焼き物雑記

別のブログに引っ越しています。

陶論

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

染付(青花)の起源論

イメージ 1

私は染付釉以前の釉薬に特に興味を持ってきたために、染付については専門外

なのですが、染付釉の起源については関心があります。

何故なら、染付釉の起源を知るためには、それ以前の釉薬を知らなければならな

いからです。

コバルト顔料を使用した染付(青花)が誕生したのは中国の元代とされています。

写真のものは紀年銘(至正十一年=1351年)が入った染付として有名なものです。

英国のデイヴィッド・コレクションの所蔵で1998年に日本でも展覧されました。

展覧会場で見た限りでは、地色がかなりブルーっぽい感じを受けました。

染付の起源については、幾つかの論点が存在します。

A、中国独自の技術なのか?

中国ではコバルトをほとんど産出しないために、イスラム圏からの技術的影響を

受けて誕生したとの説もあります。

B、中国独自の技術とするなら、それは景徳鎮内部の技術的基盤から誕生したのか?

吉州窯や磁州窯からの技術的影響を受けて景徳鎮で誕生したとの説もあります。

C、染付の誕生時期は唐・宋代か?、元代初期か?元代中期か?元代末期か?

主要な論点は上記のようですが、これらの疑問点を実証的に明かにする事は困難です。

資料が残っていませんから、決定的証拠がありませんし、誕生時期についても、染付

とは何か?という定義次第で異なってきます。

我々の身の回りにある染付製品にも<出生の秘密>があるのです。

上記の論点についての私見は別稿で触れる事にします。


(注)写真は『中国陶磁の至宝  英国デイヴィッド・コレクション』
   1998年読売新聞大阪本社発行より引用させていただきました。

磁と瓷

イメージ 1

我々は何気なく磁器と書いていますが、中国では瓷器と表記しています。

このたった一字の相違にも陶磁史の大きな謎が存在しています。

磁器を、そもそもどう定義するかによって焼き物の区分方法が変わってきますが、

中国では焼き物を土器、陶器、瓷器に分け、日本では土器、陶器、せっ器、磁器

に分けるのが一般的なようです。

現在の磁器の多くは磁石の粉から製造されていますが、この技術は恐らく宋代以

降の技術です。

そして宋代以前の瓷器の技術は良く判っていないのです。

磁器(瓷器)とされるものは、その定義にもよりますが、中国では紀元前

1500年頃には登場したとされています。(原始磁器ーー商代中期頃)

