イスラエル軍は13日、ガザ攻撃で、ガザ南部とエジプトの境界にある武器などの密輸用地下トンネルやガザ北部のロケット弾発射基地など計100カ所以上を空爆した。軍が同日深夜発表した。連日の空爆で市民の巻き添えがさらに増えている模様だ。 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、同日午後4時(日本時間同11時)までのガザ保健省のまとめでは、死者は971人、負傷者は4418人に上った。死者のうち約4割の387人と、負傷者のうち半数の2201人は子供と大人の女性だったという。ガザからの情報によると、13日には北部のジャバリヤ難民キャンプの通りで遊んでいた子供2人が空爆の破片を体に受けて死亡した。 ロイター通信より引用 イスラエルの根本的な不安は『短期的な戦闘の勝敗やテロの被害』のみにあるのではなく『長期的な人口問題(ユダヤ人の減少=パレスチナ人・アラブ人の増加)とアイデンティティの変質(ユダヤ人の文化的なアラブ化)』にあるのではないかと考えることもできる。イスラエル国民の中にはユダヤ人だけではなく離散しなかったアラブ人(パレスチナ人)も相当数含まれており、ユダヤ人の内部でもアシュケナディム(有力者層・知識人層を形成する白人系ユダヤ人)とセファルディム(労働者層を形成する中東系ユダヤ人)の階層対立も根強く残っているようである。 イスラエルの言語はヘブライ語とアラビア語が混交しており、人口の増加率は低所得層を形成するアラブ人のほうが大きいこともあり、アラビア語に基づく文化・学問も普及している。ユダヤ人であるかアラブ人であるかは、ユダヤ教の信仰に基づく祖先の系譜や自己アイデンティティを持っているかどうか、イスラエルに愛国心を持っているか否かの違いにしか過ぎないという側面もある。
今更言うまでもないが、イスラエル建国に至るまでの『パレスチナの領有権』を巡っては、イギリスが戦略的な三枚舌外交(アラブ人に領有を認めるフサイン=マクマホン協定・ユダヤ人に領有を認めるバルフォア宣言・サイクス=ピコ協定)を行ったことがパレスチナ問題の原点にある。 第二次中東戦争(スエズ戦争,1956年)以降はイギリスもフランスも中東地域におけるプレゼンスを失って過去の外交責任を果たすことはなかったが、その後はユダヤ票の影響力が強いアメリカが原則イスラエル支持に回ることで、イスラエルの行き過ぎた自衛戦争や経済封鎖が看過されやすいという問題も生まれた。 1993年にアメリカ・クリントン政権の仲介によって、イスラエルのラビン首相が和平路線を取り、ヨルダン川西岸とガザ地区におけるパレスチナ人の自治を認めたところまでは関係改善が進むかに見えた。しかしその後、ラビン首相が右派に暗殺されてパレスチナ情勢は不安定になり、イスラエルとパレスチナは報復合戦の泥沼から抜け出す道が見えてこない。 現在のガザ侵攻の問題では、エジプトのムバラク大統領が即時停戦の仲介に乗り出しているが、イスラエルがエジプトの停戦案を協議するとしているものの、武器密輸の禁止に不服なハマスなどパレスチナの非主流派は拒絶しているようである。 国連決議も有効に機能していない状況で、国連安保理の停戦決議を無視したイスラエルの攻撃が続いており悲惨な戦禍は収まっていない。パレスチナ問題の根本的な解決のためには、双方の武装闘争の放棄とイスラエル側によるパレスチナ人の居住環境・生活状況の改善(経済封鎖の解除)が必要になると思うが、イスラム原理主義組織もパレスチナの民衆の生活や安全をベースにして交渉のテーブルにつく努力が必要になる。 世代をまたいで伝えられる報復と憎悪の連鎖を断ち切ることは困難であるが、イスラエル・パレスチナ双方の一般市民(女性・子ども)が犠牲になる砲撃・空爆が少しでも早く即時停止されることを強く願っている。
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2009年01月26日
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