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写真はこの辺りで最も大きい寺、マハーデーヴァ(シヴァ)寺院(13世紀、写真下)とその方杖彫刻。
皆”シェ〜”のポーズをとっているが、このポーズを見て、方杖上部になんで葉っぱがあるのかがようやくわかった。これは“ヤクシー”がルーツなのだ。
まだ仏像が造られる以前の時代から、仏陀の遺骨を奉納したストゥーパ(舎利塔)の周りの垣や鳥居に、樹木の精霊ヤクシャ(夜叉)と共に、腰をくねらせて樹の枝を片手でつかんでいるヤクシー(夜叉女)が盛んに彫刻されていた。宝飾品のみを身につけ、巨乳と股間をさらけ出した姿は、豊穰と魔除けを司る仏法の守護者とされる。正倉院の有名な樹下美人図「鳥毛立女」のルーツでもあるらしい(まあテーマとしてはそうだろうが、イメージはつながらねー!)。
で、その由緒正しい護法神の伝統はヒンドゥー教寺院でも方杖彫刻として受け継がれているわけである。仏伝図で摩耶夫人が釈迦を脇の下から出産する場面にも、このポーズが流用されている。
このやたらヘルシーでグラマーなヤクシーと対極に位置するのが右のチャームンダー(カーリー)。醜悪でミイラのように痩せこけた老婆のイメージ(オッパイ垂れてるし)は、西洋ではまさに魔女そのもの。でも彼女は、神々を打ち負かした魔神を、狂喜しながら血みどろの戦いで殺戮する、夫シヴァをも凌ぐ最強の軍神であり、また、当時最も恐れられていたハンセン病や疫病を自ら引き受け、患者を救う女神。ヒンドゥー教徒にとって、怒らすと怖いが男神より頼りになる死と恐怖の象徴(ヤクシーにはじまるインド女神像の最終形態ともいえるかも)。
左は「ラーマーヤナ」で主人公ラーマの魔王退治を助ける怪力の猿神ハヌマーンだろう。こっちは孫悟空のルーツとか。
こういった面々に軒下で守られていれば実に安心だが、この寺院の方杖彫刻の最大の魅力はむしろ、その足下に踏みつけられているカップル達ではないだろうか(パナウティその3に続く)…。
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