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ひとひら風信 風のいろ 雲のうた
不安や気がかりを増やさないように暮らしていきたいのにな

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今となっては資料を探すのにさっと出てこないのだけど、およそ20年前、コーラス・サークルをしていた時、当時各地で核廃絶と平和を訴えるためのコンサートが開催されていて、私たちのサークルにも呼びかけがあった。これに賛同・呼応し、メンバーのほとんどが素人で勤労青年の弱小サークルは、外部にこのコンサートのための歌い手を募り、会場選定・交渉や宣伝を手分けして掛かりながら演目曲に論議を重ねた。
そんな時、「横浜の児童合唱団やまびこ少年少女合唱団が、2歳で広島の原爆に被爆し、原爆症が治ることを願って千羽鶴を折りつつ、半ばで10年後に亡くなった少女=佐々木禎子ちゃんと、悼んで同級生たちが募金活動で建立した禎子ちゃんの像に託して平和を歌う」という内容の小さな新聞記事を偶然目にした(初演が1983年と言うことで、これは何回目かの公演の紹介だったろう)。
問い合わせ先も記されてあったので、一介の地方都市の素人サークルが【反核・平和コンサート】に取り組もうとしていること、付いては人の心に届きやすくて大きな力を持った曲を探していること、この曲を歌わせていただけないだろうか―― との問い合わせとお願いの手紙を、合唱団指揮者で作曲なさった浜名政昭氏にお送りした。
すると、「平和を伝えるためにぜひどんどん歌い広げて下さい」という旨のありがたい言葉を添えて、薄い冊子に纏めた楽譜が送られてきた。
本来歌っている少年少女たちとは一回りも二回りも、ひょっとしたら親の世代くらい年上の即席合唱団だけど、歌詞を読み合わせ音取りをする中で、詩の中の子どもたちの心境に移入し涙ぐんだりもして、少ない時間をやりくりし合い練習を重ねて歌に近づけていき、コンサートに臨んだ。


イメージ 1

平和公園の一隅にある『折り鶴の子の像』は、3本の高く延びた脚部をもつ、ボールペンのキャップ形状の台座に、すっくと折り鶴を掲げた少女が立っている。その下に、最近までは全国から寄せられた色とりどりの千羽鶴が何層にも重なって提げられていた。
平和を願い、犠牲者を追悼する思いはごく自然に備わっている、人間のいわば標準装備された感覚・意識かと思っていた。ところが社会の変化流動に連れ世道人心も移り、一方で平和を追求し真摯に考える人があれば、何に付け茶化し軽んじる、また悪意のフィルターで物事を解釈する、善意の存在に不信を抱かせると言った方向にも、精神の在りようが分散しているように見える。
近年、捧げられた折り鶴が放火され燃え上がるという、悪戯か悪意か信じられない事件が報じられるようになった。
そのためにだろう(風雨や気象の影響で劣化損傷も防ぐためもあるか)この度訪れた時、千羽鶴が織りなす虹の滝は無く、像の後方にショーウィンドーのようなガラスケースが半円状に並べて設置され、千羽鶴たちはその中から禎子像を囲んで見守っているようだった。

イメージ 2


折り鶴のとぶ日


私は今でも ここに立っている
一羽の折り鶴 両手にかかげて
これは 僕らの叫びです
これは 私らの祈りです
世界に平和を築くための

禎子が折った鶴です
苦い薬も 黙って飲んで
赤や白の包み紙で
千羽の鶴に 祈りを込めました

禎子は広島の子です
小さかったあの夏の朝
白い光 キノコ雲を
肌に灼き付け 大きくなりました

禎子は中学一年です
入学式にも出られないで
二月に入った病院から
いくら待っても 帰ってこなかった

禎子が折った鶴です
千羽にはまだ足りなくて
ともだち みんな涙しながら
足りない分を 黙って折りました

私は今でも ここに立っている
一羽の折り鶴 両手にかかげて
これは 僕らの叫びです
これは 私らの祈りです
世界に平和を築くための

鶴の飛ぶ日は きっと来るよ
世界の空に 高く鳴きながら
これは 僕らの叫びです
これは 私らの祈りです
世界に平和を築くための



               (詩/小森香子 曲/浜名政昭)
              
