おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

全体表示

[ リスト ]

ルーヴルその5

イメージ 1

高く結い上げた髪のようなものや太腿からコブラが鎌首を持ち上げ、頭の側面からはライオンその他数種の動物の頭が生えている。四臂で、屹立した男根、いかつい顔とくればシヴァの忿怒相バイラヴァ?……でも第3の目が無いな。

さらには、身体中が羽毛(?)で覆われ、飛行機みたいな翼と尾羽まで備えている。キャプションには“ベス神 …プサムテク一世… B.C.664-610”とある。……そういえば、ここは古代エジプトの展示室だった。

古代文明の中でも、とりわけエジプトの美術品は、スタイリッシュでオシャレな印象が強い。動物の頭や身体を持つ神像にしても、クールかつモダンに造形処理された印象があったから、このいかがわしいブロンズ像には面食らった(というかとても惹かれた)。

古代エジプトでは異種イメージの合成を、モチーフを抽象化したプロダクトデザインのような処理をすることによって、外科手術的なグロテスクさや不自然なイメージに陥るのを回避しているのが通常なのに、このベス像ときたら、動物の頭の付け方などまったくぶっきらぼうだ。中央の顔面の大きさも、身体部の自然なプロポーションに比べ、均整を欠いている。

この密教美術顔負けの複合神、エジプトでは魔除けの神としてかなりポピュラーだったらしい。その割にはイメージの洗練度が低いのは、美術本などで私達がよく知るエジプトの神々のように公的な信仰というより、むしろ民間信仰の対象で、図像的特徴が一定しなかったことにもよるようだ。

ベス神は、後ろ足立ちの擬人化されたライオンがベースになっているとか。時代が下ると、インド美術に於けるヤクシャのようなユーモラスな異形の小人イメージが護符などの造形となる。ところがこの像,侏儒系の造形でなく、左足を前に出して直立する古代エジプト人体彫刻の正統な基本型に、様々な構成要素を後付けした造形と考えられる。

蛇から人を守ってくれることから、このようにコブラを表していることもあるらしい。出産の守り神でもあるので、勃起したペニスはそのことと関係(ミンのような豊穣神のイメージ)するのかもしれない。人々の現世利益の要求に応えていくと、どんどん複合的なイメージになるのだろう。

時代が下る程複合度が増してゆく(ヴァージョンアップする)点も、仏教・ヒンドゥー教タントリズム美術の展開と符号する。人々の現世利益に対する欲望を形に表すと、それが素直な表現であればある程グロテスクな造形になる。そして、そこに“聖なるもの”を感じ取る精神文化もある。

古代エジプトの美術というのは、それを洗練というオブラートに包んだ印象が強かっただけに、この像は、ルーヴルの古代エジプト展示室で異端として孤軍奮闘しているようにも見えた。

閉じる コメント(1)

顔アイコン

足の形はエジプトと思わせるが、不思議だ。

まさに、孤軍奮闘であり、怒張した男性器は何をかたっているのであろうか???

2007/8/26(日) 午後 6:48 [ がらくた・おやじ ]


.
sug**uto
sug**uto
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事