焼き物雑記

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土器実験報告3

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土器実験報告その3

 h、調理器具と火力
 調理と火力とは強い連関があります。茹でる方法や煮る方法ですと、調理対
象物は湯の中で全面から熱を受けるので若干弱い火力でも調理可能になります。
 それが蒸す方法になると、弱い火力では調理出来なくなります。熱蒸気を大
量に発生させるには強い火力が必要だからであり、熱蒸気は冷め易いからです。

 歴史的には弱い火力しか得られなかった時代から強い火力を手にするように
変遷してきました。その中でも、最も大きな変革は竃の登場だったと言えるで
しょう。
 日本においては竃が使用されるようになったのは古墳時代になってからのよ
うです。中国においては、すでに紀元前2000年頃には竃を使用していまし
たから、日本における竃の使用は、かなり遅かったと言えるでしょう。
 竃が登場すると、下からの加熱と密閉性の高い空間で高温になった熱を受け
る事が出来るので、調理法の幅が広がります。この竃と土器の調理器具という
組み合わせから、後には竃と金属製の調理器具という組み合わせに変化します
が、竃が登場して初めて調理にとって充分な火力と火力のコントロールが可能
になったと思います。
 日本の古墳時代で竃が使用されるようになっても、調理用土器の形態は甕型
のままのようでしたが、サイズは大きくなっているようです。この事も土器の
大きさと火力との相関関係を示しています。形態も時を経て変化しているよう
です。
 土器の製作者の意識からみれば、竃の有無は製作の前提条件です。その時代
に一般的な加熱方式を前提として、その時代に一般的な調理方法に適合した調
理用土器を製作しようと努力します。
 この意味から、弥生時代の調理用土器を位置付けるためには、縄文時代の土
器の形態と古墳時代の土器の形態との比較が不可欠です。この点に関しては細
かい知識を持ち合わせておりませんが、博物館で見る限りでは、弥生時代の調
理用土器には前後の時代の土器とは異なる明らかな特徴があります。
 それは、小型だという事です。調理用器具を小型にした理由としては、使用
単位が少人数になったという事も一応は考えられますが、弥生時代を通しての
特徴なので、加熱方法に規定されたと考えた方が合理的でしょう。

当ブログ関連記事 http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/12440380.html

 i、器壁への煤の付着について
 実験に使用した土器の器壁への煤の付着状況も注意して見てきましたが、実
験回数が少なすぎるために確証は得られませんでした。ある程度、確認出来た
事項は以下の通りです。

  a、甕型土器の底部には煤は付着しにくい。炭火の上に土器を置いても、
   土に埋めても大差ない。
  b、水が入っている部分は、水がない部分よりも煤が多く付く場合と、
   その逆の場合とがある。燃料の相違と加熱方法によって異なってくる。
  c、土器内部の状態は、精白米を煮た場合と赤米を煮た場合とでは大きく
   異なってくる。赤米だとタンニンの多い煮汁のために土器の器壁に色
   が付いてくる。

関連土器実験データ http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/6132559.html
          http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/14649702.html
          http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/15032185.html

B、甕型土器を使用した米の調理実験
 a、白米を現在の炊き方で調理した場合
 現在普通に行われている御飯の炊き方は炊き干し法というのだそうです。精
米した白米を少し水に浸けておいて吸水させてから、適量の水を入れて加熱し
ます。昔から御飯の炊き方について『始めチョロチョロ、後パッパッ、赤子泣
くとも蓋取るな』と言われてきましたが、ゆっくり加熱して充分に吸水させな
がら煮る過程と、強火で水分を沸騰状態にして、密閉空間で蒸らす過程とに分
けられる事が判ります。

 つまり、この方法は煮る調理法と蒸す調理法を合体させて、ひとつの調理器
具でふたつの調理過程を行なっているわけです。近頃では、最新型の電気炊飯
器にはスチーム方式のものがあります。最後に強く蒸すとおいしくなるからで
しょう。つまりは『赤子泣くとも蓋取るな』の部分を強調したわけです。

 甕型土器で白米の炊き干し法を試みましたが、美味く炊けませんでした。
(土器実験データ6)
 水っぽかったり、芯のある御飯になったのです。この原因は不慣れという
事だけでなく、下部からの加熱が不十分になるために煮る過程で対流が起こ
りづらく、蒸しも不十分になるからです。
 また、多孔質の土器ですから水漏れが多少は生じます。このため、水量のコ
ントロールが困難です。火加減のコントロールもむづかしいとあっては、美味
い御飯を炊けるはずもありません。

 この炊き干し法を行うには、その前提として清浄な水の存在も不可欠でしょ
う。濁った水では米が濁り水を吸ってしまいます。日本では清浄な水が比較的
簡単に得られますが、そうでない地域では炊き干し法よりも蒸す方法が利点が
あるように思われます。

関連土器実験データ6 http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/5118480.html

 b、白米を笊で茹でて後に笊で蒸した場合
 水からにせよ、沸騰してからにせよ、笊に白米を入れて茹でると確実に食べ
られるようになります。ただし、水っぽい御飯になります。この方法の長所は
甕型土器の特徴である上部が早く高温の湯になるという点を生かせる事です。
 そして、軟質土器の欠点である器壁の脆弱さによる洗浄の困難さを回避する
事も出来ます。
 茹でた後に、そのまま水量を調節して蒸しの過程に入れるので、この方法は
便利です。湯も無駄になりませんし、御飯の味も硬さも現在の電気炊飯器で炊
いた御飯に極めて近くなります。そして、確認しながら調理出来るので、失敗
する事はありません。

