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9月10日の下院に続いて12日に上院を通過したCA州のPAS合法化法案については
これまで以下のエントリーなどで拾ってきました。



この法律が支持者からは「ブリタニーの法律」とも呼ばれているのは
昨年秋にCA州からOR州に引っ越し、ビデオで11月1日に死ぬことを宣言、
いったんは揺らぎながらも宣言どおりに医師の幇助を受けて自殺して
世界中で大きく報道され続けたブリタニー・メイナードさんの事件が
法案提出の機動力となったことから。



で、7月にいったん引き下げられたはずの法案が、
いきなり復活するや、あれよあれよという間に両議会を通過し、
いまや知事の署名を待つ段階に至っているわけですが、

そのあたりの事情について、いくつか報道からメモ的に。

LAタイムズが、興味深い社説を書いている。


タイトルが示すように、
そのヤリクチは批判しつつ、知事に署名するよう求めるもの。

社説はまず、
通常議会では委員会段階までで終わった法案を
貧困層への医療を保障する特別セッションに提出される新たな法案の中に
パッケージとして含めて出した推進派のヤリクチを手ひどく批判する。

The process stunk, as the worst kind of sausage making does.

そのプロセスは、いちばん質の悪いソーセージを作るプロセスと同じくらい、胡散臭い匂いがする。



それに対してLAタイムズは紙面で批判し、
単独の法案として来年再提出せよと書いてきたが、
議会は耳を貸さず、ゴリ押しを通した、と。

しかし、社説の趣旨は、
こうなった以上、知事は、そのヤリクチのあこぎに目を奪われることなく、
PAS合法化の利点を認めて、署名しなさい、というもの。

知事はどうも、このやり方に批判的で、
もう一度、仕切りなおして来年の議会に法案提出すべきだと言っていたらしい。

この社説に対して、読者から鋭い指摘が来ている。
http://www.latimes.com/opinion/readersreact/la-le-0916-wednesday-right-to-die-20150916-story.html

もし最も効果的な言葉の言い換えに対してピューリッツァ賞が贈られるとしたら、知事の机にある「死ぬ権利」法案について書かれたこの社説が対象となるでしょうね。

この法案が合法化するものを表わすには、実に簡潔な表現があります。自殺幇助です。しかし、貴紙の社説では「自殺」という言葉も「(自分を)殺す」という言葉も、どこにも使われていません。逆に、貴紙は法案の支持者たちが好む言葉の言い換えを用い、「自殺」という言葉の代わりに、法案は「終末期の患者の死を早める」ものだと書いています。

この問題について賛否のどちらに立つにせよ、ジャーナリストはきれいな言葉の言い換えで自殺幇助のつらい現実から目を背けることをすべきではありません。

Steve Mills、Glendale


この言葉の言い替えと、それによる対象範囲の不明確化については、
以下のエントリーなどで当ブログでも何度も指摘してきました。



メイナード事件を中心にPAS合法化問題の賛否両陣営にとって
SNS活用がいかに戦略上の重大事になっているかを考察した記事。

Campaigning for the right to die: Technology’s influence on the aid-in-dying conversation
Peninsula Press, September 14, 2015

 そこから、メイナード事件で気になっていたC&Cの動きについてのみ
簡単にメモしておきたい。

まず、一気に世界的論議を呼んだ、あのメイナードさんのビデオを拡散したのは
メイナードさんでも家族でもなくC&Cだった、という事実が指摘されている。
(あのビデオは最初の画面右上にC&Cと入っているように、製作もC&C。
C&Cがプロにやらせたという情報も)

また、C&Cはビデオをプロモーションしただけでなく、
プライムタイムのメディアでのインタビューをセッティングし、
米国中でメイナードさんが話題になり続けるように、また彼女の死後にも
ブリタニーさんのことが語られ続けるようにした。

(死後にも、メイナードさんについての新情報を流したり、
適当な間隔を置いては遺族をメディアに登場させたりしているのをみて、
私もC&Cのその狙いを感じた)

もう一つ、とても興味深い事実として、
合法化法案は2007年に失敗したこともあり、
C&Cはメイナード事件で議論を盛り上げた後ですぐに法案提出は考えてはおらず、
むしろ州民の啓発と教育に力を入れる作戦だったという。

ところが、メイナードさんの死後すぐ
Bill Monnning、Lois Wolk両上院議員がC&Cにアプローチ。

にわかに活気付いたC&Cは去年11月末から
853人を超えるボランティアを合法化運動に向けて養成。
彼らを各地域の商店街やロータリークラブに派遣しては啓発し、
合法化に向けて住民から議員への働きかけを呼びかけさせた。

同時に、終末期で死にたいと望む人や家族のための
カウンセリングや情報提供サービスをスタート。

さらにC&Cは法案推進のため、4つのロビー会社を雇った。

C&CのCA州キャンペーン責任者のToni Broaddus氏は
春にメディアのインタビューに以下のように答えている。
ただし、ロビー企業に支払っている具体的な金額については言及せず。

私たちはたくさんの金銭的資源を、この法案を進め社会を変えるために手を借りる必要がある人々に投資しているところです。


また、ブリタニーさんの夫のDan Diaz氏は、
C&Cの影響力がなかったら妻のビデオがあれほどインパクトを持ったかどうかについて

(C&Cの関与がなかったら)最初は大いに注目されたでしょうが、すぐに廃れていったかもしれませんね。C&Cがメディア戦略に長けているから、注目を維持し、焦点化することができて、それらを適切なタイミングで議員たちに対しても利用することが出来たのです。


米国内科医学会は、CA州の法案に反対。
会長名で知事に対して署名せず拒否するよう求める書簡を発表。



Not Dead YetもJohn Kelly名で
知事に拒否権発動を呼びかけ、また読者にも知事に意見表明するよう呼びかけている。

この記事に

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以下の記事によると、知事が署名すればもちろん、署名せずとも拒否権を発動せずに12日が経過すると自動的に法律が成立するとのこと。

https://www.newsreview.com/sacramento/will-gov-jerry-brown-sign/content?oid=18373012

2015/9/17(木) 午後 5:09 [ spi*zi*ara2 ] 返信する

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