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だれもアタシに関心なんかなくていい。
あたしはあたしに行きたい道を選ぶ。
あたしの進む道に邪魔するやつは、徹底的につぶす。
きわめて穏やかに、笑って相手を絞め潰す。
それがたとえ、家族といわれるような存在でさえも。
こんな考え方しか、出来なかった。
泣いてしまったら、今までの我慢がすべて終わり。
愛して欲しいから、イイコでいたことが、
あたしの足跡が全部消えてなくなってしまう。
アタシは自分を守るために、
冷たい鎧を身につけて生きることにした。
学校では猛烈に勉強して、優等生を演じた。
そして、高校の夏休み、短期だけれど語学研修するチャンスをもらった。
自分が誰にも頼らずに勉強して、やっと得たチャンス。
アタシが誰でもないアタシとして、周りに挑戦できるチャンス。
もうこんな鎧なんてつけなくていいかもしれない。
それほど自分が変わりたかった、自分を変えたかった。
そして、海外行きが決定して、アタシは空港までのチケットを手にした。
放課後、学校でもらった学割証明を手に、乗車券売場へと急いだ。
手渡された乗車券は、とても重みがあった。
家路へ急いだ。玄関の扉を開けて、嫌な空気を感じた。
空気、というより今からとても嫌なことが起こる、という予感がした。
予感は的中した。
乗車券を握り締め、家路に着いたアタシを待っていたのは
憎しみに満ちた妹の目だった。
「お前だけにいい思いなんかさせてたまるか」そういってあいつは
アタシからかばんを奪い取った。あまりの相手の行動に面食らった。
アタシダケニイイオモイ?コノチャンスヲエルタメニ、
イッタイ、ドレダケ、アタシガドリョクシテキタカワカル?
アンタミタイニ、アマエテヒトノキヲヒイテナイ。
そう、あいつのやったことは、逆恨みもいいところなのだ。
これ以上、アタシをムカツかさないでくれ。
でないと、この手であんたを潰してしまう。
そして、次の瞬間に待っていた光景は、
買ってきたばかりの乗車券を、アタシの目の前で引きちぎるあいつの姿だった。
アタシの努力は?
ヒトがどれだけお前のために日陰で我慢してきたか、分かってんのか・・・
もう終わりだ、どれだけ我慢したって
こいつがいる限り、アタシの努力がことごとく潰されて、
こいつが一生すべての幸せを奪っていくんだ。
もう迷わない。あたしは心からの怒りをこめて、
一撃を食らわした。一発で相手をしとめた。
妹はまさかアタシが手を出せるはずないとタカをくくっていた。
アタシがいわゆる「世間体」を気にしていると思っていたから。
不意を撃たれて、相手は瞬時に崩れた。
鈍い音の残像が残っていた。
その音を楽しむように、アタシは
2発目、3発目を食らわした。
もう、どうなってもいい・・・
全部、終わりなんだから・・・
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