工具屋さん奮闘記

機械工具屋さんから電動工具屋さんへ、そりたけの日々徒然

機械加工技術

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 次のページ ]

そりたけです。

前回ご紹介した、バリ抑制事例

おさらいしますとバリ対策をするならば、出来る限りバリを小さくすることが大事だということ。
バリを小さく、バリ抑制してから、バリ取りを考えることが肝です。
そのためにバリの生成メカニズムをよく理解すること。

で、今回はバリ抑制事例、テクニックの続きをお話します。


↓ クリックにご協力ください!管理人の勉強資金にさせて頂きます ↓



溝形状変更によるバリ抑制


イメージ 1
参考文献:西技術士事務所 西嶢祐 日刊工業新聞社 機械加工現場診断シリーズ 旋削加工

上記はミッションギヤの油溝に出るバリについて。
旋削で加工するとどうしてもバリが大きく出てしまい、溝部のバリ取りは大変です。
主には真鍮ブラシなどでガシガシ当てて取りますが、その工程を短縮したのが上記の
方法です。

方法は単純ですが、溝角度を変えてバリの出にくい角度にしたもの。
これによりバリは最小化され、バリ取り工程は大幅に短縮・削減されました。

もちろん鍛造金型への負担も減るので、金型コストも大幅に削減することが出来ました。


旋削方向の変更によるバリ抑制


イメージ 2
参考文献:西技術士事務所 西嶢祐 日刊工業新聞社 機械加工現場診断シリーズ 旋削加工

前述と同じくこちらもミッションギヤですが、ダボ穴旋削時のバリ削減。
図の通り、通常は製品外側から内側に向かってツールパス,撚湛します。
当然、ダボ穴の外側部分は加工出口となるので大きなバリが発生、これもバリ取りは苦労します。

これをダボ穴の芯を中心に、ツールパス△肇帖璽襯僖広の旋削に分けます。
中心から内側への旋削と中心から外側への旋削にすることで『出口を無くす』という考え方です。

昔はこれでは逆挽き時の面粗度問題でNGでした。
最近ではチップの選択肢も多く、逆挽きでも面粗度が出る方法がたくさんあります。

技術が進んだからこそ出来る、アナログ技術といったところでしょうか。

この様に加工の出口を無くす、減らすというのはバリ抑制の基本であり、肝であります。


工具形状の変更によるバリ抑制

イメージ 3
参考文献:切削油技術研究会_自動化のための図解バリ取り技術_(株)工業調査会_1994_190p
メーカー:サイトウ製作所

最近流行の『バリが出にくいドリル』
なぜバリが出にくいのか、これもバリの生成メカニズムを理解するとわかります。

ドリル先端部が加工面に対して鈍角になるので、負の塑性域への影響が小さくなります。
そうすることでバリが小さくなるという考え方になります。

NACHIさんのアクアドリルでフラット型が出てきてますが、この原理ですね。

当然摩耗も通常より早くなり、工具費も上がってしまいますが、穴あけバリが少しでも
楽になるのなら、どれだけのバリ取りコスト削減になるでしょうか?

バリ取り工具を考えるのも大事ですが、バリが出にくい工具を考えるのも大事です。



ということで。

バリを出さない工具、工具パスを考えよ
それが出来なければ、差支えない方向に出せ
それがダメなら、取りやすいように出せ

みなさんが使っている工具は、本当に適正ですか?
バリが余計に出るような方法を行っていませんか?
加工出口の形状は?材質は?

バリ取り、バリ取りと焦っていると大事なことに目が行かなくなります。

製品や図面、工具、機械をよく見て考える事。

私は恩師、西先生からは"見る"だけでなく"観る"ことが大事と教わりました。
ただ見るのではなく、きちんと観察し考える事が大事です。

なぜバリが出るのか?バリを減らせないか?という癖を持ちましょう。


それでは次回はバリ取り方法についての記述に入っていきます。
お楽しみに!



