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悲櫻館事件 4

《 4 》

やっぱりこいつに任せるんじゃなかった……。
暖簾をくぐった途端、僕はゲンジロウに店選びを任せたことを後悔した。

「あれ?三日月サンやおまへんかー」
ノーテンキなゲンジロウが、馴れ馴れしげに先客の肩を叩く。

オマエ……。なんでスルーしないんだよ……。
そう思ったのは先方も同様だったのだろう、あからさまにゲンナリした様子の三日月君にもメゲず、ゲンジロウは図々しく隣の席を確保しておばちゃんを呼びつける。
「お姉さーん、ほうとう二つ!」
「待てよ!まだメニューも……」
「ええねん、ここはこれが一押しなんやから、ワイに任しとき!あ、別嬪さーん、鳥モツ追加で頼むわー」
「…………。」
「んで、三日月サンはなんでここに?」
「…………ツーリング。」
普段の彼を知る僕ですら躊躇うくらい、不機嫌そうなマサル君に果敢に話しかけるゲンジロウに若干の敬意すら覚えつつ、僕は黙って運ばれてきたほうとうを掻き込んだのだった。


駅前に戻ってレンタカーを借り、渓流沿いの山路をしばらく走ると、現れたのは周りを桜に囲まれた瀟洒な洋館だった。

後ろからは聞き慣れたバイクのエンジン音も聞こえてくる。なんのことはない、三日月君も同じホテルに泊まるのだという。
宿に着く前からげっそりしつつ、渓流に架けられた吊り橋を渡り、洋館の玄関へ向かうと元気のよいベルボーイに声をかけられた。

「いらっしゃいませ!美櫻館へようこそ!……あれ?」
「……ん?小次郎君!どうしたんだ?」
「あ、やっぱ宙太兄ィじゃん!どうしたもなにも、バイトに決まってるだろ。バイト代ためて星子さんをデートに誘うんだ♪」
「それは……。もっと有意義なことに遣ったほうがいいぞ。小次郎君……」
「まあいいじゃん。早くおいでよ、部屋に案内するからさ!」

(続きます)


私のSSとしてはお久しぶりの小次郎クン。今回は割とオールスターズになる予定です♪
※館の名前がタイトルと違うのは仕様です〜。

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