Ashley事件から生命倫理を考える

世の中は想像していたより、はるかにコワイ・・・

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NDRN報告書のP. 21より、
知的障害者への強制不妊を人権擁護団体の介入が阻止したケースの概要を。

2008年の事件。

2008年に母親が産婦人科医を訪れ、
知的障害のある娘カルメン(22)は生理が重く、生理痛もひどく
頻繁に尿路感染を起こす、自分でケアできない不衛生が原因で
腎臓に感染が起きて、既に片方の腎臓は摘出しているし、

腎臓でかかっている娘の主治医は
今度尿路感染を起こしたら命の危険があると言っている、との理由で不妊手術を希望。

産婦人科医はカルメンを診察する前から、
部分的な子宮摘出手術に同意した。

The North Dakota Protection & Advocacy Project(ND P&A)が
カルメンの母親と産婦人科医と話したが、
カルメンの人権について納得してもらうことはできなかった。

そこでND P&Aは代理人裁判所へこの問題を持ち込み、
審理では自らがカルメンの代理人となった。

ND P&Aが証人として呼んだのは
カルメンの介護サービスを提供している事業所の看護師で、

カルメンのケアの記録からは
生理は重くはないし、異常なほどの生理痛もないし、尿路感染もなく、
プロの介護を受けて生理のケアが不衛生になることもないし、
腎臓の専門医から不妊手術を進められている事実もない、
本人は産婦人科医の診察を恐れており、
不妊手術は嫌だと言っている、と証言。

裁判所は手術を禁じた。


これを読んで、私が思い浮かべるのはやはり
2010年3月のオーストラリアのAngela事件。
(詳細は文末にリンク)

一見すると、
生理が異常なほど重くて、貧血やけいれん発作を引き起こしていて
それが命にかかわるほどになっていると読めるのですが、

よくよく読むと、
けいれん発作も貧血も現在は収まっていて
書かれているような「健康問題」も「命の危険」もどこにも存在しない。

でも、それが存在するかのように
マヤカシと隠ぺいのトリックを駆使して書かれている。

何がそう「読める」んであり「書かれている」のか、というと、
他ならぬ判事による判決文だから、びっくりで、

それが何よりもこの事件の最大のミステリー。

だからAngela事件は
上記のカルメンのケースとはまったく次元の違うタチの話ではあるのだけれど、

そこに共通しているのは、

知的障害者や重症児・者の強制不妊手術を受け入れやすい文化が
医療を中心に、社会の中にまずあって、

その文化は強制不妊が人権侵害だとの意識自体が低いために、

「健康問題」とか「本人のため」という正当化を持ちだされると
個別の事実関係に即して丁寧にそれを検討するプロセスをすっ飛ばして
簡単に説得されてしまう人たちがいる、という点。

これはアシュリー事件での
生理が始まってもいない段階から「生理痛を予防する」とか
「万が一レイプされた時の妊娠予防」などという正当化論に
簡単に説得されてしまう人が少なくなかったことにも通じていく。


もう一つ、頭に浮かぶ英国の事件がこちら ↓
英国で知的障害女性に強制不妊手術か、保護裁判所が今日にも判決(2011/2/15)

ちなみに世界医師会からは去年、以下のような見解が出ています ↓
世界医師会が「強制不妊は医療の誤用、医療倫理違反、人権侵害」(2011/9/12)





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