Ashley事件から生命倫理を考える

世の中は想像していたより、はるかにコワイ・・・

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この話、基本的には、

権威ある生命倫理学の学術雑誌the American Journal of Bioethicsの
創設者・編集長であり、いわばオーナーでもあるGlenn McGeeが
テキサスに本拠を置く幹細胞バンク企業 Celltexに職を得て、
AJOBの編集長の座を妻に譲り渡して、シレッとしているとして、
幹細胞研究を学問的に検討すべき立場にあるジャーナルのトップが
当の企業に身売りするとは何事か、との批判が噴出し、

また編集長の交代について
そうそうたるメンバー36人からなる編集委員会は事前に知らなかったとて、
ミネソタ大のLeigh Turnerを中心に、ツイッターで
編集委員の総辞任を求める声が渦巻いている、というもの。

これ自体が、米国の生命倫理学の信ぴょう性を揺るがす大スキャンダルなのだろうけど、
以下の記事を読むと、そこにはさらなるスキャンダルがいっぱいくっついていることに、改めて驚く。

しかも、情報をたどっていくと、
いきなり日本の科学とテクノの利権がらみの事情まで登場してくるとあって、
なんともコワい、諸々の“金魚のウンコ”的つながりっぷり――。


AJOBは、McGeeがペンシルバニア大に在職中の1999年に創刊。

ただし、McGeeは
AJOBとタイアップさせたウェブ・サイトを営利目的のサイドビジネスにしており、

05年に the Alden March Bioethics Instituteへ、
またその3年後にはカンザスの the Center for Practical Bioethicsへ移籍した際にも
AJOBと営利目的のウェブ・サイトを移籍先の機関へ持っていったものだから、
「生命倫理学を商業化している 」との批判を浴びた。

その時のいきさつは、以下のScientific American に詳しいとのこと ↓
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=glenn-mcgee


ただ、これまでは、そうはいっても
一応は生命倫理の研究機関への移籍だったけれど、
今度は生命倫理学が検証の対象とすべき幹細胞企業への身売りとあって、
これまでとはまた話が違う、と非難ごうごうとなっている、というわけ。

さらに、身売り先のCelltexという企業がまたスキャンダルにまみれている。
テキサスで唯一の成人幹細胞バンクという謳い文句のこの会社、
韓国の企業RNLBioと組んで、FDAがまだ認可していない治療をやろうとしている。

それにはテキサスの新しい州法が隠れ蓑に使われるらしいのだけど、

それに先立つ去年の夏、これらの2社は
腰痛に悩むテキサス州知事に、この療法をやってあげたんだそうな。

喜んだRick Perry知事は、
自分の主治医がオーナーの一人であるCelltexをテキサス州で初めて認可し、
友人・知人はもちろん政治的恩義のある筋にもこの治療が受けられるように
新しい州法の法案をせっせと後押しした……という噂。



……となれば容易に想像されるように、
上記のAJOBとタイアップしているMcGeeの有料サイトにも
The Texas Association for Stem Cell Ethics and Policyなるページがお目見えした。
もちろん、現在は削除されている。

そんな事情を経て、このたび、いよいよCelltexに天下っていくのに
立場上まずいからって、こっそりと編集長の座を妻に譲った。
妻に譲ればいいというものじゃないだろう、とツイッターで大騒ぎに。

現在のAJOBの編集委員リストはこちら ↓
http://www.tandf.co.uk/journals/journal.asp?issn=1526-5161&linktype=145

あのスタンフォード大のDavid Magnusが、
Mcgee夫人ともう一人の現編集長なんですね)

Unethical Bioethichists?
Biopolitical Times, February 10, 2012


CellTexの相方のRNLBioという韓国の企業が、これまた胡散臭くて、
犬のクローンを作ったことで「恐らくは最も悪名高い」会社であり、
さらには患者が2人、ここの幹細胞治療で死んでいる……

という話があったので、
上記記事のリンクをたどってみたところ、
びっくりしたなぁ、もう。

なんと、なんと、死亡した患者の1人は
RNLBioの提携先の東京のクリニックで治療を受けた73歳の患者だと。

1年間の医療ツーリズムの契約をRNLBioと交わし、
その契約に基づいて東京にやってきて提携先のクリニックで治療を受けて
肺塞栓を起こして2010年9月30日に死亡。

もう一人は中国でやった患者とのこと。


そこで日本語で検索してみたら、

JHM: 再生医療 臨床応用に新たな制度作り着手(2011/8/1)
http://www.e-jhm.jp/modules/jhm/index.php?page=article&storyid=729

しかし、なぜか、ここでは
一人は日本のクリニックで治療を受けた事実には言及されていません。

ちなみに、この記事で言及されている米国での脊損治療実験は
昨年11月に突然中止されています ↓



RNLBioの患者さんの死亡については、読売新聞が11月15日にこの事件を報道した模様で、
私も時々覗かせてもらっている「新小児科医のつぶやき」ブログが
詳細に調べてくださっていました。

同ブログの2011年11月19日のエントリー「なんとなく怪しげな…」によると、

このクリニックは京都のベテスダ・クリニック。開院は2010年5月。

ただし、この段階で、クリニックのHPは存在するものの、
2011年5月に税金滞納で不動産が差し押さえられており、事実上閉院している。

しかし、このクリニックを巡る新小児科医さんのリサーチは徹底していて
ここからさらに怪しげな話になっていくのです。

ホテルオークラでの開院式。
京セラの稲盛会長や前原誠二氏、京都の副市長ばかりか
国交省、官公庁のお役人までがご出席。

「富裕層観光」「今話題の最先端の医療技術」
「アトピー、リュウマチ、糖尿病、ガンなどの治療を……」
「韓国で行うと違法なので、日本にクリニックを作ったらしいです」
「目標は2010年に1万人、2011年には10万人」などなど。

詳細は、上記、新小児科医さんのブログで、ぜひ。


……この日本の話を、上のAJOBのスキャンダルと繋げて考えると、
やっぱり世界はspitzibaraが想像してきた通りではないか、と改めて確認する思い。

もともと私はAshley事件に関して
AJOBもJAMAもヘースティング・センターも、
あんな非論理的で論文として体をなしていないようなものを
よく掲載するよなぁ……と、不思議かつ眉ツバだった。

やっぱりアシュリー事件は改めて、縮図だ……。

そう考えると、
改めて背筋に冷たいものが走る。


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でも、考えてみたら、CDCの前ディレクターがメルク社のワクチン部門に平然と天下りしても、さして大きく報道されることもなく、大した批判も非難も浴びることなく今に至っているわけだから……。

http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/59230014.html

2012/2/15(水) 午後 4:10 [ spi*zi*ar* ]


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