当然、そんな大昔には磁石を粉にして使用する技術はないので、磁石以外の粘土

で瓷器を作った事になります。

日本の焼き物の歴史には、中国での宋代以前の瓷器に相当するものの製造の歴史

がないので、磁器の文字を使用するのも当然ではあります。

磁器を定義する際には、吸水率が第一の要素になりますが、透光性や厚み、軽さ

も関係してきます。

したがって焼き物を分類するには、土器、陶器、せっ器、瓷器、磁器と分けた方

が判り易いように思います。

しかし、どこの国でも自分の国の歴史を一番古くしたがりますから、磁器と瓷器

とを区別して、その差異を究明しようとはしません。

なにしろ、分けてしまうと磁器の発明が2500年も遅くなってしまうからです。

しかし、中国宋代の時期は焼き物の歴史にとって一大変革期であったように思います。

坏土、釉薬、焼成の各分野で、いわば古代・中世の技術から近代の技術への脱却が行わ

れた時代のような気がします。

私がこの時代に興味を持つのもこうした点にあります。

ところで、現在では磁器もボーンチャイナ(骨灰磁器)が多くなってきています。

そして日本でもボーンチャイナが生産されていますが、ヨーロッパの有名ブラン

ド製品の方がはるかに高価な値段で販売されています。

ここには単にブランド信仰として片付ける事の出来ない問題点があるように思います。

何しろボーンチャイナの歴史は西欧諸国の方が古いのですから。

かたや、中国からは100円ショップで売られているような安価な陶磁器製品が

大量に入ってきています。

人件費や物価を考慮すれば、日本製の陶磁器の方がむしろ割安になるのですが、

市場では全く同じに比較されてしまいます。

西欧と中国に挟撃された日本の陶磁器産業(個人陶芸家も含めて)に明日は

あるのか?と暗澹たる気持ちになりますが、他の産業分野でも、困った時には

昔の技術を見直すという定石があります。

この点からも、宋代以前の瓷器の軽さ、薄さと灰釉という東洋陶磁の流れに学ぶ

必要を感じるのです。

木の葉天目について

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

 日本には大阪の東洋陶磁美術館にある、重文の通称木の葉天目(玳皮天目茶碗)をはじめ、

幾つかの木の葉天目の良品があります。木の葉天目は中国宋代の吉州窯で生産されたもので

すが、本家の中国には良品は残っていないようです。

 この木の葉天目の技法については定説がない、と本には載っています。しかし、日本の陶

芸家で木の葉天目を手がけている人は、恐らく百人は下らないでしょう。

 日本で最初に木の葉天目を焼成したとされているのは、人間国宝になった石黒宗麿氏です。

その後、電気窯の普及によって木の葉天目を作り易い環境が整った結果、次々に木の葉天目

を製作する陶芸家が出ています。

 陶芸家にとって、木の葉天目というものは、作ってみたくなる衝動をおぼえるもののよう

です。現在では相当数の木の葉天目が作られ、販売されています。それでいて、木の葉天目

の技法について定説がないというのも、おかしな話です。

 これは私の推測ですが、現在作られている木の葉天目の内には、二度焼きの手法や上絵の

技法を応用したものが一部にあり、又、陶芸家は皆、技法を秘密にするために公刊本に反映

されにくいのかも知れません。

 それと同時に、本の解説を書いている方は大抵の場合、陶芸の技術には関心が薄い人が多

いからかも知れません。もちろん、800年も前の事ですから、完璧に実証する事は不可能

です。それでも現在では定説をたてるだけの材料はそろっている様には思います。

 木の葉天目の技法自体は、さほど複雑なものではありません。ただ、葉脈や虫食いの跡ま

で残って、葉の緑色まで出て、釉調もよく、美的なものを作るとなると、極めて困難になり

ます。何しろ、そうした条件を満たしている木の葉天目は、日本にある伝世の数点だけと言

っても良いのですから。

 一番上の写真は、重文の木の葉天目の部分写真です。上から二番目の写真は、私が十数年

前に試作した木の葉天目の部分写真です。これは石灰釉で酸化金属類も使用したものです。

葉脈までリアルに出て、緑色もかすかに感じられますが、釉調が気に入りません。一番下の

写真は数年前に試作した灰釉での木の葉天目の部分写真です。これは葉脈が出ていません。

灰釉だと石灰釉に比べて木の葉天目の焼成は格段にむずかしくなります。

 どちらも、自然の木の葉を釉掛け後に載せて、そのまま窯詰めして焼成したものです。

焼成すると、葉は縮むので、予定の大きさよりも三割ほど大きい葉を使用します。本にはよ

く<自然の木の葉を貼付けて>焼成したように書かれていますが、縮む事の出来る状態であ

る必要があるので、<自然の木の葉を載せて>焼成したと記載した方が真実に近いように思

います。

 恐らく当分の間は、<木の葉天目の技法については定説はない>と書かれ続けるのでしょ

うから、私も他の多くの陶芸家諸氏と同様に秘密にしておく事にします。

 (注)重文の木の葉天目の写真は『中国の陶磁6天目』平凡社刊より引用させていただきました。

 ◎他の木の葉天目の参考書籍

  『東洋陶磁の展開』大阪市立東洋陶磁美術館刊

  『陶磁大系38天目』平凡社刊

  『中国陶磁全集15吉州窯』美乃美刊

  『世界陶磁全集12宋』小学館刊

  『日本の名陶十撰』毎日新聞社刊


 

開く トラックバック(1)

焼き物の作風とは?

イメージ 1

イメージ 2

写真上は定窯白磁(10世紀)、写真下は李朝白磁(15世紀)



中国陶磁の端正な作りに比べると、朝鮮陶磁はおおらかで伸びやかさがあり、

その作風は日本人に好まれてきました。

ただ、現代の陶芸作家は自由な造形を希求する事が出来ますが、李朝の陶工を同じ様に

考える事には無理があります。

焼き物の作風というものは、ただ単に特定の国の文化的土壌からだけ生まれてくるものではなく、

粘土原料や燃料資源などの自然環境、並びに技術的基盤や市場による制約を受けています。

この、工業製品、商品としての性格を抜きにして、美術品としての面からだけ作風を捉えると

片手落ちになります。

朝鮮陶磁にしても、貴族用の官窯で製作された製品は端正に、ていねいに作られています。
                      →下の写真
つまりは、一般的に高麗茶碗や粉青沙器などからイメージする朝鮮陶磁のイメージは

庶民用の陶磁器のイメージの方が強く反映されているように思います。(庶民といっても、

当時の朝鮮では富裕な階層に属する層を指しています。下層民の事ではありません)

