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パンドラの箱

前回の記事で「消費税増税に反対」と書いたら、

「それではどうしろというのか。大企業にもっと税金をかけろというのか。そんなことをしたら資本流出して日本から大企業はなくなっちゃうぞ。そうすれば本当に税金は庶民から取るしかなくなっちゃうんだぞ」と言われた。

内緒さんに。

「オレたちに高い税金をかけるんだったら出てっちゃうぞ」

エリート金持ちはこんなことは大っぴらには言いません。恨みを買いこそすれ、他に何も生みませんから。

政治家や官僚が感じている恐怖がおわかりでしょうか。庶民の視点から見ていると見えないけれど、大企業や富裕層の「オレたちにかける税金を減税しろ!」という主張が尊重される理由は、政治家や官僚のこの恐怖にあるのです。

(以上、内緒コメントより。掲載の了解は得ています。原文は多少変えてあります。)

メディアは報道しないが、そういう主張は調べると確かにあるようだ。


なるほどなあ。「資本」というのはそういうものなのだ。

資本は住む場所を選ばない。日本に住みつづけている必要はない。

政府の規制さえなければ、中国へ行ったってアフリカへ行ったっていいのだ。

また資本は取りつく産業も選ばない。

資本家は資本を増殖させていくことが目当てなのだから、不況産業なんかにはサッサと見切りをつけて成長産業に鞍替えすることだってできる。

繊維産業だった鐘紡(カネボウ)が化粧品産業にシフトしたように。

投資家は利子が増えそうな企業に投資するのであって、株価が下落しそうであれば投資先を変える。

大企業はコストと税金が高ければ、日本を脱出し、生産拠点を外国に移すこともできる。

日本人の大半の生活がキビシクなって、購買力が低下しても、別に日本で売らなければならない必然性はないのだから、全然オーケーだ。



それが資本と労働者とのちがいだ。おカネと人間のちがいだ。

私たちの多くはこのニッポンを離れるわけにはいかない。

保険料も消費税も高くなったからといってハワイかなんかに移住することはそうそうカンタンにはできない。

私だって収入を某自治体の公立中学校で働いて得ているわけだから、ハワイなんかに移住するわけにはいかない。

それから私たちの多くは、ある産業が不況産業になったからといって、別の産業に鞍替えすることはそうカンタンにはできない。私たちの「技能」は、ある産業、ある会社に身をささげる中で身についていくのだから、その産業と会社がつぶれたら、その「技能」も役立たずとなりオマンマ食い上げになるのだ。

グローバリゼーションはだから、「労働者」と「人間」よりずっと「自由」な「資本家」と「カネ」に有利な体制なのだ。

そしてグローバリゼーション=規制緩和によって、資本=カネは政府が課す税金すら逃れることができるのだ。


「オレたちに高い税金をかけるんだったら出てっちゃうぞ」大企業と金持ちはそう言うことができる。

庶民はそうは言えない。だから消費税が17パーセントになろうとも、保険料がどんどん上がろうとも、社会保障が削られようとも、我慢してニッポンに住みつづけるしかない。

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内緒さん、わかりました。

だけど「世の中どっか根本的にマチガッテいるんじゃないだろうか」という思いは消えない。それどころか、ますますそういう思いが濃くなるのである。

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お正月は日帰り温泉。入館料払って温泉漬かり放題。インターネットもタダで使い放題。午前中から行って一日のんびり。極楽ごくらく。。。お食事処は別料金なのが痛いけど、チャッカリそこに置いてある新聞を隅から隅までチェック。元は取らしてもらうわ。読売新聞なんてフダン読まないような新聞を読むことができるのも温泉ならではね。(どこが?)