    *楽譜から独立した詩の表記は無いため、小森さんご自身の表現(文字遣いなど)と異なる


*2012.7.11水/追記:アコーディオンによる演奏http://www.youtube.com/watch?v=CMR8396yv5Q





◆・◆・◆・◆・◆
記憶の補強のために今【折り鶴のとぶ日】を検索すると、まず【広島少年合唱隊】が出てくる。いろいろ公の行事参加などの合唱活動の中で『折り鶴のとぶ日』は主要なレパートリー曲になって大切にされているようだ。そして、やまびこ少年少女合唱団とも交流(合同演奏)が為されたりしていることが活動記録の記述中に見られた。
浜名政昭氏は、斯界では著名な方なのだろう、東京労音アコーディオン協会の講師をなさり【NPO法人 日本アコーディオン協会】の名誉会員名簿にお名前があった。
また、1977年9月に横浜市緑区(現・青葉区)に米軍機ファントムが墜落し、幼い兄弟とその母親はじめ多くの犠牲者を出した事故(事件)を風化させず問いかけ続けるために資料を保存収集する団体【横浜・緑区米軍機墜落事故平和資料センター】の代表もなさっておられるようだった(同じお名前)。

作詩の小森香子さんは、私たちのサークルでは馴染みのある方で、よく歌う歌、反核を訴える音楽運動のための『青い空は』(作曲/大西 進氏)や『みんなのなかへ』(作曲/中田喜直氏―詩に深く共感して)などの詩を多く書いておられる。

この記事に

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    折り鶴のとぶ日は僕も小学校の頃歌いました。
    音源探しているのですが中々無いですね・・・

    [ ali**air*real ]

    2010/9/10(金) 午後 2:14

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    ali**air*realさん、コメントをありがとうございます。
    愛知の小学校なのですか? 広島県で『青い空は』『折り鶴』などが普及しているように、広く取り上げられているのでしょうか。
    地域の個人的な創作曲は音源も、製作数が少なくてなかなか手に入りませんね。
    私は幸い、新聞記事の紹介を見て日を置かず申し込んだので、カセットテープを入手できました。今は個人のCD製作も昔を思えば手軽にできるのでしょうね。

    str*yca*

    2010/9/11(土) 午前 5:47

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    LUNANAさん… すみません、お返事しそびれていましたね。↑
    レコード、棄てた…思いきったのですね。
    今、あれば 雨だれの中、針を落として いろんなイメージの尻尾を引っ張ったり 花の幻想の中をさまよったり― 頬杖を突いておいでのところ思い浮かべます。

    str*yca*

    2010/9/11(土) 午前 5:53

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    お返事をいただいていたとは知らずに失礼しました。
    僕は岡山県の小学校に通っていました。広島の隣県ですから、影響があったのでしょうね。 削除

    [ alistair_real ]

    2011/11/26(土) 午後 1:40

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    ●alistair_realさん、なんと… 1年以上後にまたおいで下さって、
    ありがとうございます。
    この歌、alistair_realさんにとって、思い出深いものなのだろうか、
    指導の先生はどのような思いで選曲し教えていらっしゃったのか、
    どんな練習風景だったのか―― 等々
    私たちが練習の時よく涙ぐんだりしたことと合わせ、想像を誘われました。
    今も合唱をなさってなのでしょうか。

    str*yca*

    2011/11/27(日) 午前 10:00

    返信する
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    そうですね。僕は学校行事以外で特に合唱はやっていないのですが、合唱曲が好きな性分なのかこの曲の美しいメロディーと歌詞は印象に残ってますね。
    小学生から中学にかけてピアノをやっていたことも関係あるのかもしれません。 削除

    [ alistair_real ]

    2011/11/29(火) 午後 1:51

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    ●alistair_realさん、ありがとうございます。
    音楽がお好きで、その趣味を楽しんで暮らしていらっしゃるのでしょうか、
    私などなかなかコンサートに足を運ぶことさえできなくなりました。
    思いついた時CDを回すくらいですが、生の合唱・演奏に浸ってみたい!
    と強烈に思う時もあります。
    「折り鶴のとぶ日」は、三連符のリズムがだいぶん浸透していて、
    4つ繋がった八分音符の4拍目が後ろに来る付点(だったかな)四分音符に
    タイで結ばれると言う この曲に繰り返し出るリズムパターンに乗りにくくて
    苦労したのを思い出しました^^

    str*yca*

    2011/11/30(水) 午後 2:42

    返信する
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    浜名先生(この歌の作曲者)からここにたどりつきました。
    やまびこ少年少女合唱団にいた者です。
    たくさんの方が歌ってくださること嬉しく思います 削除

    [ ひろこ ]

