駒澤大学は昨年度から始めたデリバティブ取引きによる資産運用で、約154億円の損失を出していたことが分かった。問題のデリバティブ取引は、「金利スワップ」と「通貨スワップ」の2種類で、昨年度、外資系の金融機関2社と契約していたという。ところが、2007年後半以降の金融危機の影響などを受けて、時価が一気に値下がりし、今年3月末の年度決算時点で、評価損は53億円を超え、その後も含み損が増え続けたため、結局、損切りを決めたという(損切りが出来た事には拍手を送りたい)
この損失の穴埋めのため、駒澤大は世田谷区内にある野球部グラウンドなど複数の土地建物を担保に、みずほ銀行から110億円の融資を受けることを決めたらしい。駒澤大学は、幸い、いい場所にいいものを持っていたので、救われた。
昨年度末での同大の資産総額は約940億円。うち土地建物などの基本財産は580億円、現金預金は127億円というから、運用資金は結構あったのだろうが、それにしても大きな損失だ。
一方、立正大学では148億円の含み損があることが明らかになった。国債、地方債、社債、投資信託だけならまだしも、豪ドルを組み込んだ仕組み債までも抱えていて、3月末時点で96億円だった評価損がやはり金融市場の混乱や円高の影響で拡大した模様だ。しかし立正大は各種金融取引について、「満期保有を基本としているため、最終的な損失額は確定していない」と言っていて、現時点では評価損を計上していない。後述するが、こうした認識には大いに心配な点がある。
| 全国約650の大学・短期大学のうち、少なくとも75大学がデリバティブ取引を行っていたという(日本私立学校振興・共済事業団調査。2005年度の集計と古いため、数はさらに増えている可能性もある)。むろん、このご時勢に資産運用で苦労していないところはないだろうが、率直に言って、大学は金融機関(特に外資系)のいいカモになっている。 |
机上の計算ばかりで実務経験のない学識者
大学や学園という名の付く学校法人は、もともと金融機関にとって上客中の上客だ(学校法人のいい客にがっちり食い込んだセールスマンは毎年、億を超えるボーナスをもらっているみたいである)
というのも学校法人には授業料のほか、入学金、入試の受験料などが毎年まとまって入ってくるが、学校以外の事業に使うわけではないから、現金が貯まる。しかも、土地や建物といった担保になる資産もそれなりに保有しているところが多い。たまったお金の運用をどうするかというのは、実は学校経営上重要なポイントでもあるが、金融機関の狙い所でもある。
日本の学校には、ハーバード大学の基金のように運用の専門家がいるわけではない。経理担当者、そしてその担当者の上司が判子を押すためにいる程度であり、自分で運用計画を立てたり、商品選択をしたりするような専門的な能力があるわけではない場合が殆どだ。自分で運用を考えるわけではないから、「そこそこのリスクでいい利回りです」と取引金融機関に提示される「案件」を検討するという受動的な姿勢になってしまう。銀行の窓口で、毎月分配型の投資信託セールスに引っ掛かる高齢者とそう大差がない。
| 運用担当者は、取引していたデリバティブのプライシングを計算して、実質的な手数料を割り出すようなことが出来る人たちだったのだろうか |
| そうでなければ、金融機関側から見ると、利鞘の抜き放題である。また、損失に至った運用商品は、大学側が自発的に思いついて買ったものではなく金融機関にいいように囲まれ買ったものではなかろうか |
一番痛感するのは授業だは金融論や経済論理、財務方法論などの講義をしている、一方ではこんな派生商品に引っかかってしまう。同じ校内で相反する事象が起きていることである。
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