さすが読売新聞だわ。

「トシとったときの年金や介護やビョーキになったときの健康保険を今までどおり残しておきたいんだったら、消費税を上げろ、国民が反対してもためらうな」

って新年早々言ってたわ。(タルイから読みたくないだろうけど、イチオウ文字通りを抜粋しておくと、「社会保障制度が持続する条件は、そのための財政的裏打ちがしっかりしていることである。社会保障費の伸びに見合うだけの財政収入増がなければ、いずれ財政が破綻する。財政が破綻すれば、社会保障制度も破綻する。」「国民が広く薄く負担を分かち合う消費税率を引き上げる以外に、現実的な財政収入増の方途はない。」だって。)

サラっと読むと、「良識的な意見だネ。読売新聞は中道だ」って思っちゃうでしょうね。だけどね、スターはね、大掃除もサラっとしかやんなかったし、おせちも作んなかったから、年末けっこうヒマで、「サラッと」以上にけっこう調べたのよ。
国民への「広く薄い」税負担増はこれまでの5年間で5兆2千億円、大企業や富裕層への減税は4兆6千億円よ。
庶民のみなさん、身に覚えがおありでしょう?配偶者特別控除の一部とか老年者控除が廃止されたでしょ、定率減税も全廃されたしね。今年から火災保険が控除の対象から外れていたのにはびっくりしたわ、セコいわね。税金以外でもあたしたち(このブログの読者に「富裕層」はいない、という前提で書いてる…笑)の負担は重くなってるのよ。医療保険の世帯主窓口負担が2割から3割になったでしょ、年金や介護保険の保険料が値上げされて給付額が減らされたでしょ。
この上に消費税率の引き上げええええええええ???


まあね、スターは今んとこ体力あるわよ。日帰り温泉で正月気分を味わうくらいの財政的体力はあるわ。だけどね、同じ読売新聞の別記事に書いてあった次のデータはどうよ?これも元記事を読むのはタルイだろうから、おトソ気分のお父さん向けに書き直すと、

生活保護を受けてるヒトのうち、政府の『就労支援事業』で就職できた「幸運な」ヒトたちでも、その8割は最低生活費を稼げない。

最低生活費は東京の標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)で月額18万176円。

18万176円からさらに医療や年金の保険料を払って、所得税に住民税も払わなくちゃいけないのよ。いっとくけど国保の保険料は生活保護基準以下の収入からも徴収されるのよ。通勤費が会社から出ればいいけど。で、どんなに質素な暮らしをしたところでアパート代と光熱費はかかるでしょ、食わなきゃいけないし、トイレットペーパーだってあらまほしか。病気になったときは掛かった費用の3割は払わなくちゃいけないしね。月額18万176円。ホント、ギリギリよね。この試算もキツめ(甘め?)単身者でも都会で20万円なくちゃキビシイと思うわ。


だけどこの月収額を非正規雇用で達成するのがいかに難しいかということは、去年まで非正規雇用だったスターにはよくわかるわ。フルタイムでパートや派遣の仕事をして、時給千円くらいなくちゃいけない。去年の春にスターは先行きの見えない非正規雇用のカケモチに疲れ果て、転職口を探して就活したの。「派遣だけど先行きに展望がある」という触れ込みの外務省の広報の仕事を紹介されたけど、月額計算すると15万円だったわ。これでもワーキングプアね。


「国民が広く薄く負担を分かち合う消費税率を引き上げる以外に、現実的な財政収入増の方途はない」ってよくサラリと言えるわね。キリスト教会では「分かち合い」って言葉をよく使うけど、こんな文脈では使わないわ。生活していけない人間からさらに金をふんだくってネットカフェや路上に追いやるのが「分かち合い」か?

