すた・ばにら

すたは現実世界の私、ばにらは気ままに野山を駆けめぐる野ウサギ…

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※ 記事タイトルを見ただけですぐ場所が特定されないように、意図的にわかりづらい表題に設定しています。
この記事はホームページ移行後もこのまま公開されます。
 
本当はもう少し周辺記事を整えてから書きたかったのだが、現地踏査中に秋口へ差し掛かる今限定のネタに出くわしてしまったので、以前から進めていたダム・発電所関連の連載記事を差し置いて先行公開する。
 
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28日の午後3時過ぎ。私は仕事の用事で船木まで来ていた。
船木を訪れる機会は少なくないが、平日の今の時間はかなり珍しい。
 
用事は短時間で終わったものの、夕方6時から同じ船木地区に用事があったのでトンボ帰りもできず、3時間ばかり空き時間が出来てしまった。
それで最初、ちょっと遠いが美祢までギンナンを拾いに行こうかと思った。
青嶺高校のグランド沿いに大きなイチョウの木がある
 
万倉を経て県道37号宇部美祢線を北上している最中、あの場所をふと思い出した。
 
「もし車を停める場所があるなら、寄ってみよう…」
 
それは以前から…と言うよりは子どもの頃からずっと気になっていて、近づいて眺めたい場所だった。しかし未だ実現しなかったのは長門峡発電所のときと同様に自分の運転ではなかったこともさることながら、その後国道316号が整備されてからこの県道を殆ど通らなくなったからである。
 
詳しいことは後で述べるが、かつて県道37号から見えていたのはとても奇妙な光景だった。幼少期の私はそれがどうなっているか想像はついたし、大人になってからはその成り立ちの理由も理解できた。もっとも、地図で確認した後にはまた新たな別の不可解さを見つけることになったのだが…
 
さて、残念ながら現在では子どもの頃私が見たのと同じ光景は見られない。数十年の経過で周囲の木々が旺盛に伸びてしまったからだ。しかし大方このあたりだろう…という推測を元に、県道を外れた草地を見つけて車を停めた。
 
 
県道より若干高い丘陵部へ向かう山道を100mばかり歩く。
周囲は物凄い藪で、道を外れて歩くことができない程だが、意外に山道そのものは草刈りが進んでいる。
その先に、一部がツタ類で侵食された橋らしきものに出会う。 
 
 
イメージ 1
 
 
接近する。
農道などでよく観られるような橋だ。前後には車のタイヤ跡などは見当たらず、殆ど人や車の通行はないように思える。
 
イメージ 2
 
 
そろそろ、目的物が何であるか推察できた方があるだろうか。
 
 
第一ヒントとして、振り返って今まで歩いてきた道を撮影する。
黄色いガードレールの見えるのが県道で、その向こうに見えるのは中国縦貫道である。
私と同じ興味を共有する読者なら、このショットだけで概略の場所や物件が先読み出来たかも知れない。
 
イメージ 3
 
 
さて、正体を明かすべく先ほどの橋の真上に立ち、南方を眺めよう。
我が市にお住まいなら、間断なく行き交う水色のトレーラーだけでこの道路が何であるか理解されたに違いない。
 
イメージ 4
 
 
宇部興産専用道路である。
 
県外の方のために概略だけ書いておくと、これは宇部興産(株)の所有する道路で、製品や素材などの運搬に使用される専用通路である。一般車両や人の立ち入りは一切できない。
 
「Wikipedia - 宇部・美祢高速道路」
 
疾走するフタコブラクダ(3コブラクダ?の亜種も存在する)はこの道路だけで観られるもので、工業関連の大型車両に興味を持つ向きには結構強い関心を持たれているようだ。
YouTubeに動画を載せると明らかに他の動画よりも高い視聴数が得られる
 
しかし私はトレーラーを眺めに来たのではない。跨道橋なら市内にいくつもある。敢えてこの場所にやって来たのは、他にない奇特なものが観られるからである。
 
そうは言うものの、撮影中タイムリーにトレーラーの上下線離合シーンが採取できたので、その動画を載せておこう。
 
 
 
さて、奇特なものというその答は、この跨道橋の同じ位置に立ったまま反対側を写すことで明らかになる。それは幼少期の疑問とは別に、割と最近地図で確認することで新たに知った疑問への回答でもあった。
 
何じゃこりゃ?
 
イメージ 5
 
 
跨道橋の少し南側から掘り割り区間になっているが、跨道橋から北側は掘り割りの構造が違う。コンクリートの梁が等間隔に並んでおり、梁に遮られて路面が見えない。それが100mばかり続いた先がトンネルになっているのである。
 
 
この場所を地図で示そう。
 
 
 
私は上の地図でポイントされた地点に立っている。ここは宇部・美祢高速道路に唯一存在する伊佐隧道の南側坑口に近い場所だ。この付近は比較的深い山間地ながら県道と中国縦貫自動車道、宇部・美祢高速道路の3線が並走する交通銀座として有名な場所である。
 
県道は、宇部・美祢高速道路と中国縦貫自動車道に挟まれた状態で暫く起伏の少ない高地を進む。三者の並走状態は最初に宇部・美祢高速道路が”脱落”する形になるのだが、その取っ掛かりが極めて奇妙なのだ。
 
残念ながら今では県道から見えないが、かつては割と平坦な高地を走っていながら突然、”沈没していく”宇部・美祢高速道路の姿が見られた。山に向かっていながら、道自体は下っているのである。
やがて上部に張られたネットフェンスのみがその線形を推測させるようになる。そのフェンスも山が始まるずっと手前でぷっつり途切れているのである。
 
