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前にも書いたが、私はRenderosity とCornucopia に、細々と作品の投稿を続けている。国内サイトと違い、海外サイトは参加者も多く、コメントをたくさんもらう。Vueユーザーでない人までコメントをくれる。まことにありがたいことである。
当たり前のことだが、もらうコメントは全て英語である。ただ、サイト全体が英語一色かというとそうでもなく、フランス語やドイツ語でコメントしている人もいる。Vue は元々フランスのコンピューター・グラフィックス(CG)ソフトだから、欧州諸国の人もたくさん参加している。私が知り合いになった方の中にも、フランス人やドイツ人をはじめ欧州諸国の人が多くいる。国際色豊かでなかなか面白い。
さて、作品へのコメントというのはお互いが付けているものだから、コメントをもらう以上、こちらも他人様の作品にコメントを付けるのがマナーというものだろう。もらうばかりでだんまりを決め込むのは、参加者としてばつが悪い。しかし、海外サイトだから、当然のことながらコメントも英語でしなければならない。いや、CGの世界では、コメントに限らず何をするにも英語が必要になるのである。こんなことなら、学生時代にもっと勉強しとけば良かったね。
そんなわけで今回は、英語でのコメントについて、いくつか思ったことを書き散らかしたいと思う。
海外サイトでのコメントを見れば分かることだが、みんなそんなに長いコメントを付けているわけではない。短いものだと形容詞と感嘆符(!)を連発しているだけのものもある。主語のないセンテンスもよく見かける。ハハハ、これなら簡単だ、ちょっと他人のコメントをコピペして・・・と、いや少々待ってほしい。ホントにそれで大丈夫か。
我々日本人が弱いのが、英語の単語や文章が持つニュアンスである。例えば国内サイトにおいて普通に日本語でコメント書く場合、全く見知らぬ上級者の作品にコメント付けるのと、何度かやり取りして友達になった人にコメント書くのとでは、普通、言葉遣いは変わるものである。前者の場合は多少丁寧調になるし、後者についてはくだけた調子の親しみを込めた表現を使うことが多い。そうした言葉遣いの違いは、当たり前だが英語にも存在する。従って、海外サイトで、仲の良い者同士がコメントを付けているフレーズをそのままコピー&ペーストして来て、全く知らない人への初めてのコメントに流用するのは、少々危険が伴うということを心の片隅に留めておいた方が良い。
私は1996年から3年ほど米国で生活していたが、行ってすぐの頃、良き隣人であった老婦人が、若者の言葉遣いについて、こんなことを言っていた。「最近の若い人たちは、エキサイティングなものを見ると『cool』と言うのよ。変な言葉遣いね。」 数年して、カッコいいものをクールと表現するこの用法は、日本にも上陸して普通に形容詞として雑誌などで使われるようになったが、私が得た印象では、年配のアメリカ人が多少眉をひそめる言い回しだったのである。今の日本で言えば「きもい」とか「やばい」といった言い方を、年配の方々が快く思っていないのと同じかもしれない。ちなみに、このカッコいいとかいかすといった意味の「cool」は、「クール」とは発音していなかった。くだんの老婦人に教えてもらったところによると、「クゥ〜〜」という感じで伸ばし気味に発音し、やがて音は尻すぼみになり、最後の「L」の音は聞こえなかった。
彼女は、英語が流暢に喋れない私に、色々英語の言葉遣いについて教えてくれた。ちょっと意外だったのは、今や日本でもすっかり有名な「kids」(子供たち)という単語について、なるべく使うなと諭してくれたことである。「この辺りじゃあ、みんな使わないから。『children』って言った方がいいわよ。」私が住んでいたのは郊外の白人居住地で、みんな裕福だった。「あぁ、保守的な中流以上のアメリカ人はこういう俗語は嫌うんだな」と思った覚えがある。「kids」なんて、日本じゃあ老舗のデパートでも堂々と使っている表示なのにと思ったが、なるほどアメリカの老舗店舗ではこの単語を案内に使っているところはなかった。
ついでに書いておくと、当時ヒスパニック系のアメリカ人の、まともでない若者の間で使われていたのが、「Be動詞」を全て「be」という原形のみで喋る言い回しである。例えば、普通「I am」「You are」というのが、「I be」「You be」となる。社会をドロップ・アウトした犯罪予備軍の若者たちが、普通の人々と同じことはしたくないと意識して使い始めたものである。こういう喋り方をする若者を、普通のアメリカ人は避けて通っていた。しかし、その辺りの事情が分からないまま、誰かが「現地の若者の間で大流行」なんて言って日本に紹介すると、みんなカッコいいと思ってしまうだろう。下手をすると、日本でブランド名や商品名になってしまうかもしれない。言葉の背後にある事情を知らないと、思わぬ勘違いをしてしまう。
私の乏しい経験に照らしても、英語の単語やフレーズが持つニュアンスを理解するのは容易ではない。海外経験が長くて自他共に認める英語使いなら別だが、語学にさしたる自信がない向きは、海外サイトに書いてあるコメントの表現を、カッコ良さそうというだけでそのまま借用するのは、避けた方が無難な気がする。たまたまそれが親しい者同士のやり取りであれば、初めてコメントする者が使うには不向きな場合がある。日本の掲示板で、初めて書込みする人が、いやに馴れ馴れしい言葉遣いで登場すると、既存の参加者は「何だコイツ」みたいに反感を抱くことがあるだろう。それと同じ結果をもたらすかもしれないのである。
では、どうすればいいのかということになるが、初めのうちは正道を歩み、中学英語に出て来る普通の表現でコメントするのが無難だ。美しい作品なら、「It is very beautiful.」と書けばよく、感動したなら「I’m impressed with〜.」と記せばよい。レベル的には全て中学校の英語でこと足りるはずだ。ネイティブ・スピーカーの話すような自然で気の利いた英語表現を使いたいという気持ちは分からぬでもないが、それは場数を踏んでどんな場面、人間関係で使われているのか分かってからにした方がよい。
さて、この話題、書き出したらなかなか奥が深いので、またこの次に続きを書こうと思う。
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