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メディアの報道していない事実があるのよ。大掃除いいかげんにして調べたの。日本の消費税率は他の欧米先進国と比べて格段に低いって言うでしょう?イギリスやフランスなんかでは消費税率は高いけど、食料品とか子供の衣類とか薬局で買う薬品なんかは消費税が免除されてるか低率だそうよ。OECD加盟の30カ国の中でビンボー人も買わなくちゃいけない生活必需品に消費税が免除されるか安くなるかしてないのは日本だけだそうよ。それから消費税率ばかりがクローズアップされて、「ニッポンはもっと欧米先進国並に消費税率を上げなくちゃいかん」って言うけど、税収全体のうち消費税がどのくらいをまかなっているのかを比べると、ニッポンは今の消費税率でさえ、ヨーロッパの国とたいして変わらないのよ。(詳しくは『世界』1月号の「メディア批評」を読んでね。)つまり消費税率をキャノンの御手洗なんかが言うように17パーセントなんかに上げちゃったら、先進国の中でもダントツに「税収をビンボー人からもふんだくった消費税でまかなってる」比率が高くなるってことなのよ。

世の中まちがってるわ。「国民が広く薄く負担を分かち合う」?ざけんな!「負担を広く薄く」したいのは札束に厚みのあるヒトビトでしょう?それから「分かち合う」なんて言葉をこういうふうに使わないでください。

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starは政府の政策をなんとかしろ!と何度もブログに書いてるけど、心の中では「最悪ずるずるファシズムまで行くのかなあ」と深くあきらめてるところもある、正直。グローバリズムは日本と世界を覆いつくすのだろうし、格差は拡大し、富める者はますます豊かに、貧しい者は、今は何とかやってけてる者も含めてますます貧しく、無情に切り捨てられていくのだろう。


この流れは資本主義経済が好景気と不景気を交互に繰り返していく、だから待ってれば好況に転じるなんていうこととはちがうんだから、グローバリズムはマリ共和国の綿花栽培や日本の農業や畜産業をブルドーザーがなぎ倒すようになぎ倒して、グローバル資本を潤し、地道に正直に生きてる生産者を貧困に陥れ、地球を破壊しつくして「大王ネズミ」とその信奉者を肥やしていくのだろう。

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starは実は政府に働きかけてこの流れが止められるだろうとはあんまり思ってない。政府はきっと「大王ネズミ」の一味だ。カクメイを起こしてもいいけど、武器と資金は「大王ネズミ」の一味が独占しているのだから、勝ち目はない。国民の生活は今後ますます逼迫していくであろう一方で、迎撃ミサイルの開発に2兆円。軍需産業と防衛省はオトモダチで、大王ネズミが産んだ金貨を分け合ってる。2兆円は町内会の互助会費じゃないのだ。2兆円は私とアナタが出し合った税金というお金だけど、同じように出し合うそぶりをみせて、実はごっそり懐に入れてる誰かさんがいるのだ。


お金について。starはケチだけど、用途がハッキリ納得できることに対しては出し惜しみしない。カトリック教徒だけど、カトリック教会では献金は100円くらいしかしないようにしてる。だって献金の使いみちがわからないんだもん。バチカンにやるのはイヤダ。お御堂だってもっとオンボロでいいもん。でも救世軍の社会鍋には千円入れた。社会福祉のために役立ててほしい。南インドの貧しい子供のフォスター・ピアレントにもなってる。クルマは持っていない。だけどタクシーに乗るのはケチらない。客待ちで行列しているタクシー運転手の生活が少しでもラクになりますように。

starがショボい所持金でこんなことやったって世の中何も変わらないんだけど、お金をどう使うかっていうのはどう生活するか、どう生きるかってこととつながってるんじゃないかと思うのだ。ミヒャエル=エンデは『モモ』でグローバル資本を「灰色の男たち」に、『ハーメルンの死の舞踏』で大王ネズミとその信奉者たちに喩えた。エンデは、お金には二種類あり、パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と株式取引所で扱われる資本としてのお金は2つの全く異なった種類のお金であると言っている。『モモ』といえば一番印象的なシーンは子供たちのところに灰色の男たちが来て、子供の遊びと生活をガラリと変えてしまうところである。子供たちの遊びや生活にも今ではたくさんのお金がかかるようになってしまった。ゲームに夢中な男子生徒に「何歳からゲームをやっているの?」と訊いたら「4歳から」と答えていた。ゲームや高価なおもちゃを買い与えられて子供たちの世界は豊かになったのだろうか。任天堂が儲けたことは間違いないけど。


