Ashley事件から生命倫理を考える

世の中は想像していたより、はるかにコワイ・・・

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NY Timesに「唯の人間なの? まー、時代遅れだこと」というタイトルの記事。

Merely Human? That’s So Yesterday
The NY Times, June 11, 2010


グーグルの幹部やトランスヒューマニストらが出資して2008年に
the Singularity Universityなるものが立ち上げられている。

大学の公式サイトはこちら

現在はまだ、
米国政府が官民セクターの出会いの場と位置付けているシリコン・バレーのNASA Ames内に
拠点を置いて短期の講座を開催しているだけだけど、
いずれはキャンパスを構えるのだとか。

その理念は、その名の通りsingularity。すなわち「特異点」。

特異点とは、
各種新興テクノの進歩がある段階に達したところで
それらの総合的な影響力が一気に爆発的な効果をもたらし、
俄かに人間の能力を超人的な次元へと引き上げる……その地点のこと。

実際には、50年代にJohn von Neumannという数学者が語ったり、
93年にもSF作家のVernor Vingeが使った用語で、

この記事の中で、Ashley事件でお馴染みTH二ストのJames Hughesが言っているように
「KurtzweilはSingularityという用語をハイジャックしたのだと言う人は多い」のだけれど、

なにしろ彼の著書“Singularity is Near(邦題:ポスト・ヒューマン誕生)”が
今後数十年以内に特異点が訪れて、そうしたら人類は生物学的な限界をすべて超え、
不老不死を手に入れて、貧困、飢餓、気候変動、エネルギーなどの諸問題を解決することができ、
みんながハッピーになる……と説いて大ウケしたわけだから、

そのために人材を育成し、研究者や企業のグローバル・ネットワークを……という
建学の(と言うと、なぜかそぐわない気がするのだけど)精神(これもしっくりこないけど)の
この“大学”でも、Ray Kurtzweilが教祖……もとい広告塔……もとい表看板。

シリコン・バレーには、彼と同じようにテクノ・ユートピアを信じる
チョ―頭が良くて、ゼニがじゃぶじゃぶ有り余っている人たちが、わんさといて、
この“大学”に出資している。

Googleはもともと人類の思考能力を超えた巨大頭脳をつくり出そうと
日々シリコン・バレーで精進していることで知られていて、
Nasa Amesとも、もともと宇宙開発で提携関係にある。

(もともと米国政府がトランスヒューマニストと同じ方向を向いているのは
 2002年のNBICレポートの段階で明らかだったりもする。
 このレポートの内容の概要は「米政府NBICレポート」の書庫に)

で、このNYTimes記事は、
カーツワイルの半生をあらまし追いかけながら
彼の特異点説やテクノ・ユートピアに対する賛否両論を併記しつつ、

でも、実は、一番強く響いてくるメッセージとしては、

GoogleがKurtzweilを表看板に
Singularity大学でやっていることも、やろうとしていることも
結局は「特異点ビジネス」じゃないの……?

なにせ、この大学には目下、2つの講座があるのだけど、
その1つが10週間の「大学院コース」で25000ドルなり。

去年の講座には40人定員に1600人が応募し、
今年も定員80人のところに1200人が応募したそうな。

もう1つが、さらに上を行く 「幹部コース」で
こちらは9日間、夜明けから夜遅くまで、びっちりプログラムが組まれている。
お値段は15000ドルなり。

内容はともかく、
次なるベンチャー・ビジネスの動向を読み、投資判断の材料をゲットすることができるし、
ちょっと他ではありえないクラスメイトとの出会いと、
ネットワーク作りの場として大人気。

(受講生のほぼ全員が男性……と記事がわざわざ断っているのが興味深い。
THニズムてな基本的には白人・男性・知的エリートの価値意識じゃないかと私も前に書いたことがあったけど。)

特異点を信じる彼らは、
自分たちの力だけでそれを成し遂げられると信じていて、
また、そうするつもりなので外部から介入されることを嫌う、
特に政治的な妥協をしたり、路線の違う人たちを説得するなんて彼らには論外なのだ、とも。

(このあたり、いかにも個体の能力と機能しか見ず
人と人との関係性というところが見えないTH二ストらしい、と思う)

つまり徹底したリバタリアンで
だから、2008年の大統領選ではGoogleもMicrosoftも
アメリカ・リバタリアン党のロン・ポールにせっせと献金した、とか。

ここでGoogleと並んでMicrosoftが登場しているのは興味深くて、

そういえば記事の最後のあたりには、
カーツワイルはBill Gatesとも仲良しで、
カーツワイル本にはゲイツ氏が頻繁に言及されていて、
日本の本につけられる帯に当たるものをゲイツが書いていることも書かれている。

ゲイツ財団がIHMEを作り、グローバル・ヘルスでやろうとしていることを
グーグルはこういう形でやろうとしているということだろうし、
その価値観と理想と独善性とを共通項に、
その2つの動きは実はやっぱり1つなのだろうし、

これって、あの「ビルダーバーグ会議」
科学とテクノ・オタク版なのでは……? 

でも、例えば、このNYTの記事は相当な皮肉をきかせているし、決して賛同してなどいないのだけど、
SUの学長さんは「ボクタチの目的をNYTが紹介してくれて、とっても嬉しい」と喜んじゃってるみたいだし、

ビルダーバーグに比べて、こちらは、
たまたま、お金をたんまり握ってしまった頭のいいオコチャマたちの、
はた迷惑な児戯に思えて仕方がないのは、なぜ――?



それにしても、
この記事やSingularity Univ.のサイトで写真を見てつくづく思ったのは、

カーツワイルさん、しばらく見ない間に、歳とったね〜。

1日150錠ものサプリなんてやめて、
ちゃんとしたご飯をしっかり食べた方が良くないっすか?




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