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何故か戻ってきてしまった。
強い力に引き込まれて.........。
もう帰らないと誓ったのに、、、
この悲しみは何なんだ?
東京から約2時間くらいかかる僕の故郷
10年前に家出した。
理由は何にも覚えてない.......。
しかも不思議なことに、故郷での思い出は何もなかった。
今までずっと流してきたけど・・・
何か忘れてるような気がして、、、僕はまた、この小さな島に帰って来た。
静かだ・・・。
聞こえる音といったら、木が風に揺られてサワサワなる音か
海が風に押されてザーザーいう音。
目をつぶって耳を澄ませると、なぜか懐かしい思いと共に、、、胸が痛くなってきた。
この感情は一体。。。
少し歩いた。すると、目の前にはとても小さな学校があって
門の前には【閉鎖】とゆう文字が書かれていた。
僕の通っていた学校・・・。
僕は、門を乗り越えて6年1組の教室へやってきた。
机は、6個しか並んでなくて、黒板はやけに綺麗だった。
閉鎖されて何年たったのだろう・・・。
教室のところどころに、蜘蛛の巣がはっていて、壁にもいくつかヒビが入っていた。
教室の窓から外を覗いてみる。
・・・海が見えた。
頭のなかを、何かがよぎる。
何か思い出せそうな気がして、僕は真っ先に、、、海へ向かった。
ハァ・・・ハァ・・・
息をきらす
この島は小さいから、海にもすぐ着いた
ほのかに香る塩の香り
【僕のとなりでなびく髪】
ハッと僕は後ろを向いた
誰もいない・・・。
誰かいる気配がしたのだが・・・
海を見つめる
水しぶきをあげながら遊ぶ二人
前にも見た気が。
ビューっと一瞬、強くて温かい風が僕を包んだ
「な、、、な、、、み?」
不意に口からもれた言葉。
「七海.......。」
もぅ一度繰り返してみる
僕の中で何かが崩れて、涙が溢れた
こんなに泣いたのは生まれた時以来だろうか、、、。
きっと10年分の涙だからだね。
君の存在が、あまりにも大きすぎたから。
あの日、
今日とは違って、ザーザー雨が降っていた。
僕らは木々の葉に見守られながら
雨にぬれながらも笑顔を絶やさなかったね。
けれども、あの時ばかりは違ったんだ。
「ねぇ、、、海斗。海斗はあたしのこと
どう思ってるの?」
「え....。何だよ急に。」
僕は冗談かと思い、七海の言葉に耳をかたむけなかった。
「私は、好きだよ?」
ハッ?.....七海の急なその言葉に、僕は驚きを隠せなかった。
一瞬沈黙が続いた。
「・・・。」
本気らしい・・・。僕は、七海の真剣な瞳に吸い込まれそうで、目をそらしてしまった。
「好きじゃ...ないんだ」
君は少し笑みを浮かべながら、本当に悲しい目をして僕を見つめ返した。
「え・・・。」
僕はなぜか、、、何も口にすることが出来なかった。
「じゃあもういい」
大粒の雨が降りしきる中、君は隣にいる僕をふりしきって走り出した。
「待てよ!」
僕は君の腕を思いっきり引っ張った。
「痛い!!」
必死だった。君のことなんてちっとも考えてなくて、、、。
ただ君に行ってほしくなかったから。
本当はずっと想ってたのに....
「ごめん。」
僕は手を離してしまった。
すると、、、君は幾度も幾度も涙をこぼしながらふり向いて
「あんたなんて大っ嫌い」
君は雨が降っているにも係わらず、全速力で走り出した。
恥ずかしいことに、この頃の僕にはもぅ....君を追う勇気さえなかったんだ。
暗闇に消えて行くのを僕は、いつまでもいつまでも見つめていた。
「何なんだよ急に、、、【好き】だとか【嫌い】だとか、、、
どっちでもいいじゃねーかよ....。」
一瞬。七海の笑顔が見えた気がした。
「大好きだよ!大好きで大好きで溜まらねーよ!!....俺のバカ。。。」
僕は、水溜りを思いっきし蹴りながら泣いた。
雨は俺の泣き声を掻き消してくれたけど、俺の心までは潤してくれなかった。
つづく
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