|
大量保有報告書の提出は証券取引法改正で、1990年12月から義務付けられた。上場会社の株式を
5%以上取得した株主は、原則として取得日から5営業日以内に財務局に提出する。その後も、株式の保
有割合が1%以上増減するごとに提出しなければならない。報告書には、発行会社や提出した大株主の情
報、保有目的、最近60日間の取引状況、取得資金の調達状況などが記載されている。
提出が義務付けられた背景には、1980年代に「仕手筋」や「買い占め屋」などと呼ばれる個人や企
業が、特定の株式を買い占め、経営権を要求しながら高値で売り抜けるなど、問題取引が頻発したことが
ある。株式の保有状況が大きく変わると、株価への影響も無視できない。
このため、迅速な情報開示で市場の透明性を確保し、個人投資家にも公正な取引機会を提供する狙いだ
った。
ただ、提出までの期間には例外がある。証券会社や銀行、信託銀行、保険会社、投資顧問会社などの機
関投資家は、経営権を獲得するために株式を取得したのでなければ、一定期間の取引をまとめて報告すれ
ば良いとされ、提出までの期間が長くなっている。
機関投資家は日常的に大量の株式を売買しており、これらをすべて開示すると事務手続きが煩雑になる
うえ、一般投資家にとっても混乱する要因になりかねないためだ。
機関投資家は株式を5%以上取得しても、原則として3か月に1度、各社が設定する基準日の翌月15
日までに提出すれば良い。例えば1月末を基準日とする機関投資家が、2月1日に株を取得すると、開示
期限は5月15日で、最大3か月半も株主の状況が外部からは分からない状態が続く。
すでに5%以上取得している機関投資家が、2・5%以上の売買をした場合は、開示期限は翌月15日
と短いが、それでも最大で1か月半の空白が生じる。
こうした現状について、法曹界では「特例制度は、企業からすれば、敵対的なM&Aを仕掛けられてい
るかどうかを分かりづらくしている」との指摘もある。
迅速な情報開示という制度本来の趣旨に照らしても、投資家保護の観点から開示期限の短縮など透明性
を高める努力が必要だ。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20050303mh01.htm
|