おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

日本編

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『列仙伝』によると、毛女は始皇帝の宮女で、秦が滅びた後、山中に難を逃れ、道士から松葉を食することを教わる。その結果、身体中が毛で覆われて山林を飛び回る身軽さを備え、飢えや寒さをしのいで170年生き長らえていたという。170年というのは、この書が成立した漢の成帝の頃が、秦の滅亡からそれくらい経っていたかららしい。

『抱朴子』内篇十一巻「仙薬」にも毛女の記述が見られ、そこでは、衣服は付けずに黒い体毛を生やした姿で、猟師に捕まって山を下り、松葉を食べなくなるとあっという間に年老いて2年で死んでしまう。『列仙伝』では死んだ記述がないのに対し、ここでは、秦が滅んだ時の彼女の年齢+170年+2年で死んだことになる。こうなると、話の誇張はあったとしても仙人というより“狼少女”の類で、ちょっと現実味を帯びてくるが、それと同時に吉祥のありがたみは失せてしまう。

この「毛女図」、16世紀に日本で描かれた(模写かも)物らしい。禅画の図像の典拠など全く無知だが、中世ではけっこうポピュラーな画題だったのかな? 日本では道釈人物画には特定の信仰的背景はなかったというから、毛女信仰が盛んだったという訳でもないようだが、これほど精緻な図像があるところを見ると、これら2つの書物の簡単な記述よりは詳細な内容を持つ、中国の書物か絵画があったことは間違いなさそうだ。鳥の頭をした杖など、身に付けている品々にはそれぞれ図像的意味がありそうで、えらく気になる。

この絵では、足首に巻かれた脚絆のような物にその名残を留めながらも、体毛の描写は無く、鋭く伸びた爪が野生の存在を暗示しているだけで、宮女よろしく豊満な美女に表されている。しかも手にしているのは松葉ではなく、朝鮮人参のようだ。

いくら不老長寿になれるといっても、松葉によって獣のようなすがたになるのではなく、朝鮮人参で若く美しい宮女のまま不老長寿に…という吉祥画として、より人びとに受け入れられやすい改変がなされたのかもしれない。

それにしても、初めてお目にかかった作品で、とても気に入ってしまった。道釈人物画(といっていいのかな?)らしい土俗性と怪奇性を残しながらも、それを聖なる徴とするだけでなく、野性味や神秘性というセックスアピールに転化しているところが、この作品の魅力といえそうだ。


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