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悲櫻館事件 3

《 3 》

特急列車を降りると、目の前でふわりと薄桃色の花びらが舞った。
東京よりも少しだけ遅い桜はちょうど満開を迎えているようで、やっぱり星子さんと来たかったと思ってしまう。

来年の桜は彼女と一緒に見れるだろうか……なんて、さっそく感傷に浸りながらホームの端の桜を眺めていると、背後から風情のカケラもない声が聞こえてきた。

「さ、昼メシや昼メシ!せっかくやさかい、ほうとう食わへんか?な、宙太!」
……どうして、ここまで来てお前と一緒にメシ食わなきゃいけないんだよ……。

とは思うものの、デタラメな節回しで「うまいもんだよ南瓜のほうとう♪」などと口ずさみながらいそいそと改札に向かうゲンジロウを見ていると、意地を張るのも大人げない気分になってくる。

仕方ない、これも下見の一環だ……。
ため息をついて、駅前の大通りに建つ有名店に入ろうとすると、ゲンジロウ、チッチッっと指をふりながらニヤニヤ笑いやがる。
「なんや宙太、お前も意外とつまらん奴やな。そんなんじゃ星子チャンに嫌われるで?」

……うるせえよ。
お前との昼飯に労力使いたくないだけだよ、とも言えないので黙っていると、ゲンジロウ、すぐ先の路地を指差した。

「こ汚い食堂やけどな、なかなかやで。ほうとうも、おねえちゃんも。」
星子さん連れて行くのにおねえちゃんは関係ないだろ、とは思ったけれど反論するのも面倒臭い。

ため息をついて、僕は投げやりに答えた。
「……任せる」

(続きます)

この記事に

  • 星子さんがいない所では少し子供っぽくなっちゃう宙太さん。弟感がでちゃってる〜(笑)キザで軽いけど、懐深く頼りになる宙太さんも待ってマース

    [ swe**stop3* ]

    2018/4/6(金) 午後 11:16

    返信する
  • > swe**stop3*さん
    いつも誰にでもスマートで親切な宙太さんを唯一ツンデレにさせるゲン兄ィw希少スキルですwww
    頼れる宙太さんも…多分そのうち出てくる…ハズ😅

    [ すぴか ]

    2018/4/7(土) 午後 0:40

    返信する

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