来年はねずみ年だけど、大王ネズミをどうやったらやっつけられるか、どうしたら大王ネズミとその信奉者の包囲網を食いちぎることができるかを考えているのだ。経済はオンチでむずかしいことはわかんないんだけど、「まずお互いの顔のみえる共同体を作ることかな」と思っている。お金は「交換」の必要から生まれた。昔東北の田舎に住んでいたとき、ぼたもちを沢山作ったら隣近所におすそわけして、お年寄りの家々の屋根の除雪をやってあげ、年寄りは若い夫婦が共働きで働いている間に孫の面倒をみていた。それらの支えあいの全てがお金を通して資本の提供するサービスになってしまった今、彼ら(大王ネズミとその一味)の手からそれらを奪い返すことから始めなければならないのではないかと思う。「交換」は「ありがとう」「お互いさま」と心をかわすことがないならば、何かおぞましいもの、人間を疎外するものに変質してしまうのではないだろうか。


『エンデの遺言』要約はこちら。http://www3.plala.or.jp/mig/will-jp.html
政府税調、配偶者控除を見直し、配偶者控除が廃止されようとしている。配偶者控除は年収103万円以下の配偶者がいる所得税納税者の税金が安くなる制度。この控除のことは知りつつ、いつも横目で眺めながら、年収200万円台のパート労働を続けてきた。240万円くらい稼がないと配偶者控除を受けるよりソンになるよ、と言われて少しでも収入を上げようと夜遅い派遣の仕事なども引き受けてきた。しかし英語という専門技能を要求される派遣、パートでさえ、年収200万から300万稼ぐのは容易でない。年収400万はどんなに頑張ってもムリだった。記事には、

「控除を受けようと、パートの主婦らが年収を103万円以下に抑制する傾向があり、答申は「女性の社会進出を妨げる」と見直しを求める。

とある。夫の税金を控除もされず「社会進出」してきた私は「そうだそうだ!今までずいぶん不公平だったワ!」と答申に諸手を挙げて同意しそうなものだけど、なんだかモヤモヤとナットクできないのである。そのモヤモヤをつきつめていくと、それは政府がまるで今まで「女性の社会進出」を応援してきたかのようなポーズを取るからだと気がついた。

私は一生けんめい「社会進出」しようと、英語スキルを磨き、資格を取り、「あんまりおいしくない」仕事も先々のことを考えて引き受けてきた。来年から公立中学校に正規採用されることが決まったけど、それはひとえにこれまで専任教員の経験があったことプラス運がよかったからであり、幸運に恵まれなかったら、まだ「いつ仕事がなくなるか」という不安に怯えながら、派遣とパートの仕事を続けていただろう。そうであった確率は、私の「努力」にかかわらず高い。パートや派遣の女性がどんなに努力して身を粉にして働き続けても、正社員として「社会進出」できる道は閉ざされており、「配偶者控除」よりもおトクな240万円程度の収入を得ることさえ容易ではないのだ。

私立学校で非常勤講師をしながら企業と民間の英語学校で英語を教え、学校の長期休暇には英語教材作りなどの在宅ワークをして、やっと年収300万円程度である。一箇所の事業所だけでは十分な収入を得られないのでカケモチすることになるが、カケモチは時間帯がかち合うことがあって、仕事の調整にいつも頭を悩ませる。学校は朝の2時間だけ、あとは電車を乗り継ぎずっと遠くの会社まで出かけていって夜のクラス2時間だけ、とか。移動の交通費は出るけど、移動の時間は労働時間に換算されない。労働時間帯の上でも移動の点でも、労働効率が非常に悪いのだ。だから総労働時間の割にはいつも疲れていた。たった2時間のクラスのために、電車で2時間もかけそぼ降る雨の中をテクテク歩いていったこともある。企業で英語を教えるという華のあるカッコイイ仕事、時給は4000円近くをもらっていたが、その実態はコレなのである。結局、いくらスキルを磨いてTOEIC満点を取ったり翻訳や通訳の学校を出たりしたところで、たいした事態の改善は見込めない、と見切りをつけた。

