Ashley事件から生命倫理を考える

世の中は想像していたより、はるかにコワイ・・・

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昨日のエントリーでちょっと触れたように、
昨日からリバプールで開かれている英国医師会の年次大会に
現在議会で審議中の自殺希望者を海外に伴う行為に関連した法改正と、
さらにターミナルな患者に自殺幇助を認めるよう求める動議とが提出されており、

その行方がたいそう気になっていたのですが、

今朝一番で見つけたニュースでは、
医師会会員の投票では、いずれの動議も否決されたとのこと。

前者の、身近な人が海外へ自殺するために行く際のサポートを違法としない法案支持では
賛成44% に対して反対 52% の僅差。

しかし後者の、ターミナルな患者の自殺幇助合法化支持の動議では大差だったとのこと。

英国医師会はこれまで自殺幇助についてのスタンスが揺らいできたものの
2006年以降は現行法支持で一貫している。

議会の良い死にかたに関する超党派グループの会長である Finlay氏は
「ケース・バイ・ケースで判断する現行法は、厳しい顔と親切な心を持っている。
厳しい顔があるからその気がない患者への強要が防止でき、
優しい顔の思いやりもある。
それでどこに不都合が?」と。

まずは、よかった。

ちなみに、大会では
医師が患者のスピリチュアル・ケアに関与することの是非についても議論があったようですが、
これについては、これまでの経緯をまったく知らないので、よく分からないながら、

患者のために祈った行為に対して看護師が停職処分を受けるという事件があったらしく、
その看護師を支援するための動議だったようです。


    
自殺幇助関連法改正の動議を提出したDr. Kailash Chandが
その主張するところを書いている同じくGuardianの記事は、こちら。
日付は同じですが、こちらは投票前のものです。

Why we should make euthanasia legal
The Guardian, July 1, 2009


今日、この内容をまとめてエントリーを立てようと考えていたのですが、
めでたく否決されたので、パス。

気になった点のみ、いくつか指摘しておくと、

自殺幇助を合法化することが「唯一の」人間的で合理的かつ思いやりのある選択である、と主張している

なにかといえば Ashley事件を引き合いに出して申し訳ありませんが、
シアトル子ども病院が子宮摘出の違法性を認めた際のプレスリリースでも
成長抑制ほかの医療介入がAshleyのQOLを維持する「唯一の」方法だと
両親が訴えたと書かれていました。

Dr. Chandの主張においても、いとも簡単にケアという選択肢が無視されており、
「強調すること」は「事実を偽ること」と同じではないはずなのに、
どうして平気でこういうウソをつくかなぁ……。

もしも「唯一の選択肢」だと主張するならば、そう主張する人は
「明白で説得力のあるエビデンスを提示することによって」
それ以外の選択肢がないことを証明してみせなければならないはず。

既成事実が法改正の正当化に使われている。

既にスイスのDignitasで自殺した英国人が115人にも上るという事実が、
正当化の論拠として使われているのですが、

「外国の法律を変えることはできないのだから、もはや国内で法律を変えるしかない」

「現行法を厳密に適用したら、身近な人の自殺に付き添った100人以上が有罪になる。
 今でも付き添っていく人たちは犯罪者になる可能性におびえつつ
愛するもののためにリスクを引き受けている。
現行法のこの曖昧さは解消すべきである」

「現行では、海外渡航が可能な富裕な人だけが自殺幇助を許されている。
 これは不公平であり、誰でもが国内で同じことができるようにすべきである」

しかし、これらはすべて
スイスに行って自殺するという行為も、それに付き添っていくという行為も
ともに是とすることを前提にして成り立っている議論であり、

その前提からして、議論の余地があるはずでは?

現に当のスイスに、Dignitas規制への動きも見られるわけだし。

だいたい、その115人の中にはターミナルでもなんでもない人も含まれていることだって
都合よく忘れてはいかんでしょう。

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