    2012/4/12(木) 午前 9:04

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    ●ひろこさん、こんにちは。ご覧頂くご縁、不思議です。
    浜名先生を今──? と、検索しましたら、
    最近(1月頃?)お亡くなりになったとの、詳細は分かりませんが
    記述を目にし、驚きました。
    でも、高い理想や社会的信念・思想を持った方のもとで多くの指導・薫陶を受ける時間を持たれたことは
    ひろこさんはじめ生徒さん、団員のみなさんお幸せでしたね。
    きっと今も子どもたちに受け継がれているのではないでしょうか。

    str*yca*

    2012/4/13(金) 午後 3:59

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    こんにちは。私も弟とやまびこ少年少女合唱団にいました。
    「折り鶴のとぶ日」を検索していてここにたどり着きました。
    歌詞を口ずさみながら涙があふれました。
    合唱団で歌っていたころから何年もたちますが憶えているものですね。 削除

    [ さな ]

    2012/6/23(土) 午後 2:48

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    ●さなさん、おいで下さって ありがとうございます。
    すると、先にコメント下さったひろこさんとはもしかして
    お知り合いだったりするのかも知れませんね。
    いついつまでも皆さんの心に大切な印象を刻んで息づいている
    すばらしい、命を持った歌ですね。
    私も、
    ♪私は〜 今でも〜 ここに 立っている〜 と
    ふとしたはずみによく口ずさんでいます。
    一緒に歌っていた当時の仲間達との練習時のあれこれ、
    反核コンサートの感激など よみがえります。
    歌を創って送り出して下さった浜名先生に感謝し、
    お会いしたこともない、さなさん、ひろこさん、各地でこの歌を
    心に灯していらっしゃる皆さんへの、慕わしさというか
    友情を感じます。
    お元気でいらして、この歌を繰り返し唇に昇らせて下さいね。

    str*yca*

    2012/6/23(土) 午後 3:35

    返信する
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    私は被爆者二世です 母が被爆者で今も健在です 折り鶴の飛ぶ日 小学生の頃 代表で歌った記憶があります。 でも部分的にしか思い出せず 歌詞は解ってもメロディーが付いて来ません。情けないし 寂しく思います。 削除

    [ 紅葉 ]

    2012/7/11(水) 午前 3:59

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    ●紅葉さん、コメントをありがとうございます。
    お母様ご健在でなによりです。
    未曾有の災厄に打ち克って長い日々を乗り越えて来られたのですね。
    コーラス当時のメンバーにも被曝二世の友だちがいました。
    後年亡くなったお父様は多くを語り残さなかったとのことでしたが
    友だち自身は平和や非核を目指す流れに与しつつ元気に労働しています。
    この歌、多くの方が格別な思いを抱いておられるのですね。全く存じ上げない皆さんが、
    インターネットで拾い上げて訪れて下さる。
    そういうことに触れられ、記事にしてよかったなぁと今思います。

    音源について随分検索してみましたが、きれいな形のものは探せませんでした。
    記事に参考までに追記したものが、歌でなく
    アコーディオン演奏の現場録音で、スタート後2:40あたりから
    この歌が(3曲目)始まっています。
    メロディを思い出すために、聴き取れたら…と思い、
    アップロードされていた動画、引用させていいただきました。

    str*yca*

    2012/7/11(水) 午後 5:39

    返信する
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    はじめまして。折鶴のとぶ日の作曲者の娘です。
    この曲を大切に思っていてくださる方たちがいらしゃることを知り、大変嬉しく思います。父は、昨年の1月に他界しました。作品の整理をしたところ、自費出版した楽譜とカセットテープが、わずかですが残っていました。もし、ご希望の方があればご相談に応じたいと思いますが、私自身がブログ等をやっていないので、どのようにご紹介すればよいかがわかりません。
    まずは、こちらのブログへの書き込みをさせていただきました。 削除

    [ とも ]

