|
「孤独な散歩者の夢想」より抜粋
「ぼくはただぼんやりと物を考えながらあたりを見もせずに歩いていたのだが
いきなりひざをつかまえられたような気がした。
見れば5、6歳の小さな子が力いっぱいぼくのヒザをおさえながら、しきりにぼくを見ている。
その様子がいかにもなれなれしく、あどけないのでぼくは心を動かされた。
自分の本当の子供だってこうはしてくれまい。
ぼくはその子を腕に抱き上げると気もそぞろに何度も接吻してやった。それからぼくはまた歩み続けた。
ぼくはあの子とあんなに慌しく別れてきたことが心に咎めてきた。
あの子のあの明白な原因のない行為の中にはなにかしらバカにはできない霊感でもあるように思われた。
つい誘惑に負けてぼくは引き返した。ぼくは子供のところへ駆け寄るとまたしても彼に接吻してやる。
それから運よくそこを菓子屋が通り合わせたのでナンテールのパン菓子が買えるだけのお金をやる。
それから何かおしゃべりさせようと試みた。
ぼくはお父さんはどこにいるかとたずねた。子供は桶のタガをはめている男を指し示した。
その男のところへいって話してみようと、子供を離れかけたちょうどその時、
ぼくは人相の悪い男に先を越されたことを知ったのである。
ぼくをつけているように誰からか回された探偵とおぼしき男が父親に耳打ちをしている間に
その桶屋のまなざしは親しみの色を示すことなくじっとぼくに注がれていたのである。
これを見るとぼくの心はたちまちしめつけられた。そしてさっき引き返した時以上に急遽として
この父子のもとを離れた。しかもさっきのようには楽しくない一種の混乱のため、今までのせっかくの気持ちを
台無しにされて。」
<コメント>
なれなれしい幼児、運よく通りかかった菓子屋、探偵のような男、父親の冷たい目…
集団ストーカー被害者の方はどう思われたでしょうか。
被害者で無い方はナンとも思わないかもしれませんね。数年前のぼくがそうだったから。
でも今はこれを読むと今も昔もぜんぜん変わっていないんだな、と痛感。
ルソーさんの被害談はまだまだ続く…
|