのものを否定しないで、
という趣旨になるので、一応、合っています。

冒頭では、正義論で有名なロールズについて
前期と後期に分けて、特に
後期の「政治的リベラリズム」を厳しく批判しています。
そのほかにも、憲法九条を巡って
修正主義的護憲派、原理主義的護憲派の双方を
批判したり、とバッサバッサ斬っていきます。

この本を要約するだけの能力は私には無いので、
ぜひ知っておいて欲しいキーワードを15個、並べておきます。
余裕がある方は、これらのキーワードを自分なりに
説明するメモ書きを作りつつ、本書を読んでもらうと
法哲学・初段くらいにはなれるかな、と思う今日この頃です。

1 リベラリズムの2つの歴史的起源=啓蒙と寛容

2 寛容のポジとネガ
  (ネガ=俺とお前は(歴史的・文化的に)違う、と棲み分けて
      批判は互いにしないぞ、聞かないぞ、という自閉的態度)

3 「反転可能性」テスト

4 宗教や個人道徳の問題はどうでもいい、とリベラリズムは考えているわけではない。
  政治権力が特定宗教を広めようとすると、宗教自体が腐敗していく。

5 「戦争を律する正義論」の4つのタイプ

6 安全保障の問題は通常の民主的討議の場で争われるべき、
 との立場からの九条削除論

7 徴兵制というシバリ

8 象徴天皇制=民主的奴隷制

9 論理実証(検証)主義 VS 「反証可能性」テスト

10 「善き生の構想」に対する正義の優位性
   =政治権力が「善き生の構想」を公定し、それに従って
    人々の生き方を統制する<卓越主義>を斥ける

11 昭和天皇が亡くなる直前の自粛現象
   =大衆民主主義の怖さ

12 お小遣い論争=リベラリズムと民主主義との緊張関係

13 悪法問題〜法の正義要求(主権者命令説の克服)、正当性と正統性

14 世界正義論〜正義をグローバル化できるか、国家体制の正統性、
           世界貧困問題、戦争の正義、世界統治構造

15 主権国家の必要性(人権と主権はセット、INGOの限界等)
Podcastで配信されている
バイリンガルニュースは興味深い内容
が多かったです。
最初は、カップルや結婚した夫婦が互いにキスをする、
という文化は人類普遍ではなく、
西欧以外の文明では、キスが必ずしも親密さの現れではない
という文化人類学っぽい話。

次は、子供がテレビで太ったキャラクター
(人間に限らず、擬人化された動物等でも)が
活躍している姿を見ると、その直後に食べる
スナック菓子の量が倍以上になる、というありがちな話。
最近は、テレビの影響力が落ちていると言われるが、
(人生経験の少ない)子供にとっては、
テレビの影響力は非常に大きい、という分析。

3番目は、中絶を経験した女性を3年にわたって
追跡調査した結果、
「中絶を決めた女性は、その後も後悔し続ける」
という俗説が否定された、という話。
「ヤバい経済学」(相撲における八百長の存在を
統計的に証明できる、と書いている本が
日本で普通に本棚に並んでいる事実は誇ってよい)
でも、全米で犯罪率が一気に低下した最大の要因は
厳罰化でも、割れ窓理論に代表されるような防犯体制でもなく、
中絶がタブー視されなくなったことで
経済的に無理な育児が行われなくなったことにある、
と主張していた話を思い出しました。
アメリカでは大統領選挙のたびに、中絶を容認するか否かが
大きな争点となるので、こういうリベラルな研究結果が
このタイミングで出るのは、ヒラリー陣営が何らか動いているのか
と勘繰ったりしています。

その他、2006年に打ち上げられた探査機が
9年以上(3000日以上)かけて冥王星に到着し、
鮮明な写真を送ってきた、という喜ばしいニュース。
「ニューホライズン」と聞くと英語の教科書を連想する世代もいるでしょうし、
YouTubeで「New Horizons」と検索すると、
EXILEの動画が出てきたりしますが、
New Horizons Pluto」と検索すると、
National Space Societyが投稿している動画がヒットします。

個人的にはBBCの
「New Horizons on course for Pluto flyby」がお薦めです。
(⇒リンク先はこちら


<イリーガル・エイリアン>
4光年以上も離れた星系から
地球を訪れた異星人が殺人容疑で
アメリカの陪審裁判を受ける
という無茶なストーリーですが、
宇宙人の視点でアメリカの司法制度の問題点を
描き出していく、という社会問題的な要素も含まれる
SFミステリーです。
長すぎるのが玉に瑕ですが、最後の50ページは
かなり盛り上がることを保証します。

<二十世紀の戦争と平和>
1986年(冷戦が終わる3、4年前)に初版が発刊され、
その後、2000年に出版された増補版。
ナポレオン戦争後のウィーン体制
ヨーロッパ的国際秩序)が、
第一次世界大戦によって崩れ去った後に
登場した3つの「平和」論(裏返しとしての戦争論)
が紹介されます。

