おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

インド編

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オリッサ/ラトナギリ

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ラトナギリは,ウダヤギリ、ラリタギリに比べて、発掘が進んでいるようで、私が行った‘02年8月時点でも、夥しい数のストゥーパ(仏塔)が所狭しと並んでいたり、遺跡の復元が進んでいたり、発掘された彫像があちこちに散在していたりと、殺風景な印象は無かった。

その時、屋外に散在していた彫像の中で、とりわけ立派だったのがこれ。ヒョウ柄だからといって、ナニワのオバチャンの守護神というわけではない。

この紫色の斑点の石は、コンダライトという変成岩の一種で、日本の花崗岩に近い質感。柔らかくて加工しやすそう。この辺ではよく採れるようで、風化して細かく砕けたコンダライトがあちこちに転がっていた(遺跡のかけらかもしれないが)。

この石の斑点やまだら模様の装飾効果が、彫刻材や建造物の化粧材として用いられる所以だろうが、ほとんどの遺物は風化,汚損して模様が目立たなくなっている。まあ、この脆さだと、ラトナギリは内陸なのでまだしも、同じ石材で海に近いコナーラクのスリヤ寺院の、潮風による風化は当然なのだろう。

この像もまた、オリッサでよく出土する四臂観音の一種のようだ。ウダヤギリの野ざらしの四臂観音と比べると、肉身部の表現が簡略化しており、ウダヤギリのものより時代は下るのだろう。頭部は高く結い上げた髪をすっぽり覆う髪髻冠(上部は欠けている)、左手の持物が水瓶から羂策(投げ縄)に変わっており、より密教的な図像になっている。

持物が羂策ということで、東大寺法華堂の本尊としても知られている不空羂策観音との関係も気になる。四隅に蓮華上に坐する菩薩や天を配する構図は、発掘品を収めた収蔵庫でも多く見られた密教図像だが、これほどコンダライトの斑点がきれいに見えるのは他になかった。

右は亀に乗ったヤムナー。河の女神で、マカラ(海獣)に乗ったガンガー(ガンジス河)と対になり、守門神としてヒンドゥー教寺院でもよくみかける。


密教寺院なんていうと、やたら神秘的なイメージがあるが、この像など、たよりになる母親と、彼女になつく子供達といった風情で、母子の世俗的描写として見ることができる。四臂観音のちょっとムッとした表情もコミカルでユーモラス。どちらも明朗で親しみやすい表現だ。

閉じる コメント(3)

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突然、お邪魔します。興味深く拝見させていただいております。特に、東インドの仏教・ヒンヅー美術には・・・・。オリッサについての記載に期待をしております。

2007/2/10(土) 午後 1:30 [ がらくた・おやじ ]

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コメントありがとうございます。オリッサは、まだネタが少しあるので(フィルムを空港でX線に当ててしまい、スリヤ寺院のネタはあまりありませんが…)、また、紹介したいと思います。

2007/2/13(火) 午後 3:41 [ sug**uto ]

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楽しみにしております。 パーラ仏教美術を少し勉強したいと思っておりますが、なかなか、資料がなく、オリッサの発掘品については特に興味があります。

2007/2/14(水) 午後 8:45 [ がらくた・おやじ ]


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