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メキシコ国立人類学博物館の中庭奥にある、当館メインホールのアステカ室。その広大な展示室は圧巻だ。石造群を照らす照明は見上げると夜空の星のようで、実際の空間以上のスケールを感じさせる。
左画像のガラモン・ピグモン系巨大石像は大地母神コアトリクエ。“蛇のスカート”という意味だそうな。右下画像中央の像もコアトリクエだが、こっちは巫女が儀礼用に髑髏の仮面、蛇を編んだ腰布、獣の足のような手袋とブーツで扮装した姿を写したもののようで、そう考えると誇張ではなくかぶりものを装着しているだけなのだから、写実的で自然な造形といえそう。
左画像のコアトリクエのような多面多臂で動物と人体を合成した異形イメージは、勿論アステカの専売特許ではない。この像を特異なものにしているのは、その構成原理だろう。この像には古代ギリシャ、オリエント、インドなどユーラシアを中心とした文明の宗教図像に見られるような、動物や人間の自然な構造に基づいた有機的なデザインほどこされていない。
例えば胸部に4つの掌、2つの心臓、生首が、人体構造とは無関係に配置されているし(これって首飾りなのだが、カーリー女神が首から下げる生首の数珠つなぎ <http://blogs.yahoo.co.jp/sugafuto/27448919.html>とは違い数が少なく、しかも大きくて、恣意的な配置に思える)、両肩は唐突に蛇の頭になっている。さらに独創的なのは頭部だ。実はこれ、2匹の蛇が向かい合って1つの顔のように見せているのだ。だから右上画像に見られるように、背中側から見ても後頭部に同じ目や口が描かれている。このアイデアには実に魅了された。
レリーフとしての平面性を丸彫りの彫刻にそのまま持ち込んでおり、このことは平面的イメージが丸彫りになることによって自然な立体表現になることへの拒絶を意味している。つまり、平面的虚構性、装飾性が、着ぐるみのようなリアルな実写ものとしての再現を不可能にしている。フィギュアなどのような単純な2Dから3Dへの移行ではなく、そのどちらの空間にも属している(または属していない)ところが、この像の聖なる存在としての強度といえそうだ。
アステカとくればすぐに生贄の儀式の方に話がいってしまうので、そういったお決まりのパターンは避けたいのだが、人の心臓をえぐり出し、生皮を剥いで身に纏ったり、バラバラに切断して食したり等、人体の解体と再構成を実際にやってしまうリアリティーが彫刻に反映されているのは確かなようで、文明の存続と引き換えの死に直結する感覚が強烈な印象を与える。
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しかし、すごいデザインですネ。
どんな発想・ひらめきがあったのでしょうか???
2008/12/19(金) 午後 1:56 [ がらくた・おやじ ]
おびただしい数の人身御供か、それとも世界の滅亡か。2つに1つしか選択肢の無い文明の造形? 彼らの気持ちをおもんばかると理解出来るのかも。
2008/12/20(土) 午後 8:58 [ sug**uto ]