1つ目は、国際連盟を提唱した
米国・ウィルソン大統領に代表される
「多国間の経済交流によって
世界平和が維持促進される」という考え方。

2つ目は、社会主義革命後のロシアが唱えた
「革命を外国へ広げるために
労働階級は戦争の継続に抵抗して
互いの殺し合いを止めるべき」という考え方。

最後の3つ目は、近衛文麿が提唱した
「現状維持を便利をする、巨大資本・天然資源を
独占している<持てる国>英米仏と、
領土が狭く資源に乏しく、人口も少ない
<持たざる国>日本(ドイツも)との間には
戦争の危機が常時ある」という考え方。

この3つを基本線としつつ、
現実の複雑な状況を読み解いています。
ノンフィクション(小説)とフィクションを1冊ずつ、
備忘録的にメモを書いておきます。
小説については、ネタバレしない範囲で。

<たとえ世界に背いても>
島田荘司氏が主催する
第7回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」
を受賞した作品。
自分の息子がイジメを受けた結果
自殺したことを知った母親が
バイオテロを起こす、という導入部は
湊かなえ『告白』と似ていますが、
結末で明かされる真の動機を読むと、
この小説が途中から
ボーイミーツガール、セカイ系に近い展開
になっていくことが納得できます。

<ビジネスマンのための「行動観察」入門>
顧客の隠れたニーズを発見し、
イノベーション、サービス産業の生産性向上
へつなげることが行動観察です。
本書には様々な具体例が入っています。
例えば、スーパー温泉において、
①ビールのポスターを貼る場所
②待合いコーナーの自販機の売上を伸ばすための配置
③風呂内に設置したテレビで流す番組
を考えてみてください。
明日(19日)の記事で答えを書きます。

最近、読んだ本

前回の記事で、「探偵の探偵」を取り上げましたが、
最近、ノンフィクションは昼の隙間時間で読める範囲で
つまみ食い的に読んで、
小説は夜に読みつつ眠りにつく、という
読書生活を送っていました。

その中でも、印象に残った本を紹介しておきます。

<ノンフィクション>
『まず教育論から変えよう』
 道徳教育、ゆとり教育、エリート教育、
キャリア教育、大学改革という
5つの教育論争を取り上げて、
学習指導要領や文部(科学)省の通達の変遷など
をまとめている本。
 提言としては抽象的なレベルに留まるものが多いが、
今までの議論を整理しておく本としては良書。


『映画で読み解く現代アメリカ オバマの時代』
 アメリカの最高裁が、同性婚の合法化を命じる判決
(同性婚を認めない州法は憲法違反である、との結論)を
出したことに象徴されるように、オバマ政権が2期続いた結果、
国内政治の方向は確実にリベラルになっている。
 他方、国際関係では、多極化・無極化といった状況が
ますます進行し、テロの脅威はそのままである。
 本書では多くの映画・ドラマが取り上げられているが、
①『リンカーン』では、(リベラル派が多い)ハリウッドが、
オバマ大統領に対して、強いリーダーシップを持て、という
応援メッセージが込められている、と解釈したり、

②『ビギンズ、ダークナイト、ライジング』の三部作が
説得力を持った理由として、ブッシュ政権時に、
対テロ戦争等で正義を振りかざしたり、最新技術を駆使した
監視・諜報を広範囲に行ったり、といった行為が
前面に出たために、現実世界がアメリカン・コミックの
スーパーヒーロー的世界観に近づいてしまった、
という時代観を見事に捉えていたから、と論じたり、

③『プラダを着た悪魔』が、ハリウッド映画流
シンデレラ・ストーリーの基本線
(もともと内面は美しい女性が、
外見も美しくうることで幸福になる)は守りつつも、
男性の占める比重が小さくなっていて、
物語の焦点が恋愛や結婚ではなく、
仕事を通しての自己実現、特に(女性)上司との関係が
重要視されている、という点が特徴

といった分析は興味深く読みました。

<小説>
『民王』
 こちらもTVドラマ化されるようですが、
小説そのものは短く、息子の就職活動面接のシーン以外は、
政治家のスキャンダルを巡る、マスコミや野党との対決、
といった話が中心になってしまうので、
全10回とか持たせるには、だいぶ脚色をつける
必要があるな、と感じます。
 昔、木村拓哉さんが総理大臣を演じた「CHANGE」というドラマがあり、
それなりに面白かったですが、
政局をTVドラマで扱うと、人間関係の複雑さが
過度に単純化されてしまうことが多いので、
これがドラマ化された時に、実際の政治への風刺という
この小説が持っていた特徴をどこまで維持できるか、は興味があります。

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