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2006年11月22日 (第2、第4水曜日更新) 「What's good for General Motors is good for America. (ゼネラルモーターズにとってよいことはアメリカにとってもよいことだ)」という有名な言葉がある。 この言葉が最初に使われたのは何十年も前のことだが、むしろ今の時代にこそぴったりだと私は思う。 以前、「GMが苦しいのは車がよくないからだ」と言った友人に、こう答えたことがある。 「GMの問題はもっと根深いよ。経営の仕方にそもそもの原因があるんだから」 GMの問題は、アメリカ政府が抱える問題ととてもよく似ていると思う。 両者とも経営の問題、もっと厳密に言えば、誤った経営の問題を抱えている。 ウォーレン・バフェットの投資手法について書かれたBuffettologyという本に、 GMの問題点を明快に突いた一節がある。 「これと同じ現象(企業が借金によって成長すること)がゼネラルモーターズの財務記録にも見られる。 1985年の初めから1994年の終わりまでの間に、同社は1株当たり約17.92ドルの利益を上げ、 1株当たり約20.60ドルの配当を支払った。またこの間、設備改良に1株当たり約102.34ドルを投資した。 ここでひとつの疑問が頭をよぎる。 この期間の1株当たり利益が17.92ドルで、支払った配当が20.60ドルだとすると、 上乗せ分の2.68ドルと設備改良に投じた102.34ドルは、いったいどこから来たのだろうか」 ファジーな算術とはまさにこのことだ。 10歳の子供に聞いても、17ドルから20ドルを引くことはできないと答えるだろう。 17ドルしか収入がないのに102ドルも使うなどということができるだろうか。 私は、個人的にはGMの車が好きだ。初めて買った新車は1969年式のコルベットだった。 値段は6,000ドルだった。生活費の大半が月々のローンの支払いに消えたが、 それも苦にならないほどこの車が好きだった。今も持っていたらと思うくらいだ。 その後も、GMのSUVやシボレーのトラックを持っていた。 だから私はGMの車に批判的ではない。気に入っている車種もある。 私が思うに、GMとアメリカ政府に共通する問題は、規模が大きくなりすぎたことと、 上に立つ者がその時々の課題をうまく処理してこなかったことだ。 両者とも、規模の大きさと過去の栄光に頼って商売をし、借金によって問題を切り抜けようとしてきた。 財務省によれば、初代のジョージ・ワシントン(1789年)から ビル・クリントン(2000年)までの42人の大統領の時代に、 アメリカが外国政府や金融機関から借りたお金は総額1.01兆ドルだった。 ブッシュ政権は、2000年から2006年にかけて1.05兆ドルの借金をした。 そう、建国以来の211年間の借金とほぼ同じ額をこの5年間で借りてしまったのだ。 GMにとってよいことは本当にアメリカにとってもよいことなのだろうか。 GMとアメリカが、財政基盤を立て直すために為すべききことをしようとすれば、 世界経済が崩壊してしまうほどの事態になるのではないかと心配になる。 しかし石油価格の高騰によって、 いずれにせよ両者は厳しい財政の現実を直視せざるを得なくなるかもしれない。 そうなると、安価なエネルギーと低利の融資という、 アメリカ企業と経済を成長させてきた原動力が失われることになる。 原油価格の上昇はすぐには止まらないと私は見ている。政治的な要因ではなく需給の問題だからだ。 アメリカがこれほど借金を続けていられるのは、ひとつには経済が成長し続けているからだ。 しかし、以下の等式について考えるとき、 いつまで成長し続けられるのだろうかという疑問が沸いてくる。 GMとアメリカの富は、経営を誤ったために減少している。 そのうえ石油価格が高騰しているので、お金を借りて問題を解決することが今後は難しくなってくる。 問題を解決してくれるお金がなければ、さまざまな問題の根底にあるおおもとの問題が 一層悪化するだろう。今後厳しい時代がやって来る可能性がある。 ここであなたに質問だ。石油と金利はいずれ再び安くなるだろうか。 それとも、そういう時代は終わったのだろうか。 この問いに対する答えが、あなたの投資戦略を左右することになる。 GMの借金がいかに無意味だったかが、前述のBuffettologyの中で指摘されている。 「ゼネラルモーターズは、1985年の初めから1994年の終わりまでの間に債務を約330億ドル増やした。 1株当たりで約43.70ドル増えた計算だ。また、普通株を新たに1億3200万株発行した。 さらに、内部留保した利益を新車開発に吸い取られたため、 1株当たりの簿価は、1985年の45.99ドルから1994年の11.70ドルへと34.29ドル下落した。 こうしたことが株主価値の増大に役立っただろうか。いや、まったく無意味だった」 GMの経営陣は、従業員だけでなく株主の期待も裏切った。 どちらか一方をがっかりさせることはあり得るが、両方ともというのは普通あり得ない。 エンロンは両方の期待を裏切ったが、その経営陣がどうなったかはご存じの通りだ。 Buffettologyは、GMについてさらに次のように書いている。 「1985年の初め、ゼネラルモーターズ株は1株40ドルで取引されていた。 10年後の1994年の終わりにも、ご想像通り40ドルで取引されていた。 10年間の事業活動と330億ドルの債務増加と1億3200万株の増資にもかかわらず、 株価はまったく変わらなかったのだ」 1億3200万株の増資とはとんでもない希薄化だ。 その愚かさは、ドルを増刷していながらドルの価値はなぜ下がっているのだろうと 不思議がっているアメリカ政府に勝るとも劣らない。 結論を言えば、GMとアメリカにとってよいこととは、 労働者と投資家を公平に扱うことではないだろうか。事実をありのまま伝え、無能さを素直に認め、 ごまかしをやめ、ファジーな算術をやめればいい。 もちろん、本当のことを言えば経営者たちは今の地位を追われることになるだろうが、 経済の回復にとってはよいスタートになるかもしれない。 私は、国や企業のリーダーたちの言葉を信じない。 私が信じているのは、彼らが守るのは自分の利益だということだ。 だから私は、自分の事業や不動産、石油、また金や銀には投資するが、 ブルーチップ(優良株)は保有しない。一流企業が不誠実だとは言っているのではない。 ただ、彼らのことや彼らのファジーな算術を信じていないだけだ。 みんなの将来のことがひじょうに心配だ。 GMとアメリカにとってよいことがこれから起こるからだ。 あなたや私、私たちの家族はこれからどうなるのだろうか。どうか賢く投資してほしい。 ※ ロバート・キヨサキについてさらに知りたい方はこちらをご覧ください(外部サイト)。
※ ロバート・キヨサキの本コラム‘Why the Rich Get Richer(金持ちがますます金持ちになる理由)’は米国Yahoo! Financeに掲載するために執筆されたものです。 |

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