【その他の技術情報はこちらでも見られます】



そして今回ご紹介したバリ取りについての内容ですが、下記の本に載ってます。
西先生の旋削に関する本で、旋削の現場のイロハがここにあります。
旋削概論から、現場の改善まで、必読ですね。


下記おすすめリンクから見られます。

この記事に

開く コメント(2)

開く トラックバック(0)

アジア市場の台頭により、国内のものづくりは「高度なもの」「特異なもの」「国内品質のもの」が
増えてくるようになりました。
航空産業や医療産業などがその主たるところですが、根幹には「特殊な材料」を用いるという
大きな特徴があります。
ステンレスやチタン、カーボンファイバーなどの特殊材料は「難削材」と呼ばれ、現場の技術者達を
悩ませながらも需要は増加しています。

ローレットの業界でもステンレスの加工やチタン加工が増えてきており「カッタの寿命が良くない」
という相談を受ける事が増えてきました。

探してた!あのメーカーのあの商品!
https://ad.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/gifbanner?sid=2722267&pid=882502043


ステンレスやチタンが工具寿命に及ぼす影響は主に「熱伝導率の低さ」にあり、熱放出が悪い為
加工点の熱が急激に上昇し、熱磨耗を促進させるというのが一番の原因です。
切削ローレット加工も断続切削ですので構成刃先こそ出来ませんが、加工熱は大きな振動と
ともに瞬時に発生します。
この加工熱をいかに減らすかが寿命延長の鍵となります。

●効率的な冷却

加工熱の冷却に一番良いのは、もちろん切削油を効率良く掛ける事です。
私が現場に行ってよく見かけるのは「加工点ばかりを狙っている」状況です。
確かに切粉が発生する切削ローレット加工では、加工点集中によって切粉の洗い流しを促進させる
事が大事な事ではありますが、カッタ自身の冷却は進まない為に寿命は落ちてしまいます。
材料によっては切粉がカッタにまとわりつく事で外観不良なども起こります。
一番効率が良いのはカッタ自体に勢い良くクーラントを掛ける事です。
写真は勢い良く出たクーラントがカッタを冷却している様子が良くわかります。

イメージ 1

QUICKナーリングツールではこのクーラントジェットを用いて効率良く冷却が出来ますが、もしも
他社製のホルダなどの場合には、自作ノズルなどでも代用出来ます。

●Z送りを上げる
一般的な切削理論と同じですが、旋削では送りを落とせば落とすほど同じ加工点の摩擦を
繰り返し、熱はどんどん上がってしまいます。
送りを上げていく事で、加工点の温度上昇を出来る限り抑えながら加工する事が大事です。
ただし、送りを上げすぎると「切削力が負けて目が浅くなる・目が曲がる」などの弊害も出るので
ワーク材質、ピッチなどにより適宜調節をして下さい。
どちらかというとピッチが細かい(小さい)ほど送りは上げられる傾向にあります。

●あまり尖らせない
X切込量を増やすほど、ローレット山は尖る傾向にあります。
ただし、その際に刃先に掛かる負荷は切込量の比例以上に大きくなります。
それを更に超えるとトップロールという現象が起こり、カッタの谷部分とワークの山部分が
接触してしまい、底滑りによって谷が広がったりします。

理想のカッタ切込量は尖らせない程度のローレット山です。
この状態を仕上がりとすることでカッタの異常な負荷を減らし、寿命を延ばす事が出来ます。
簡単な事ですが、これだけで寿命が3倍に延びたお客様も要るほど。
今一度、自社製品の「尖り」を見直してみてください。

探してた!あのメーカーのあの商品!
https://ad.jp.ap.valuecommerce.com/servlet/gifbanner?sid=2722267&pid=882502043



●カッタの角を面取りする
これは平目加工では無くクロス、ダイヤなどの綾目加工について言える事ですが、カッタ2個で
加工する際には旋盤の回転に対してネガ方向で当たるカッタとポジ方向で当たるカッタでは、
刃先に掛かる負荷が大きく違います。少し分かりにくいですが、正転加工でY軸−側のカッタが
それです。(QUICKホルダでは正転加工だとR側のカッタです)

イメージ 2

このカッタの角部分は瞬間的に力が掛かりやすい状況となっており、チッピングを起こしやすい
事から、面取りして角を落としてから加工する事をお奨めしています。

イメージ 3

面を取ったら尖らなくなるのでは?と良く言われますが、しっかりと加工点はカッタの腹部分に
食い込んでますので、仕上がりは変わりません。


カッタの寿命は、適正な使用方法と加工条件だけで無く上記コツを使う事で延ばす事が可能です。
材料や形状、条件によっても様々ですので、お困りの方はメーカーに問合せ下さい。

↓ クリックにご協力ください!管理人の勉強資金にさせて頂きます ↓






さらに詳しい情報はそりたけ.comまで!

