オバマ大統領は、1937年に就任したフランクリン・ルーズベルト大統領以来の伝統にのっとり、首都ワシントンで就任式に臨み、第44代の大統領に就いた。寒波の来襲で気温は氷点下だったにもかかわらず、その模様を一目でも見ようと、180万人を超す人々がワシントンの街に繰り出した。直接、ワシントンに行けなかった多くの人々は、各地の大型スクリーンや事業所、自宅のテレビの前に陣取った。加えて、インターネットのライブ中継で、宣誓式や就任演説、就任パレードなどの様子に見入った人は2130万人に達したという。まさに世界の視線が釘付けとなったのだ。 例の気の利いたスピーチは 「経済は果敢で迅速な行動を必要としている。我々は雇用を創るだけでなく、新しい成長基盤を敷くために行動する」 「道路を建設し、橋を架け、商業を育くむ。強めるため、送電網や通信網を構築する。科学レベルを引き上げる。医療・福祉の質の向上とコスト削減のため、テクノロジーを駆使する。太陽光、風力などを自動車や工場などに活用していくのだ」 「今日問われているのは、政府が大きすぎるか、あるいは小さすぎるかといった問題ではない。収入を得て家族を養えるかといった問題であり、政府が機能しているかどうかという問題なのだ。市場が善か悪かといった問題も問われていない。市場の力は富を生み、自由を広げるものだ。ただ、今回の危機が、市場に対する監視の目がなければ、市場が制御不能に陥ることを思い出させたのである」 だが、この興奮の最中、ニューヨークでは株式相場が急落した。つまり、市場や、市場関係者は、オバマ大統領の経済対策に全幅の信頼を置いているとは言えないのだ。 もちろん、株式急落の主因は、米国では勝ち組に入りかけていたはずのバンク・オブ・アメリカなど金融機関に対する経営危機懸念の高まりと、連日相次いで発表された第2四半期の企業業績の不振の2つである。 とはいえ、急落の背景として、早くもオバマ大統領の経済対策への期待に翳りが出ていることも見逃せない。実は、新任大統領へのネガティブな評価を慎むという慣例を破って、そうしたオバマ氏の政策に対する期待の薄れや懸念をこのような数字が端的に示しているのではないか? オバマ氏が打ち出した経済対策、つまり、今後2年間で減税と財政支出をあわせて8250億ドルの規模に達する景気刺激策を標的にした。すでに失業率が7.2%に達し、昨年1年間で256万人が職を失ったとされているのに対し、この施策で367万人分の雇用を生み出そうという。 別にこれらにケチをつける気は無いが、
今回の経済危機が金融危機に端を発していることに着目し、経済の活力源は、消費者の需要ではなく、お金の流れだ。お金の流れが回復すれば、企業の設備投資も個人の耐久財(車など)消費も伸びる。信用が収縮しては、どんな景気刺激策をとっても無駄だが、お金が回れば雇用も収入も増える。 実際のところ、市場関係者の間には、こうしたオバマ政権の財政運営が、ブッシュ政権が種をまいた財政赤字を深刻なものにしかねないと懸念する向きが増えている。米議会予算局が、昨年10月に始まった2009会計年度の赤字が、1兆2千億ドル近くに膨らむとの見通しを示しているからだ。この財政赤字のGDPに対する割合は8.3%。「双子の赤字」と称されたレーガン政権時代(6%台)やニューディール政策の生みの親であるフランクリン・ルーズベルト大統領時代(5%台)を大きく上回り、すでに過去最悪の水準に膨らむとみられている。オバマ氏の景気刺激策には、さらにその赤字を膨らませるとの悲観論が絶えないのだ。
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2009年01月25日
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