配偶者控除をなくせば「女性の社会進出」が行なわれるのか。きれい事を言うな!正社員への登用を極限まで抑えて、既婚女性を安価なパート労働者として便利に使い捨てながら、あたかも配偶者控除が「女性の社会進出」を阻んでいる元凶のように言う。同じ論理で、生活保護費も切り下げられようとしている。ワーキングプアの得ている給与より高額な生活保護費は勤労意欲を損なう、というリクツである。ワーキングプアを救済しようとする代わりに、こういうリクツで社会保障を切り崩そうとする。

タクシーに乗ったとき、タクシーの運ちゃんはこんなことを言ってた。「スーパーのレジのおばさんいるでしょ、たいていタクシー運転手の女房だよ。ダンナの給料だけでは暮らしていけないからね。」レジ係の年収が103万円を超えるのかどうかは知らない。けれど、手がかかる子供がいて、おじいちゃんおばあちゃんの面倒を看なければならなかったりしたら、働く日は一日おきにするとか時間を限るとかして、年収を103万円以下に抑え、配偶者控除を狙ったりもするんじゃないだろうか。配偶者控除が廃止されて一番痛手を受けるだろうなと想像するこういう女性の置かれた状況と、「女性の社会進出のために」配偶者控除を廃止しようとする政府税調の答申とは、オソロシクかけ離れているように思えるのだけど。

希望格差社会

山田昌弘の『希望格差社会〜「負け組」の絶望感が日本を引き裂く〜』という本を読んだ。背表紙の本書紹介文から。


フリーター、ニート、使い捨ての労働者たち-----。職業・家庭・教育のすべてが不安定化しているリスク社会日本で、勝ち組と負け組の格差は救いようなく拡大し、「努力したところで報われない」と感じた人々から希望が消滅していく。将来に希望が持てる人と将来に絶望している人が分裂する「希望格差社会」を克明に描き出し、「格差社会」論の火付け役となった話題書、待望の文庫化。

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この本は勉強もせずバンドに夢中で、バンドでOA入試にもぐりこもうとしている甥に贈ってあげようと思っている(笑)。「ネット難民」という言葉も「ワーキングプア」という言葉もなかった10年前、「フリーター」は若者の自由な選択肢の一つだった。「このまま意味もなくダラダラ学校に通っていてもしょうがないから、学校を辞めて働こうかと思ってる。社会に出て苦労したら、何かつかめるかもしれない。」そう相談してきた担任の女子生徒に、「今学校をやめて働いたって別に『苦労』なんてしないのよ。若い子のアルバイト先はたくさんあるし、親元にいりゃ生活費もかからないから楽しく遊んで暮らせるわ。責任もないから仕事はきつくもないしね。『苦労』するのは35才を過ぎてからよ。それまでフリーターをやってたら、そこから先働き口はガクっと減るの。バイト口さえ見つからなくなるわ。」

彼女は退学を思いとどまった。オトナに相談してよかったと生まれて初めて思った、と後から感謝された。実際に高校を退学してフリーターになるという生徒はいなかったが、専門学校進学や特に目的のない語学留学などで「一時避難」する「フリーター予備軍」は大勢いた。大学乱立と少子化で、大学入試はえらく易しくなった。入学試験を受けず、推薦状か小論文だけで入れる「OA入試」など、オプションも広がった。専門学校、各種学校もバラエティに富んでいる。声優を養成する専門学校、音楽関係の専門学校。。。語学留学だってお金さえ出せば誰だって可能だ。オープン・スクールに出席すれば、志願者獲得に躍起になっている大学関係者がチヤホヤ迎えてくれる。中学・高校では「個性の尊重」、「自分探し」が奨励され、「誰でも輝くものを持っているのだから、自分の個性をみつけ、なりたい職業をめざすように」と教えられる。