ぷっつり途切れた場所で行き止まり…なんてことは、漫画好きな子供心でも考えなかった。峠を越えると、再び宇部・美祢高速道路が県道よりずっと下から現れるので、トンネルになっていることは当時から分かっていた。
 
山岳トンネルは、延長を切り詰めるために可能な限り高度を上げ、もう限界というところに坑口を持つのが普通である。しかしここにあるトンネルは如何にも異色だ。峠に差し掛かるずっと前からわざわざ高度を下げ、地中に潜り込んでいる。県道はこの先で涼木峠(読み方が分からない…)を越えるのだが、伊佐隧道はずっとその手前から始まっている。
 
この奇妙な構造については、実際に万倉側から涼木峠を越えると想像がつく。涼木峠は、それまで走ってきた道中からすれば通過したことが体感されにくいほどの高低差しかないのだが、峠を越えた途端、凄まじい急な下り坂に見舞われる。ヘアピンカーブの2セットを経て100m以上も相対高度を下げる、典型的な片峠なのである。
これが地勢的ネックとなっているために県道の道路改良は絶望的だろう
 
もし伊佐隧道の南側坑口が通常の山岳トンネルの如くぎりぎりまで高度を上げた先から始まっていたら、北側坑口は断崖の途中に顔を出すことになる。安全かつ高速に資材を運搬したいトレーラーが県道並みの悪線形な道を走れる訳もないから、美祢の町まで安全に下って行く道を造るなら、相当に高く長い橋を繋げなければならない。そのために伊佐隧道が長くなることに目をつむって南側坑口手前から高度を下げ、全体の縦断勾配がきつくならないよう設計されているのである。
それでもなお一気に街中まで降りることはできず周囲の山地の高所を伝ってかなり迂回しつつ美祢の工場群に向かうルートを取っている
 
トンネルに向かうまでの間、沈没するような形の掘り割り構造については分かったが、その上部がどうなっているかは航空映像で眺めるまで分からなかった。
先の地図を航空映像モードに切り替えると、梁のようなものが並んでいる構造が観てとれる。
私はこの構造に疑問を持っていたので、近くで撮影したいと思っていた。そしてたまたま接近した跨道橋は、まさにどんぴしゃりの場所だったのだ。
 
 
橋から下を撮影。
梁の太さは1m近くある。
 
イメージ 6
 
 
ちょっと怖いが橋から身を乗り出して真下を撮影する。
路面までの高さは7〜8mくらい。両側はコンクリートで固められた垂直壁になっている。もちろんここから昇降することは不可能。
 
イメージ 7
 
 
通常掘り割りを造るなら、垂直壁ではなく45度の勾配で山を切る筈である。垂直に切っていては、いくらコンクリートで固めても壁が”お辞儀”してしまう心配がある。等間隔で上部に梁を並べたのは、開渠に造られる控え柱と同じ役割だろう。
 
梁構造の理由は分かっても、どうも納得がいかない。何だかわざわざ施工が難しく、後々のメンテナンスも必要な構造に思える。
 
(1) 梁だけで両側の土圧を支えるほどの効果があるだろうか?
(2) 大きなアーチカルバートを据えて埋め戻した方が簡単では?
 
垂直壁を支えるための梁なら、等間隔で上部だけを支えるあの状態で足りるのだろうかと思う。そもそも梁自体も恐らく中身の詰まったコンクリートだから、相当な自重がある。風雨に晒され劣化して、ある日ぽっきり折れて走行中のトレーラーに落下する…なんてことにならないのだろうかと思った。
 
この梁構造が当初からあるのなら、両側の垂直壁を造るのと同時に現場打ちしたのだろうか。施工が相当に面倒な気がする。それよりは堅牢な鋼材でアーチカルバートを造り、坑口手前まで覆った方が早いのではないかと感じた。かつて新幹線の”トンネルドン”問題が起きたとき、坑口の手前に鋼製の防音壁を設けたのと同様な構造で。
完全に覆えば人や動物が転落する危険は無いし、上部の土地を他の目的に使える。今の垂直壁では内部へ吹き込む枯れ葉などの清掃も必要で、メンテナンス上必ずしも有利とは言えない。
 
最初はコンクリート垂直壁だったものの、安全上の問題が懸念されて後付けで設置されたのだろうか。もしそうなら、後補の印となる施工跡が見えるだろう。
 
近くで観察したいのだが、梁への接近が危険なことは素人目にも明らかで、さすがにこの跨道橋からも接近できないようにフェンスが施されていた。いや、それ以前に藪の繁茂が酷く、とても近づける状況ではなかったが。
 
 
跨道橋の手前には坑口側へ伸びる道があった。
 
イメージ 9
 
 
かなり荒れているが、特に藪漕ぎなどは必要なさそうだ。
途中からはコンクリート舗装されているようだ。 
 
イメージ 8
 
 
この梁構造を眺めるだけでなく、トンネルの坑口も眺めたいと思っていた。何処まで接近できるか分からないが、坑口の方まで歩いてみることにした。
 
 

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県道と並走する区間はバイク乗り時代に快適な風景でしたね。
そーいえば、産業ツアーで通ったときにあったような・・・

意味を考えると・・・むむむ・・・なんですね〜

2011/10/2(日) 午前 8:27 [ - ]

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土地がない場所で地下に潜る都市高速トンネルなんかだったらありそうな構造だけど、山岳トンネルでは垂直壁に梁構造ってのはあまり聞きませんね。
興産の道路敷に取られるのは嫌だという地権者の要望があったのかも…

じでんしゃで走ったら気持ちいいだろうなぁ〜♪
開放してくれればいいのに^^;

2011/10/2(日) 午後 11:56 sta_vanilla


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