| 政府税調、配偶者控除を見直し、配偶者控除が廃止されようとしている。配偶者控除は年収103万円以下の配偶者がいる所得税納税者の税金が安くなる制度。この控除のことは知りつつ、いつも横目で眺めながら、年収200万円台のパート労働を続けてきた。240万円くらい稼がないと配偶者控除を受けるよりソンになるよ、と言われて少しでも収入を上げようと夜遅い派遣の仕事なども引き受けてきた。しかし英語という専門技能を要求される派遣、パートでさえ、年収200万から300万稼ぐのは容易でない。年収400万はどんなに頑張ってもムリだった。記事には、 |
「控除を受けようと、パートの主婦らが年収を103万円以下に抑制する傾向があり、答申は「女性の社会進出を妨げる」と見直しを求める。
| とある。夫の税金を控除もされず「社会進出」してきた私は「そうだそうだ!今までずいぶん不公平だったワ!」と答申に諸手を挙げて同意しそうなものだけど、なんだかモヤモヤとナットクできないのである。そのモヤモヤをつきつめていくと、それは政府がまるで今まで「女性の社会進出」を応援してきたかのようなポーズを取るからだと気がついた。 |
| 私は一生けんめい「社会進出」しようと、英語スキルを磨き、資格を取り、「あんまりおいしくない」仕事も先々のことを考えて引き受けてきた。来年から公立中学校に正規採用されることが決まったけど、それはひとえにこれまで専任教員の経験があったことプラス運がよかったからであり、幸運に恵まれなかったら、まだ「いつ仕事がなくなるか」という不安に怯えながら、派遣とパートの仕事を続けていただろう。そうであった確率は、私の「努力」にかかわらず高い。パートや派遣の女性がどんなに努力して身を粉にして働き続けても、正社員として「社会進出」できる道は閉ざされており、「配偶者控除」よりもおトクな240万円程度の収入を得ることさえ容易ではないのだ。 |
| 私立学校で非常勤講師をしながら企業と民間の英語学校で英語を教え、学校の長期休暇には英語教材作りなどの在宅ワークをして、やっと年収300万円程度である。一箇所の事業所だけでは十分な収入を得られないのでカケモチすることになるが、カケモチは時間帯がかち合うことがあって、仕事の調整にいつも頭を悩ませる。学校は朝の2時間だけ、あとは電車を乗り継ぎずっと遠くの会社まで出かけていって夜のクラス2時間だけ、とか。移動の交通費は出るけど、移動の時間は労働時間に換算されない。労働時間帯の上でも移動の点でも、労働効率が非常に悪いのだ。だから総労働時間の割にはいつも疲れていた。たった2時間のクラスのために、電車で2時間もかけそぼ降る雨の中をテクテク歩いていったこともある。企業で英語を教えるという華のあるカッコイイ仕事、時給は4000円近くをもらっていたが、その実態はコレなのである。結局、いくらスキルを磨いてTOEIC満点を取ったり翻訳や通訳の学校を出たりしたところで、たいした事態の改善は見込めない、と見切りをつけた。 |
| 配偶者控除をなくせば「女性の社会進出」が行なわれるのか。きれい事を言うな!正社員への登用を極限まで抑えて、既婚女性を安価なパート労働者として便利に使い捨てながら、あたかも配偶者控除が「女性の社会進出」を阻んでいる元凶のように言う。同じ論理で、生活保護費も切り下げられようとしている。ワーキングプアの得ている給与より高額な生活保護費は勤労意欲を損なう、というリクツである。ワーキングプアを救済しようとする代わりに、こういうリクツで社会保障を切り崩そうとする。 |
| タクシーに乗ったとき、タクシーの運ちゃんはこんなことを言ってた。「スーパーのレジのおばさんいるでしょ、たいていタクシー運転手の女房だよ。ダンナの給料だけでは暮らしていけないからね。」レジ係の年収が103万円を超えるのかどうかは知らない。けれど、手がかかる子供がいて、おじいちゃんおばあちゃんの面倒を看なければならなかったりしたら、働く日は一日おきにするとか時間を限るとかして、年収を103万円以下に抑え、配偶者控除を狙ったりもするんじゃないだろうか。配偶者控除が廃止されて一番痛手を受けるだろうなと想像するこういう女性の置かれた状況と、「女性の社会進出のために」配偶者控除を廃止しようとする政府税調の答申とは、オソロシクかけ離れているように思えるのだけど。 |
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