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1月に「無益な治療」論最先端のテキサス州で起きた、
映画「ジョンQ」ばりの事件。

この人の写真には見覚えがあるので、当時のニュースは読んだはずなのだけど、
検索してみてもエントリーでは拾っていなかった。

27歳の息子が脳卒中を起こして入院し、
父親のGeroge Pickeringさんが見舞いに行ったところ、
息子は脳死と診断されて、医師らは徐々に人工呼吸器を外して死なせる方針だといい、
離婚した妻ともう一人の息子はそれに同意したとのこと、
息子は既に臓器提供者として登録されてしまっていた。

誤診だ、決めるのが早すぎる、と感じた父親は
酔っ払って病院に乗り込み、銃を振りかざして治療の継続を迫った。

警察が来て3時間の攻防となり、
なんとその3時間の間に息子は手を握ったという。

息子が意識を回復した以上、治療は継続されることとなり
父親は投降。

息子は、現在は完全回復。



Mailの記事のコメント欄に、マレーシアのお医者さんが
「移植目的での脳死診断」について以下のように書いている。

After 45 years as a Physician in a large hospital, I have seen enough to convince me that the diagnosis of brain death for transplant purpose is a brainless though self fulfilling diagnosis ! A person is truly dead only when his brain is shown to have rotted through multiple brain biopsies or a CT or MRI scan which showed unequivocal evidence of liquidfaction....or the total cessation of natural or artificial circulation for at least 10 minutes.



この事件について「無益な治療」論者のPopeが書いていることが
ずいぶん妙なんだけど、

結果的にはうまくいったにせよ、
病院との争議を解決するには、銃を振り回すより良い方法があると言って、
以下を挙げている。

1. 治療チームと交渉する。
2. 倫理委員会など病院内の(争議解決?)プロセスに訴え出る。
3. 別の施設に転院する。
4. メディアに訴えるぞと脅す。
5. 裁判に訴えるぞと脅す。
6. 調停機関や医療委員会、病院の理事会などに訴えるぞと脅す。
7. 実際に裁判所の命令を取る。
8. 銃を振り回す。


生命倫理学者がこの事件で問題にすべきは
回復の可能性が十分にあった患者が「脳死」と誤診され、
生命維持を無益として中止が宣告され、臓器提供のプロセスに乗せられたという
重大な事実と、

そこに見られる
医師の専門性に「無益」性判断をゆだねるテキサス州の「無益な治療」法が
回復可能な患者を死に追いやるリスクではないの?

これでは、まるで
病院から「無益な治療」論を誤って発動された際にまで
その争議を解決する責任が患者サイドにあるといわんばかり。

Dad Pulls Gun to Make Hospital Keep Son on Life Support
Medical Futility Blog, December 28, 2015


【30日追記】
いつもお世話になっているMoritaさんが、その他の記事を読まれて
「脳死」判定をしたうえで「脳死」と診断されていたのではないのでは、
父親の発言には脳死と植物状態の混同も見られる、とのご指摘ありました。

私もこの事件で報道されている経過については、
時間をかけて徐々に人工呼吸器を外していく間に
意識が戻っていた可能性もあるのではないか、という疑問もあるのですが、

テキサスの「無益な治療」法では
脳死や終末期でなくても生命維持を「無益」と判断することも、
家族が反対しても倫理委員会で認めれば一方的に中止することも可能なので、

この事件が示唆しているのは、以前から書いているように
「脳死」診断による生命維持停止が臓器提供と結びつくことを超えて
QOL指標による無益な治療論にも同様のリスクが出てきているということか、と。

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