Vue & Poser 制作雑記 あるいは 途切れがちの日記

コンピューター・グラフィックス(CG)制作にまつわる日々の雑感集

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 本館 Gallery に新作をアップした。今回は神話シリーズである。初めて南米を取り上げた。

 南米の神話と聞くと、マヤ、アステカ、インカといった原住民の名称と、世界遺産にもなっている有名な石造りの古代遺跡を思い浮かべる。そんな連想をするのは、私だけではあるまい。個性的なデザインのピラミッドや天文台などの建造物、不思議な絵文字、いけにえの儀式など、そのままインディー・ジョーンズの映画に出て来ても違和感がない。では、どんな神話があるんですかと訊かれると、はたと考え込んでしまう。確かスペイン人がやって来て、それを原住民が神と間違えて歓迎し、やがて財宝目当てに滅ぼされるんだよなって…、それは歴史上の事実であって、伝説や神話ではない。

 考え込むのも無理はない。そもそもほとんど神話が残っていないのである。あの絵文字が解読され始めたのも最近らしいし、更に言えば、肝心の記録がスペイン人に焼かれてしまい残っていない。当時この地を占領したスペイン人が、わずかに自分自身の備忘録として書き残した原住民の伝え聞きなどが、古代文明研究の原資料になっているとも聞く。それにしても、文明の記録を消し去ってしまうとは、スペイン人もひどいことをするもんだ。

 さて、そうしてわずかに伝わっている中南米の神話で有名なのは、今回の作品の題名にも使っているケツァルコアトルである。訳すと「羽毛のある蛇」ということになる。実在の人物であるともいうが、マヤ・アステカの守護神としての方が有名である。そしてこの神こそ、スペイン人の侵略を許すことになった遠因なのである。

 私は、遺跡に描かれたこの神の姿を見たことがある。もう随分前になるが、メキシコのユカタン半島にあるチチェンイッツァ遺跡を訪れたときのことである。ガイドが石造りの建物の上に埋め込まれた石を指し、あそこに描かれているのがケツァルコアトルの姿だと解説してくれた。

 どうしてそんなところに行ったのかということになるが、冬のニューヨークがあまりに寒いので、メキシコのカンクンというリゾート地で暖かい冬休みを過ごそうと、わざわざカリブ海まで出掛けたのである。しかし、いくらサンゴが砕けて出来た砂のビーチがきれいだと言っても、泳いでばかりではそのうち飽きる。そこで、周辺にあるマヤ遺跡を回ってみようと、ホテル発の遺跡巡りツアーに申し込んだ次第である。

 チチェンイッツァ遺跡は、今では世界遺産に登録されているらしいが、当時はまだ、あの有名なククルカン(ケツァルコアトル)のピラミッドにも登れた。広大な遺跡は観光用に相当きれいに整備されていたが、それでもジャングルの中を歩いて抜けたりして、それなりに雰囲気満点。しかも、そのジャングルの中にまだ整備されていない遺跡がゴロゴロ転がっている。緑におおわれた石造りの建物がジャングルの木々の間に見え隠れする光景は、まさにインディー・ジョーンズの世界そのものであった。

 私はその場でガイドから、初めて中南米に伝わる不思議な神話や風習を聞いた。いずれも非常に興味深いもので、あとで関連の本まで読んだ。古代マヤの天文台にも行ったし、実際に使われていたいけにえ台も見た。何百年も昔、現にその上で神官たちが、志願した勇者の心臓を生きながら取り出し置いた場所である。実物を前に話を聞くと、がぜんリアリティーが増す。

 さて、そんなことを書き始めるといつまでも終わらないので、ケツァルコアトルの話に戻ろう。メキシコ高原にある有名なテオティワカン遺跡からユカタン半島のチチェンイッツァ遺跡まで、有名な遺跡にはこの神が描かれている。ケツァルコアトルはククルカンとも呼ばれ、原住民の守護神であった。先ほどのいけにえも、このケツァルコアトルに奉げられたものである。ケツァルコアトルは、人類を創生し文明を与えたと言われており、時として太陽に擬せられることもあるらしい。いけにえを高い場所にあるいけにえ台やピラミッドの頂上に奉げたのは、太陽でもあるケツァルコアトルに届くようにとの願いが込められていたとも伝えられている。

 他方、ケツァルコアトルは実在の人物だったという伝説も残っている。仲間を連れて海からやって来て、原住民に農業を教え、天文や医学の知識を伝えたとされている。そして船に乗り、再び海のかなたに去ったという話が残っている。

 果たして神なのか人なのか、いずれが本当かは分からないが、そのケツァルコアトルの肌は白いという言い伝えが原住民の間に残っており、これがスペイン人に油断をするきっかけになったわけである。

 1517年にスペイン人エルナン・コルテスが、中南米にあるという黄金郷エル・ドラドを探すため、部下を率いてユカタン半島に上陸する。コルテスら一行は肌が白かったため、ケツァルコアトルと勘違いされ、アステカ皇帝モンテスマ2世に歓迎される。その後コルテスは、アステカと敵対する別の原住民の王国と連合しアステカを滅ぼした。アステカの首都テノチティトランは、今ではメキシコシティとなっている。海の向こうから戻って来たのは、原住民にとって神ではなく悪魔だったわけである。


(このブログは、「Stardust Crossing」( http://webstreet.jpn.org/stardust/ )の一部として運営しています。)

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