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”なかでも不思議なのは昨日往来で見たあの女だ。てめえの息子を殴りながら「おやじめ!
あたしゃおまえさんに喰らいついてやらなきゃ腹の虫が治まらないんだよ!」だと。
そのくせ、目はオレの方に向けている。オレはドキッとしてうろたえてしまった。そうすると、
あの青い顔の歯をむき出したやつらがドッと笑うのだ。
2,3日前、ランツッオン村から小作人が来て不作をこぼしてアニキに話して行ったっけ。
ヤツラの村に大悪人がいてみんなに殴り殺されたがそいつの内臓を抉り出して油で炒めて食ったヤツがあるそうだ。
オレがちょっと脇から口を挟んだら小作人とアニキがオレの方を見たっけ。今日やっと分かった。
ヤツラの目つきは町にいた連中の目つきにそっくりじゃないか。
思い出しただけでオレは頭のてっぺんから足の先までゾッとする。ヤツラは人間を食いやがる。してみると
オレを食わぬ道理はないわけだ。
そうだ、あの女が「おまえさんに喰らいついてやる」と言ったのと、あの青い顔の歯をむき出した連中が笑ったのと
こないだの小作人がしゃべったことはてっきり暗号なのだ。
ものごとは全て研究してみないとわからない。昔から絶えず人間を喰ったように覚えているがあんまりはっきりしない。
オレは歴史をひっくり返して調べてみた。本にはこんなにたくさん書いてある。
小作人はあんなにたくさんしゃべった。そのうえ、ニヤニヤ笑いながらヘンな目でオレを見やがった。
やつらはオレが食いたくなったんだ!”
<コメント>
集団ストーカーは、ひとつのことだけを気にさせて標的の気を滅入らせる作戦をとることがあるが
それは、この「狂人日記」でも確認できる。ここでは、「人喰い」がキーワードになっている。
「人喰い」のことが気になったら、主人公の周囲の集団ストーカーはそのことばかりをほのめかし続けるさまが描写されている。
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