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

そりたけです。

前回までは、バリ取りの基礎としてバリの生成メカニズムをご説明しました。
機械加工では必ずバリが出る。
その中でも出口バリに出るのが特に厄介であり、その理由を解明しました。


バリ取り方法を考える前に「バリを抑制する」という考えは非常に大事です。
何故ならば、世の中にあるバリ取りツール、バリ取り方法には「万能なもの」はありません。
いわゆる「万能なバリ取り方法、バリ取り機械、バリ取り工具はありえない」のです。

その中で、バリ取りをより確実に行うためには「出来る限りバリを小さくする」ことが必要なのです。

バリ取りよりもバリ抑制  これを先ず考える事がバリ取りへの第一歩です。


私の恩師、西先生の言葉に下記の様なものがあります。

バリを出さない工具、工具パスを考えよ
それが出来なければ、差支えない方向に出せ
それがダメなら、取りやすいように出せ

みなさんが使っている工具は、本当に適正ですか?
バリが余計に出るような方法を行っていませんか?
加工出口の形状は?材質は?
バリの生成メカニズムから突き詰めると、色々な事が見えてきます。

いくつかバリ抑制の事例を記述します。

―亳形状によるバリ抑制

イメージ 1

参考文献:西技術士事務所 西嶢祐 日刊工業新聞社 機械加工現場診断シリーズ フライス・穴加工

バリの生成メカニズムをもとに考えると「負の塑性域を減らす」ことでのバリ減少が出来ます。
上記の図の通り、加工出口の角度を変えると、バリの形状も変化します。
これを基に、出口形状を鈍角に変える事でバリを小さくすることが出来ます。
特に、出口角度が155度を超えるとバリは出なくなったという技術報告もあります。

現場実践への具体的な例は下記の通りです。

イメージ 2

参考文献:西技術士事務所 西嶢祐 日刊工業新聞社 機械加工現場診断シリーズ フライス・穴加工

フライス加工や研削加工でよく使える方法ですが、加工出口に面取りを施すことでバリを抑制します。
設計の縛りや、加工工程追加という問題もありますが、後工程のバリ取りを極力減らしたいという考えならば
非常に有効な策となります。


▲帖璽襯僖垢鯤僂─崕亳を無くすこと」でのバリ抑制

イメージ 3

参考文献:切削油技術研究会_自動化のための図解バリ取り技術_(株)工業調査会_1994_190p

これはまた面白い考え方ですが、出口にバリが出るなら出口を無くせばいい。ということです。
上記の図のような製品では、通常はどうしても加工終了は端部になってしまいます。
しかし、たとえばこれが継ぎ目を作るイメージで加工したらどうでしょうか?
少し見にくいですが、第一工程は太径部の中途まで加工しています。
第二工程は第一工程の中途部まで削ることで、端部出口までの加工を無くし、バリを出しません。

わかりますでしょうか?

ひと昔の考え方ならばこれは出来ませんでした。
何故なら、機械の精度や工具精度、性能がこのような継ぎ目加工を許しませんでした。
現在では、このような継ぎ目加工もかなりの高精度で行う事が出来ます。
それこそ、完全継ぎ目無しという事であれば第二工程で端部まで引っ張っても構いません。
その際には負の塑性域は非常に小さくなりますのでバリはほとんど発生しません。


ツールパスを変えバリをコントロールする

イメージ 4

参考文献:西技術士事務所 西嶢祐 日刊工業新聞社 機械加工現場診断シリーズ フライス・穴加工

これはフライス加工でのツールパスになります。
アップカット、ダウンカット、そして製品端部に対する刃の抜け方向によってバリの出方は変わります。
「当たり前じゃないか!」とよく言われますが、現場で製品を見てみると、当たり前の事ではありません。
切削の送り目をよく見て、刃が端部にどんな角度で抜けているのか?
この角度が端部に対して水平に近いほど、バリは小さくなります。
逆に、垂直になればなるほどバリは大きくなります。

そして、図はありませんがアップカットとダウンカットも重要な要素です。
平面フライスのツール直径とツールパスを変え、出来る限りツールの抜け方向を減らします。

当たり前の技能ですが、これだけでもバリが大幅に抑制されることは、意外と知られていません。



今回は、上記3点のバリ抑制方法をご紹介しました。
バリ抑制を適正に行う事で、まずはバリを減らし、バリを小さくし、後にあるバリ工程の負荷を減らします。


次回もバリ抑制の様々な事例を追加記述していきます。
お楽しみに!


