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『八日目の蝉』

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原題: − 製作年度: 2011年
監督: 成島出 上映時間: 147分
製作総指揮 佐藤直樹 原作 角田光代
音楽 安川午朗 脚本 奥寺佐渡子
井上真央(秋山恵理菜=薫)
永作博美(野々宮希和子)
小池栄子(安藤千草)
森口瑤子(秋山恵津子)
田中哲司(秋山丈博)
渡邉このみ(秋山恵理菜=薫(少女時代))
市川実和子(沢田久美(エステル))
吉本菜穂子(−)
相築あきこ(−)
別府あゆみ(−)
安藤玉恵(−)
安澤千草(−)
蜂谷真紀(−)
松浦羽伽子(−)
ぼくもとさきこ(−)
深谷美歩(−)
畠山彩奈(−)
余貴美子(エンゼル)
平田満(沢田雄三)
風吹ジュン(沢田昌江)
井上肇(−)
宮田早苗(−)
徳井優(−)
広澤草(−)
野中隆光(−)
管勇毅(−)
荒谷清水(−)
日向とめ吉(−)
瀬木一将(−)
吉田羊(−)
日比大介(−)
劇団ひとり(岸田孝史)
田中泯(タキ写真館・滝)


◎採点:★★★★★(5/5点)


◎レビュー:“同情”と“愚かさ”と“犯罪”について。


「こんな映画、観たくない」と思っていました。

幼い子を誘拐する人間になど、同情の余地はありません。

もしも我が子を誘拐されたなら、私は、その相手をめった刺しにして、殺してやりたいと思うでしょう。

それなのに、この映画を観たならきっと、にっくき誘拐犯に、同情してしまうにちがいありません。

わずかであれ、じぶんにそんな感情が湧いてしまうであろうことを、ひどく不快に感じていました。

でも、私は、永作博美さんが好きです。(照)

しかも、小池栄子様まで出演なさっているではありませんか!

映画『接吻』以来、私の頭の中では、演技派名女優として確固たる位置を占めていらっしゃるゆえ。

栄子ねえさんが出演されているのなら、ちょっと観る価値あるかも、と思ったわけです。



まんまと、やられました。

だだ泣き、ぼろ泣き、さみだれ泣き!(そんな言葉、ね〜か。)

私、勘違いをしておりました。

誘拐犯が主人公だと思っていましたが、ちがうのですね。

観るひとが、誘拐犯を断罪しようが、同情しようが、この映画の価値は変わらないと知りました。

この映画は、誘拐された娘の、井上真央さんが主人公だったとわかり。

「誘拐犯には死を!」と息巻く私にも、受け入れやすい設定でした。



娘を奪われた、実母の苦悩。

その苦悩は、娘が戻ってからの方がむしろ酷いくらいに描かれていました。

確かに、彼女はもとから愚かな女性かもしれません。

しかし、彼女程度の愚かな人間も、あんな不幸な境遇に置かれなければ、もっと幸せな人生を歩めたはずです。

何よりも、夫の不倫が、彼女を愚かな人間に貶(おとし)めました。

夫の子を堕胎した永作さんに、厭味を言いにいくシーン。

永作さんに同情して観ていたなら、この実母、ほんと最低な女だなと思えます。

こんな酷い厭味を言いにいかなければ、永作さんも、赤ん坊を誘拐しなかっただろうと思います。

でも、それは結果論でしょう。

夫の心を奪った女から、自分の“家庭”を取り返すために、彼女は必死なのです。

彼女にとって、これは「闘い」だったのです。

夫を自分の家庭に呼び戻し、生まれてくる我が子に、幸せな家庭を与えてあげるために。

夫の不倫相手、永作さんに、最後の、とどめの一撃を、その心にグサリと打ち込む必要があったのです。

ただ、たしかに彼女は愚かでした。

たとえ相手が悪女であろうとも、ひとのこころを、一線を越え、徹底的に踏みにじれば、その反撃は、常軌を逸したものになると。

この実母は、計算できなかったのですから。

しかし、その愚かさに比して、彼女に与えられた罰は、何という不当な罰でありましょうか。



では、誰が悪かったのか。

その罪を、男たちに着せるのが、もっとも分かりやすい正義でしょう。

たしかに、男たちは、反省すらしているのかどうかあいまいな、ひどい愚か者として描かれています。

でも、私は、劇団ひとりさんを「きもい」とも「きしょい」とも思いません。

彼の愚かさに対して、ただただ親近感をおぼえただけです。

おなじ“弱い男性”として、彼に憐れみをおぼえこそすれ、蔑(さげす)むことまでは出来ませんでした。

たしかに、私は、不倫をしたことがありません。

けれど、不倫をしないのは、有り難い事に、不倫した結果うしなう物の重みを理解するだけの脳ミソがあるからにすぎません。

どんなに妻と子を愛していようとも、「かわいこちゃんは、みんな大好き! うひ」という本能は、消えてなくなりはしません。

単に不倫願望がないから不倫しないよという男性がいたなら、その男は、ぜったい不倫しています。(決めつけ)



男女に関わらず、我々はみな、じぶんのなかに“愚かさ”を抱えて生きているのです。

その“愚かさ”と、危ういバランスを保ちながら、我々は、「正常」という名の細い線上を歩いています。

もしも、こころのバランスを失うような出来事に遭ったならば、我々は、この細い線上から、安易に足を踏み外してしまうでしょう。

果たしてだれに、人の“愚かさ”を裁く権利があるでしょうか。

我々はただ、人の“愚かさ”を「他山の石」にするだけです。

おのれのなかにある“愚かさ”を、いかにコントロールするか、それを早めに学習できたことを感謝するだけです。

もしもそれを学習する前に、コントロールの利かない事態に巻き込まれたとしたら。

罪を犯したのは、私かもしれない、そう思うのです。

私たちが罰することのできるのは、ひとの“愚かさ”ではなく。

ただ、ひとの犯した“犯罪”だけであると感じています。

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なるほど…見たくなりました!井上真央ちゃんはどうでしたか?

2012/3/19(月) 午後 8:32 かおりん

かおりんさん、こんばんは。

見たくなりました?? 母親として、この映画を観るのは、こころ引き裂かれる想いがするとおもいますので。お気をつ・け・て★(笑)


ちなみに、今日は、いまさっき『告白』を鑑賞しました。これもまた、子をもつ親として観るのはかなりきつい映画です。なんか、最近、“母性”をテーマにしている邦画が多い気がします。

井上真央さんは、とくに好きな女優さんではないので、それほど注目しておりませんが、何はともあれ、主役です。彼女の演技がヘボかったら、この映画は成立しなかったでしょう。ただ、脚本がいいから、彼女の役柄がいいから、彼女自身も良く見えたのかもしれません。なので、評価はむずかしいです。彼女の演技力については正直、よくわかりませんでした。今後の活躍を見守ってゆきたいといったところです。

2012/3/22(木) 午前 0:11 スピノザ


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