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h、赤米を笊で茹でて後に<こしき>で蒸した場合
事前に水で濡らしておいた小型の<こしき>の上に布を敷いて、笊で茹でた
赤米を移します。<こしき>には直径1センチの穴を一つ開けただけですが、
充分に蒸し器としての用を果たしました。
小型の<こしき>の場合には甕型土器の内部で使用するので、土器自体に水
分が浸透して土器の表面全体から熱蒸気が発生するので、穴が小さくても問題
ないのです。
むしろ、穴は水抜きのための穴として必要な気がします。というのは、笊か
ら上げた赤米には水滴が沢山付いていますし、御飯の硬さの調節をするために
後から水を打つ時に水が抜ける穴がないと不便だからです。笊で蒸す場合と比
較すると<こしき>を使用した場合には、かなり強飯になります。
これは味覚の問題なので人によって異なりますが、こわめにした方がうまみ
は出るように思います。もちろん、粳米と糯米との差はありますが、粳米でも
程度の問題で多少こわめの方が美味くなるようです。
軟らかめにするには、米の上に葉を載せる方法も効果的なようです。
なお、<こしき>の効用として、密閉性が高くなるために高温蒸気を発生さ
せ易くなり、水の減少を押さえられるという事があるようです。
小型の<こしき>の問題点としては、入れられる米の量が少ない事です。
甕型土器の内部の形に合った籠ないし笊を使用すれば、実験に使用した土器
でも最大で3合の米を調理出来ると推定されますが、小型の<こしき>で処理
出来る量は1合程度です。
この点を解決するには、<こしき>の上に木製の筒を載せて量を入れられる
ようにするか、三回に分けて蒸すかでしょう。すでに熱湯になっていれば、分
けて蒸しても、そう時間はかかりません。
実験結果からすると、囲炉裡のような所で、すでに湯が沸いているとすれば、
3合の米を茹でるのに15〜20分程度、こしきで1合の米を蒸すのに20〜
25分ですから、全部処理するのには1時間半程度の時間です。
現在の電気炊飯器でも45分前後はかかりますから、調理時間としては無理
な時間ではないでしょう。
もちろん、一家族で甕型土器を数個使用する事も可能なわけですから必要量
の調理は可能なわけです。なお、赤米の場合は8時間程度、水に浸けておく必
要があります。
小型の<こしき>については、実験回数や形態が不分明なために、その実態
を解明するには至りませんでした。密閉性を高めてより高温にするための内蓋
として使用された可能性も考えられるからです。
関連土器実験データ http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/14550600.html
http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/12799669.html
◎これからは土器ではなく家庭用の鍋を使用した実験
i、白米を蒸籠で蒸した場合
30分程度水に浸けておいた白米を、鍋に水を入れて蒸籠で蒸す場合には、
何回か水を打つ必要があります。そうでないとおこわになりすぎるからです。
米の上に葉を載せると柔らか目に仕上げる事が出来ます。適宜に試食して仕
上げる事が出来ますから失敗はありません。火力はガスレンジならば中火で充
分なようです。1合の白米を調理するのに、40分程度で済みます。味は電気
炊飯器で炊いた御飯と遜色ありませんでした。
j、赤米を蒸籠で蒸した場合
水に8時間浸けておいた赤米を蒸籠で蒸してみると、食べられるようにする
には2時間近くかかりました。途中で水を打ちながら蒸したのですが、思った
以上に時間がかかります。
味もエグミが抜け切れておらず、歯ごたえは良いのですが今一つといった所
です。
玄米の場合には、蒸す方法だけでは調理時間がかかりすぎて実際的ではない
ようです。
甕型土器でも実験してみたのですが、その時は火力が出なかった事もあり、
全く調理になりませんでした。
当ブログ関連記事 http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/11486802.html
k、赤米を雑炊にした場合
玄米の雑炊をつくるのには白米の場合よりも、はるかに時間がかかります。
塩や調味料で味付けしても、あまり美味い雑炊にはなりませんでした。雑炊は
やはり精白米が合っているようです。
米の収穫量が少ないと、雑炊で食べるのではないかと考える向きもあるよう
ですが、太平洋戦争中の食料事情下の出来事と弥生時代の食料事情とでは全く
条件が異なります。人口が極端に違いますし、それまでに食べていた食料も
あるはずです。
日本でも、戦前までは農家は非常に多種類の農作物を栽培していました。
農業が自然の変化に大きく左右されるものである以上、危機管理が必要だか
らでしょう。
栽培する作物が少数になるのは、商品作物としての栽培が主流になってから
であり、商品経済の発展が前提になります。
l、赤米を焼米にした場合
日本には明治時代に至るまで焼米(やきごめ)の風習があったそうです。焼
くというよりも炒ると言った方がいいでしょう。今でも、米を爆ぜさせた菓子
がありますが、それと同じです。
鍋かフライパンに赤米を入れて加熱すると、すぐに米が爆ぜてきます。もの
の数分で焼米の出来上がりです。加熱しすぎると、赤米ならぬ黒米という状態
になります。
食べてみると、案外食べられます。もっとも、本来の焼米は籾の状態で焼い
たようですが、無いので玄米で実験しました。長期保存のきく携帯食としての
用途には適していると思います。
C、米の調理実験のまとめ
甕型土器を使用して各種の方法で米の調理実験をしてみた限りでは、笊や籠
を使った甕の内部での茹でと蒸しとを組み合わせた方法が時間的にも味覚的に
も合理的なようです。この方法は単なる布を使用しても可能です。何よりも、
失敗がありませんし、無駄もありません。
米の調理にとって、米が玄米か精白米かという点は大きな問題です。古代に
おいては、玄米が主で精白米はハレの日等に限定されるように思います。
そうでなければ、ビタミン不足の危険があります。日露戦争の時に白米を兵
隊に支給したために、かっけになる兵隊が続出した話は有名です。実に明治時
代に至るまで白米を食べ続ける危険には無知だったのです。
甕型土器での調理対象物が玄米であれば、蒸すだけの調理法では無理がある
ようです。では煮る調理法ではどうかと言うと、アク抜きをする必要があるた
めに、面倒な手順が必要です。沸騰した湯のなかに玄米を入れてアク抜きをし
た後に、また米を出さなければなりません。
ところが、甕型土器は高温になっていますから、持つのも大変ですし、口元
がすぼめてあるために内容物を出しづらいのです。アク汁は捨てるわけですか
ら、湯も無駄になり、米を選り分けるためには笊や籠を必要とします。
そののちに、また水から湯を沸かして米を煮るというのは、いかにも不合理
です。米だけを湯の中から、おたまのようなもので掬うという手もありますが、
全部を掬い上げるのは困難で無駄な米がでます。
こう考えると、最初から笊や籠に米を入れて湯取り法を行う方法が最も合理
的でしょう。
現在のように、品種改良された上に、きれいに精米された米と清浄な水と金
属製の調理器具と下部からの加熱方式が揃っていれば、炊き干し法の方が栄養
的にも優れた調理法でしょうが、こうした条件に欠ける古代においては、湯取
り法が優れた調理法だったでしょう。
この調理法を選択する限りにおいては、甕型土器で米を玄米であっても充分
美味く食べる事が出来ます。
当ブログ関連記事 http://blogs.yahoo.co.jp/souyouroko/14008963.html
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