そして20代後半、30代になった彼らの置かれた状況をみるにつけ、宮沢賢治の童話、『注文の多い料理店』を思い出してしまうのだ。山奥に迷い込んだ二人の男が、そんなところにあるはずもない立派なレストランをみつける。玄関のガラスの引き戸には、金文字でこう書いてある。


「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮(えんりょ)はありません」

 二人はそこで、ひどくよろこんで言いました。
「こいつはどうだ、やっぱり世の中はうまくできてるねえ、きょう一日なんぎしたけれど、こんどはこんないいこともある。このうちは料理店だけれどもただでご馳走(ちそう)するんだぜ。」

引き戸を開けて中へ入ると、引き戸の裏側には、やはり金文字でこう書いてある。

「ことに肥(ふと)ったお方や若いお方は、大歓迎(だいかんげい)いたします」

しかしレストランはどこまで行ってもなかなかテーブルにはたどり着かず、たくさんの扉があって、その扉にいちいち色々なことが書かれてある。髪をとかせ、とか着物の泥を落とせとか、鉄砲を置けとか、メガネを外せ、とか顔や手足にクリームを塗れ、とか。


さいごの扉を開けると、扉の裏側にこう書かれている。

「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。
 もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさん
 よくもみ込んでください。」

このときになって初めて男たちは気がつく。「注文の多い料理店」というのは、自分たちが料理店に注文するのではなく、料理店が自分たちへ注文してくるのだ、ということに。そして自分たちが料理を食べるのではなく、料理店の方が自分たちを殺して食べてしまうのだということに。



『希望格差社会』は、若者たちの現実認識の甘さだけを批判しているわけではない。「夢」にすがるのは、「夢」しかないからだ、背景にはあるコースに沿ってコツコツ努力していれば報われるという希望が社会から失われているという現実があり、経済構造の変化が若者の意識に反映されているのだ、と説く。こつこつ努力して大学に入っても就職できるとはかぎらず、就職できたとしても倒産したりリストラされたりするかもしれない。努力が報われないリスクの大きい社会にあっては、若者たちは努力を厭い、自分の人生自体を「運任せ」に、ギャンブル化してしまうのだという。(甥のことだ。。。)


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『Always 三丁目の夕日』に描かれた昭和30年代は、今ほど豊かではなかったが、普通の庶民が普通にこつこつ働けばむくわれる、必ず生活が豊かになるという時代だった。そういえば「花の係長」というマンガがあった。うだつがあがらないサラリーマンでも、係長にはなれた。そして「花の係長」は、そこそこ満足しており、「幸せ」で、リストラされずに定年まで勤め上げられたのである。



経済のグローバル化で、企業の海外移転が進んでいる。昨年まで私は自動車産業のブルーカラーに英語を教えていたが、彼らが英語を学ばされる目的はなんなのだろうと疑っていた。彼らが今やっている部品の組み立てなどの仕事を外国人労働者に肩代わりさせるためではないのか。英語を使って外国人労働者に適切に指示の出せる「優秀な」技術者を選別し、その他大勢はすべて解雇するつもりではないのか、と疑った。『希望格差社会』の著者は、グローバル競争に勝ち抜くため、企業は海外移転、正社員の派遣への置き換えなどで、「中核的正社員」を将来、全体の1,2割にまで減らすだろうとみている。


さて、ではどうしたらいいのか。著者は最後の章で論じてはいるが、本全体のインパクトに比べてあまりパッとしない。「農業再生」という案を私は考えるのだけれど。農業をやりたい若者はいる。使い捨ての労働者として一生を終えるより、どんなにか生きがいの持てる仕事だろうか。放棄された農地の有効利用は、日本の食糧自給率の向上のためにも、環境保護のためにもいいはずだ。若者が農業で生計を支えられるような施策をどうして政府は打ち出さないのか。

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