昨日は午後から映画を見に行きました。映画は「ウォルト・ディズニーの約束」。
(多少のネタバレもありますのでこれから見たいと思っている方はご注意くださいね。)
映画化を頑なに拒んでいた、メアリー・ポピンズの作者であるトラヴァース夫人から
ウォルト・ディズニーが版権を買い取るにあたって
夫人に寄り添い、その内面にすこしづつ懐柔していく様子を描いています。
実は私はこの原作を読んだことがないし
映画も劇中のいくつかの歌は知っているものの、部分的にしか見た事はありません。
それでもこの映画は見てよかった、と思うことができました。
「メアリー…」の原作者パメラ・トラヴァース夫人は
お金に貧し、映画化の契約をしなくては立ちゆかないところまで追い詰められ
いやいやロスアンジェルスまでやってきたものの
映画にかかわる細かな部分にことごとく難クセをつけ、
製作側を深く悩ませてしまいます。
この夫人、行きの飛行機で荷物の置き場所を譲ってくれた子連れの夫人に感謝もせず
「泣かせないで、迷惑だから」と言い放ったり
ディズニー側の用意する大量のお菓子を見て
「食べられない人たちがこの世界にはいるのに品性が下劣」などと言って下げさせてしまうくせに
ホテルのプールにウェルカムフルーツの梨を投げ捨てるようなことをします。
前半はこのわがままで自己中心的な夫人の行動が理解できずに腹が立ってきたほど。
けれどもその頑なさは彼女の父親との悲しい思い出に由来していることが徐々に明かされていきます。
圧巻は夫人を演じたエマ・トンプソンの演技でした。
懸命に取り組むスタッフを尻目に契約書を盾に一歩も引かないパメラ。小憎らしさ全開です。
ものすごく依怙地で勝気。
ディズニーのスタッフの言うことを聞く気などさらさらない。
はじめはどうでもいいことに固執しているようにしか見えない彼女ですが
少女時代の悲しい思い出から成長できていない部分を秘めていたり
本当は教養豊かで思いやりに満ちた部分もあり、はたまたすごくチャーミングだったり…
一筋縄ではいかない夫人の性格を演じていて
今回はトム・ハンクスでさえも影が薄く見えるほどです。
作曲担当のシャーマン兄弟、運転手、オフィスの女性など
地味ながら脇をかためる俳優陣も魅力的でした。
ラストでプレミア試写会で感動の涙を流し、ディズニー氏に肩を抱かれ
「ペンギンの場面がひどすぎるわ」と言い訳する場面がとても良かった。
ただ映画ではウォルトはアニメを挿入した部分を認めないと言っていた夫人を
試写会に呼ばず(試写会を彼女のクレームで台無しにしたくなかった)
彼女はロンドンから勝手に乗り込んできた設定になっていますが
それほどの情熱をもって映画化をすべく彼女を口説き落としたのなら
ここは何があろうと招待するのが筋では、と思ってしまいました。
この部分はウォルト・ディズニーの計算が露骨でなんだか残念

実際の作者はこの映画の出来をすこしも快く思わず、そのため試写会の間中泣いていたのだとか。
その後の原作の舞台化にはアメリカ人のスタッフを一切使わないことを条件にしたらしいですよ。
まさに筋金入りの女性ですね。

この映画でトラヴァース夫人はジョージ・ジェンセンのアクセサリーを身につけて現れますが
その使い方のすてきなこと。。。
ネックレスをブレスレットのように幾重にも巻いてつけていたり
ジョージ・ジェンセンは年をとってからのほうが似合ってくるアクセサリーだと思うのですが
あんな風にうまく使いこなせるような年の取り方をしたいですね。