焼き物雑記

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天地創造

『原始の海の表面に混沌とした暗闇のある中、神は光を作り、昼と夜が出来た』
これは旧約聖書の創世記での話です。旧約聖書の創世記では万物は神が創造したとされています。これに対して、東洋における天地創造の考え方には神は登場してきません。

<原初、宇宙は天地未分化の混沌とした状態にあり、この混沌の中から光明に満ちた軽い澄んだ気、すなわち『陽』の気が上昇して『天』となり、次に重く濁った気、すなわち『陰』の気が下降して『地』となった>のだそうです。これは陰陽五行説の考え方ですが、人間の五官による観察を基にしているので好感が持てます。陶芸では水簸(すいひ)という手段を用いますので、軽いものと重いものとが天と地を形成したという考え方の方が親近感が湧くのかも知れません。

現代陶芸を体系化している理論は西洋近代窯業の理論ですが、陶芸の基本書でも昔のものは特に土物の釉薬に関しては伝統釉の調合を中心に載せていました。伝統釉は西洋近代窯業の考え方によって生まれたものではありません。西洋近代窯業は東洋の磁器を模倣して生産する事からスタートしたのですから、土ものの釉薬に関しては考慮されていないのです。それが、しだいに西洋の磁器の技術を敷衍する形で土ものの釉薬までが西洋近代窯業の考え方に絡めとられていきます。これは、いわば漢方薬を自然の薬草等からでなく合成して作りだしているようなものです。西洋的考え方は純粋性を良しとしますが、東洋的考え方は不純を不純として受け入れます。ガラスや金属は純粋性を追求する必要がありますが、陶磁器は不純こそが命のように思います。何故なら粘土自体が不純だからです。

陰陽五行説は単純な二元論のようにも見えますが、自然から陶磁器を生み出そうとした場合には案外と妥当性があるようです。陰陽五行の自然認識を基盤として東洋で紙や絹や陶磁器、漢方医学が生みだされた事からして、まんざら捨てたものでもありません。
なにしろ、昔の東洋の陶工達は現在のように三角座標などという認識は持っていたはずもなく、ただそれらを<陽の気と陰の気とのバランス>といった形で認識し統御していたのですから。。。

ある製品を生産するには個別の原料についての知識だけでなく多種類の原料を結合して駆使する総合的技術体系が必要です。漢方医学は知識人が担っていたが故に多くの著作が後世に伝えられましたが、窯業の世界では職人が担い手であったために体系的著作は残されませんでした。しかし、自然に存在する原料をそのものの有する『気』によって分類し、目的に合わせて調合し、火によって反応させて陶磁器を作る作業は体系的自然認識なしにはありえないのです。この事は自然の原料と多年にわたって向き合ってみると理解できます。

昔の陶磁器と対峙した時に製作者の製作意図や、その時代の美意識はまだしも読み取り易いものですが、その時代の一般的技術並びにその時代の普遍的自然認識との連関性を読み取る事は非常に困難です。
宋代の青磁の名品を見る時、青の釉色は『天』(空)であり、鉄足(褐色の高台)は『地』であり、青磁の焼造は神ならぬ人間による天地創造なのかも知れないとの感慨が湧いてきます。


 (注)この記事は『焼き物雑記の昼寝部屋』にアップしたものです。


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