    2013/8/6(火) 午後 11:10

    返信する
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    ●ともさん、初めまして。驚きました。
    全くお会いしたこともなく、偶然見つけた新聞記事がなければお父様の浜名氏に
    ご連絡を思いつくことなどおそらく無かったし、
    なかなか一地域の創作曲が全国広範囲に広がっていく機会も
    限られているのではと思われます。ご縁というのか。
    でも、少年少女合唱団というつながりでと思いますが、
    禎子さんの故郷で活動している広島少年少女合唱団に浜名氏が楽譜を贈られたとのことで、それからは広島の各小学校などでも歌われてきていると
    検索記事で知り喜んでいます。
    当ブログは読んで下さる人も少ない日陰ブログなのに、よくこんなところへ
    これも「折り鶴のとぶ日」という曲そのもののおかげと思います。
    匿名で書きつづっているブログで何の力もなく心苦しいばかりですが、
    もしよろしければ(公開しても良いのなら)ご連絡先などお教えいただければ
    記事にさせていただきますが… お役に立てるか…
    うたごえ新聞社などに連絡してみたらどうかなと思ったりもしています。
    取り急ぎ、と言っても遅くなりましたが お返事まで。

    str*yca*

    2013/8/7(水) 午後 7:41

    返信する
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    お返事ありがとうございます。
    私自身も、やまびこ少年少女合唱団に所属していたので、元団員の方からの書き込みもあり驚きました。やまびこは、既に解散してしまったのですが、横浜の小学校の合唱クラブ等でも、時折この曲を歌ってくださるところがあるようです。
    私の連絡先をこちらで載せていただけるのなら、お願いいたします。専用のメールアドレスを準備しようかと考えているので、またご連絡させていただきます。
    曲は、歌っていただいてこそ輝くものです。この曲をもう一度歌いたい、聞きたいという方のお役にたてるなら、父も喜ぶと思います。 削除

    [ とも ]

    2013/8/7(水) 午後 10:49

    返信する
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    はじめまして。20年ほど前に、中学校の平和学習で折り鶴のとぶ日を歌った者です。
    先程ローカルニュースで、子供たちが歌うこの曲が少し流れて、懐かしく思い出しました。歌詞もメロディーも覚えていますが、ちゃんと聴いてみたいと検索していてこちらに辿り着きました。フルコーラスの動画って無いのですね。。。残念です。
    「鶴の飛ぶ日は~~~~~鳴きながら」の部分が特に好きなので、いつかどこかで、綺麗な音源で聴けたらいいなぁと願っています(^_^) 削除

    [ でんぼ ]

    2013/10/25(金) 午後 10:59

    返信する
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    ●でんぼさん、はじめまして。
    コメント下さっていたのに大変お返事遅くなり申し訳ありません。
    たくさんの方の心にしっかり息づいている歌なのだと
    コメント拝読し改めて思いました。
    先にコメント下さった(作者のご息女=)ともさんが音源をお持ちで
    残っているものの普及も考えておいででしたので
    こちらを通してよりも、ともさんがブログなどサイトを設営して、問い合わせなど有っても直接詳しくやりとりできて
    よろしいのではないかと浅薄な提案を申し上げたのですが…
    私も浜名先生から送っていただいたテープを所持していますが
    差し出てYouTubeなどに乗せることもできませんし、何より方法がわかりません。

    遅くなり、またこの欄を見ていただけるかはわかりませんが、ありがとうございます。

    str*yca*

    2013/11/17(日) 午前 3:15

    返信する
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    私も、やまびこ少年少女合唱団で、浜名先生に合唱の楽しさや、素晴らしさを教えて、頂いていた者です。
    ふと、懐かしさなどから、やまびこ少年少女合唱団を探していて、こちらに辿りつき、懐かしい曲、浜名先生が他界されていた事を知り、曲の懐かしさ、浜名先生への想いで涙が溢れました。 削除

    [ エミ ]

    2014/6/18(水) 午後 1:16

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    ●エミさん、コメントをありがとうございます。
    4年も前のこのようなささやかな記事が、いまだ
    存じ上げない方の目に留まり、私へいざなってくれることに驚き、
    あらためてご縁の不思議―、あの新聞記事を目にしなかったら、
    問い合わせる勇気が自分に出せないままだったら、
    自分がうたごえサークルに参加してなかったら、
    ブログなどという全く未知で不案内な世界の片隅にちょこっと
    踏み入れなかったら―
    いろいろさかのぼって振り返りながら考えさせられます。
    人生のある部分にかけがえのない時間・出会いがあったこと、
    握り潰して無かったことにしてしまいたい苦い経験もあれば
    今の自分を励まし慰めてくれるような幸せな経験もある。
    みんなで平和を願い心を寄せ合い声を合わせた時間は、
    私にも大切な思い出です。エミさんのコメントをいただいて
    またその宝物に触れ直せました。
    ありがとうございます。
    今も歌っておいででしょうか。
    お元気でいらっしゃいますように。

    str*yca*

    2014/6/23(月) 午前 11:02

    返信する

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