現代でも、高い値段で販売する事のできる高級品は、粘土や燃料や作りに手間と費用をかける

事が出来ますが、安価な製品はコストダウンを図らなければやっていけません。

李朝の陶工も当然ながら庶民用の製品には手間をかけてはいません。

中国の同時代の陶工もやはり高級品と庶民用とは区別して生産しています。

中国宋代の庶民用の陶器を生産した窯場として有名な磁州窯の技術は朝鮮の粉青沙器の

技術の源流と言えるでしょう。

この技術の根幹は高級品の生産技術と同一と思われますが、胎土の処理において手間を省き、

釉薬も少量しか使用していないようです。

現在では機械を使用して胎土の調合も大量処理する事が出来ますが、人力では大変な作業です。

そこで、庶民用の製品は掘りだした単味の粘土(or単味に近いもの)を使用して、高級品の胎土

に近い調合の化粧土を掛けて後に、ちょっぴりと釉薬を掛けるという方法が適しています。

現在の中国でも、無釉のカメの製作を粘土の採取地で行い、シャベルで原土の粘土をすくい、

そのままで機械ろくろに投入するという方法をとっている所があるようです。

これなどは、究極のコストダウン方式です。

中国と朝鮮では社会経済的発展段階が異なり、その事から商品としての陶磁器生産にも

相違が生じて来るのは当然の事です。

中国の宋代の陶磁器生産は、国内の需要に対してだけでなく、海外の富裕層に向けた輸出品

としての陶磁器生産も行なっていました。国内にも広範な富裕層の需要があった事を考えれば、

朝鮮における陶磁器生産よりも高級品の比重が高かったのは当然です。

焼き物の作風に与える影響で最も大きな要素は土の性質ですが、以上述べてきた要素も

複雑に絡みあって、ひとつの作風として感じられるものが形成されていきます。

私にとって過去の時代の陶磁器とは、その時代に生きた陶工の思考や生活や技術思想を

指し示してくれる標識のようなものでもあります。


(注)定窯白磁の写真は『世界陶磁全集12 宋 小学館』より、李朝白磁の写真は
   『李朝乃陶磁 中央公論社』より引用させていただきました。

秘色青磁について

イメージ 1

イメージ 2

秘色(ひそく又はひしょく)青磁とは、呉越同舟の言葉で有名な中国の五代十国時代の

越の国で焼成された青磁に名付けられたものです。

越国の国主の王銭氏が『臣庶用いるを得ず』としたために、庶民が使えない、作れないもの

という意味での秘色窯、秘色青磁の名が生まれ、後世に伝えられる事になったようです。

この青磁を生産した窯は越国の時代よりも前から青磁を生産していましたし、越国が滅んで

宋代になっても青磁の生産は継続していました。

この秘色青磁というものが、具体的にどのような青磁を指すのかが、はっきりしたのは、

そう昔のことではありません。

はっきりしてみると、一見すると、さほどの色のさえもない青磁の事でした。(写真参照)

しかし、私はこの秘色青磁の名前の由来には疑問を持っています。

数少ない文献に記載されているので、呼び名の由来として定説になっているようですが、

高麗青磁には翡色青磁という呼び方があります。翡とは翡翠(ヒスイ)の翡です。

翡にはカワセミの羽という意味合いもあります。

実際の青磁をみれば、この翡翠の如くの色という表現の方がふさわしく思えます。

宋代の青磁は特にそうですが、玉の質感と色が光線によって変化するという特徴を

持っています。

オパール現象と呼ばれている、釉中の微細な気泡によって光線が乱反射される事によって

引き起こされる色の変化です。

昔の事ですが、私はこの現象に惑わされた経験があります。

青磁の名品とされている展示品を見て、『さほどでもないじゃないか』と思ったのです。

ところが、数年後に同じものを見た時は『すばらしい名品だ!』となりました。

この差は、展示されている場所の光線にもよりますし、朝、昼、夕方という時間帯の差

によるものもあります。

つまり、青磁の名品というものは、一度見ただけでは判らない事があるのです。

この色合いが変化する事は、言い換えると、<色が秘されている>という感覚を持ちます。

こうした意味合いの秘色青磁という命名の方が、私には納得出来ます。

カワセミの羽のように光によって色が変わり、あたかも何色もの色を秘しているかの

ような青磁、こうした青磁は見る者を飽きさせず、あたかも空の変転する色の如くです。

中国人の玉(ぎょく)好みは、台湾の故宮博物院に行くと展示物のかなりの割合が玉製品

である事でよく判ります。

故宮博物院には一度行っただけですが、青磁の粒よりの名品があります。一度に全部は

展示していないので、ごく一部を見ただけです。

もう一度行って、名品をじっくり眺めてみたい!!

  (注)写真は『中国陶磁全集4越窯 美乃美刊』より引用させていただきました。

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
sou*ou*ok*
sou*ou*ok*
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事