どうする、利根川? どうなる、利根川? どうする、私たち!?

八ッ場ダムを中心としたダム・河川の話(工学、法律、歴史)。なお、緑色がリンクです。

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 続きです。長く書いてきましたが、最終回です。
 現在の利根川の利水状況を考えると、渇水対策を考える上で重要な点は、
  • 1)対策が問われているのは、10年で何日か訪れる”ダム枯渇の危機”をどう乗り切るか、という話であり、
  • 2)その際、それをダム建設という施設増強(ハードな渇水対策)で対応しようとすれば、新規のダム建設計画は八ッ場ダムなのだから、夏季利水容量2,500万㎥を確保することが、どれほど有益なのかを相対的に考えてみる必要がある
という話だと整理できるはずです。
 2)については、インフラ整備である以上、かならず建設費と維持管理費がかかるということを踏まえなければなりません。詳しくは省きますが、今後は戦後復興・高度経済成長を支えてきた重要なインフラ施設のメンテナンス費用が増大しますので、新規のインフラ整備は抑制されざるを得ません。
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詳しい話は、http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/3760082.html を参照下さい。


 そこで、考えるべきはソフトな渇水対策、つまりは緊急時の水のやりくりによって渇水危機をしのぐという方策の有効性です。というのは、
  • ア) 通常時の水需給の不均衡が解消された以上、求められているのは10年に何日か訪れる渇水危機をどう凌ぐかという話
  • イ) この時、施設増強(八ッ場ダム)という手段で対応するとすれば、普段は遊休化する施設に膨大な建設費・維持管理費を支払うという無駄が生じる。これは健全経営を確保するという水道行政に反する行為です。
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  • ウ) 他方で、ソフトな渇水対策であれば、その渇水対策(水の融通)をする緊急時にだけ費用がかかる
という利点があるからです。
 ここでいう”水のやりくり”の中には、需要抑制という話も含みますが、ここでは端的に、他の用途からの水の転用という話を考えて見たいと思います。

 水の転用・融通先として、1つ考えられるのは、発電専用水量からの融通です。利根川水系の主力として働き(ダムと渇水①参照それ故、貯水量の減少が著しい矢木沢ダムですが、この矢木沢ダムには、新規利水容量とは別に、発電専用水量があり、その容量は八ッ場ダム夏季利水容量2,500万㎥をこえる3,820万㎥が設定されています。

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 関東地整は、今後の利根川水系の利水安全度を1/10に高めるに際して(ダムと渇水【補足】参照)、1987年をその基準年と考えています。1987年=1/10渇水年という評価は厳しすぎるんじゃないかと思いますが、この1987年は、厳しい渇水を凌ぐために、矢木沢ダムの発電専用水量からの転用を行い、渇水を乗り越えた年でした。

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 この事実は、逆に言うと、1987年のような厳しい渇水年でも(行政は、1/10渇水年と位置づけ)、矢木沢ダムの発電専用水量は残され、その転用は期待できるということを示しています。
 その時、緊急転用に対してどう補償を行うか、ありうる対策としてどう事前準備していくかをスムーズに行うルール作りの方が遥かに有益なんじゃないかと思います。
 
 もう1つ、ソフトな渇水対策がありえます。
 ダムの枯渇がここまで激しくなる理由の1つは、正常流量の確保のためのダム補給です。正常流量というのは、河川流量として最低限維持しなければならないと定められている流量のことで、利根川では、渡良瀬川合流後の栗橋(埼玉県久喜市)です。正常流量は河川整備基本方針で定められていますが、7月の栗橋地点は最大106.9㎥/秒です。
 こうした正常流量を確保するために、ダムには「流水の正常な機能の維持」という不特定利水容量が設定されており、流水の正常な機能の維持のための放流は、水道用の水利権よりも優先して行われます。
 つまり、正常流量を一時的にでも減少することができれば、ダムからの補給が抑えられ、貯水量の目減りは抑制できるわけです。こうした措置は実際に行われていまして、木曽川水系では1986年渇水の際に(誤記訂正)、基準点・馬飼(成戸、岐阜県羽島市、河口26km)の正常流量を50㎥/秒から40㎥/秒に減少させています。


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  こうした措置で、一時的な被害を受ける人たちにどういう補償をするか、そうしたルール作りでもダムの枯渇は防ぐことができます。ルールつくりの肝は補償金だと思いますが、そのルールさえできれば、対応は遥かにスムーズなものになるはずです。
 問題は、10年に何日かある渇水をどう凌ぎ切るかです。そのためには、普段は遊休化するような水源開発をするより、発電水量の緊急融通や正常流量の一時的減少など、様々なソフトな対策を考える方が有益のはずです。それが政策的思考というもののはずです。


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