関連土器実験データ http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/15026018.html

 c、白米を笊で茹でて後に<こしき>で蒸した場合
 米の調理法のひとつに湯取り法というのがあります。この方法は東南アジア
や中国、朝鮮でも行われていた方法のようです。米を煮て、煮汁を捨ててから
蒸す方法のようですが、蒸す方法は同じ容器だったり、蒸し器だったりするよ
うです。
 栄養分のある米の煮汁を捨てるわけですから、不合理な方法のように思えま
す。しかし、赤米を様々な方法で調理してみると、この湯取り法が適している
事が理解出来ます。
 何故ならば、赤米が赤いのは玄米なので赤い皮が付いているからですが、
この皮にはタンニンが多量に含まれているからです。縄文時代に食べられてい
たドンゲリや栃の実などにもタンニンが含まれていてアク抜きをしなければ食
べられませんでした。

 一般的に野生種のものにはタンニンが多いようです。赤米を弥生時代に主に
食べていたかどうかにかかわらず、現在の品種改良された稲よりも野生種に近
い稲であった事は間違いないでしょう。
 そうすると、アク抜きが必要だったはずです。実際に赤米をアク抜きせずに
調理して食べてみますと、美味くなく、エグミを感じるために箸が進みません。
 湯取り法ですと、湯の中で茹でる事によってアク抜きがされ、アク汁を吸い
込まない内に引き上げて蒸すわけですから、エグミのない美味い御飯が出来ま
す。
 茹でただけでも食べられますが、水っぽくてうまみが感じられません。こし
きで蒸す事によって水分が飛び、うまみが出てきます。蒸す時間にもよります
が、かなりの強飯になる傾向があります。ただし、水を適宜にかける事で硬さ
の調節は可能です。
 現在普通に食べている白米を湯取り法で調理して食べてみても、炊飯器で炊
いた御飯よりも美味いとは感じられませんが、不味いとも感じられません。
 現在の食生活の感覚では、この方法は糯米に適していて、粳米の場合は笊で
茹でて、笊で蒸す方法が適しているような気がします。

当ブログ関連記事 http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/14008963.html

 d、白米を<ちまき>方式で調理した場合
 現在、ちまきと言えばお菓子ですが、いまでも東南アジアの一部では糯米を
ちまきで調理している所があるようです。笹の葉などで米を包んで紐でゆわえ、
そのまま熱湯のなかで茹でます。
 甕型土器は下部の水温が上昇しにくいので、紐で吊るせば問題なくなります。
この方式で何回か実験しましたが、日常食べている米でも電気炊飯器で炊いた
場合よりも抜群に美味くなった時がありました。ただ、それは1回だけで安定
性には欠けます。
 このちまき方式は葉で包んでいますが、完全な密閉状態にはならないので、
アクは抜けます。米がふくらんで来ると密閉性が増大してアク汁を吸い込みに
くくなり、蒸す状態となります。このために白米の場合には現在食べている柔
らかめの御飯となります。

関連土器実験データ  http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/6094069.html

 e、赤米を<ちまき>方式で調理した場合
 白米の場合と同様に実験した中では、もっとも美味く調理出来た時が1回だ
けありました。葉の種類や包み方にもよるのでしょう。赤米は玄米ですので、
白米よりも強火が必要になるはずですが、<ちまき>方式ですと熱湯の中で蒸
しの過程を行うために、こしきや蒸籠の場合よりも温度の低い湯でも調理出来
るという長所があるようです。

関連土器実験データ http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/7236888.html  

 f、赤米を笊で茹でた場合
 白米の場合と同様に水っぽい味になりますが、食べるには支障ありません。
 茹でた後の煮汁は真っ赤な色になります。これには多量のタンニンが含まれ
ているので、土器の水漏れ防止に役立ちます。胎土の粘土に鉄分がないと効果
がないのですが、タンニンは凝集剤としての効果があるために目止めになるの
です。
 白米の場合ですと煮汁には糊状の物質が溶け込みますが、赤米の場合には皮
が破れても大して糊状のものは出ないようです。
 味の点からは、皮が破れる直前のタイミングで笊を湯から引き上げて、蒸す
方が好ましいようです。

関連土器実験データ http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/14550600.html

 g、赤米を笊で茹でて後に笊で蒸した場合
 笊で茹でただけの時よりも蒸しの過程が加わったので、うまみが出て食べ易
くなります。普段食べている御飯が柔らかいので、エグミもなく、こしきで蒸
した場合よりも柔らかくなる、この方式が最も食べ易く感じます。
 甕型土器の寸法に合った籠ないし笊ならば約3合の米を調理出来ると推定さ
れます。
 茹でている内に湯も減少しますから、多少の調整をすれば連続して蒸しの状
態にする事が出来るので、最も簡便で、短時間である程度の量を調理出来る方
法と言えます。3合の米を1時間以内に美味く食べられるように調理出来ます。

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