↓ クリックにご協力ください!管理人の勉強資金にさせて頂きます ↓



【その他の技術情報はこちらでも見られます】

この記事に

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

そりたけです。

ひさしぶりのローレット技術情報更新となってしまいました。
個人的なことですが、転職したため「覚えているうちに、きちんとした技術記録」をつけます。

前回までは、平目の曲がりカッタの寿命を延ばすなど説明しました。

今回は、3番目に多い問合せの「ローレット目がきれいにならない」を記述します。


まず、一番多いのは目の歪みです。

電話で開口一番「ローレット目が汚い!助けてくれ!」というのが多いのですが、まずは
「ローレット目は歪んだり、曲がったりしてますか?」と聞きます。

ローレットの歪みとは、平目で言えば目が波うっている様な感じ。
綾目で言えば菱形や四角が歪んでいる感じです。

この歪みについては、多くの原因は押しつけ過ぎの場合が多いです。

切削ローレットも転造ローレットも、加工開始時には材料に押し付けて加工を始めますが、
その時に押し付けすぎると、力が逃げられなくなって目が歪みます。

イメージ 1

これは特にステンレスなどの硬い材料で起こりやすいので、気を付けて下さい。


「でも、押し付けなければ目が立たない」

と、よく言われます。

どうしても目を立たせたい。
でもこれ以上押し付けると目が歪む。

対策としては、加工開始(押し付け)時点で曲がっているならば、押し付ける幅を減らす方法があります。
これを加工開始幅と言いますが、幅は小さいほど瞬間に掛かる力は小さくなります。

イメージ 2

また、ステンレスのローレット加工で多いのは熱影響を受けやすい為に「コーティングカッタ」を
使用している現場が多い様ですが、コーティングも目が歪みやすい原因となります。

確かにコーティングする事で耐熱性、耐摩耗性が上がるメリットはありますが、先端がどうしても
丸くなってしまう為に加工時の抵抗は大きくなります。
抵抗が大きくなれば、それが原因で目が歪みます。
寿命を選ぶか、仕上りを選ぶか、お客様の状況によってコーティングの有無は判断しましょう。



さらに詳しい情報はそりたけ.comまで!

この記事に

開く コメント(2)

開く トラックバック(0)

そりたけです。

機械加工で出るバリは硬く、取りにくい!と前回記述しました。

なぜバリは出来るのでしょうか?
なぜ出口に出るバリは硬くて取りにくいのでしょうか?

ここらへんがよく分かってくると、バリ取りツールの選定もしやすくなります。
まさしく、バリを知ることがバリ取り技術の第一歩なのです。


と、堅い前置きはさておき(笑)


バリの生成メカニズムについてお話します。
出口バリはなぜ出来るのか?
この図でご説明します。

イメージ 1


こちらは被削材の角方向に向かって表層を削っている図です。

図の様に、切削工具が角に向かって切削加工を行う時、切削予定面よりも下の部分、
「負の塑性域」に力が掛かり塑性変形して出口バリが形成されます。

よく、バリは削った切粉(切りくず)が変化したものだと誤解されている方がいますが
半分正解、といったところでしょうか。
実際にバリの硬い理由、厄介な理由は、塑性変形したバリのせいなのです。



イメージ 2

参考文献:岩田一明ほか_走査型電子顕微鏡によるバリ生成機構の解析、精密機械、48,4(1982)510


こちらは実際に走査型電子顕微鏡で確認したものです。

アルミニウムの方では、加工線より下部「負の塑性域」が変化している事がよく分かります。



この負の塑性域が悪さするならば、そこをどうにかする事でバリを減らせないか?
これがバリ取りの一つのポイントになります。

バリ取りの基礎編はこれにて終了です。

次回からは、バリの抑制について記述します。

↓ クリックにご協力ください!管理人の勉強資金にさせて頂きます ↓



【その他の技術情報はこちらでも見られます】

この記事に

開く コメント(3)

開く トラックバック(0)

全4ページ

[1] [2] [3] [4]

[ 次のページ ]


.


みんなの更新記事