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パールシュヴァナータの南壁面の三層構造の彫像群。彫像がなくなってしまった三層目中央の龕右側には“その1”で紹介したヴィシュヌとラクシュミーがある。上から一層目は飛天のカップルで、その間の凹面にはミトゥナ。二層目は主にヒンドゥー神のカップルで、凹面はやはりミトゥナ。三層目も主にヒンドゥー神のカップルで、凹面はシャルドゥーラと呼ばれるライオンのような聖獣。これら洗練された作風に紛れて異彩を放つのが、ナーイカーと呼ばれる単独像。特に下の四作品は、カジュラーホのユニークな女性像として紹介されることが多い。
左は、現在のインドにもある風習のように、足の裏を赤く染めているのか、吉祥文を描いているのか、いずれにしても大胆なデフォルメで、20世紀彫刻のようなモダンな造形感覚。
左から2番目はアイラインを引いているところ。3番目は左手に赤子、右手に果物の房を持っている。この2体は写真でもわかるとおり、南壁面の上から三層目にある。全体的にすらりとした体型の彫刻が多い中、頭部が大きくボリューム感たっぷりの体型で存在感がある。
それに比べるとパールシュヴァナータ北壁面にある右端写真の像は、手足が長くて頭が小さく、かなり大柄に見える。インド舞踊で踊り手が鳴らし、重要な音響効果にもなる鈴の付いたアンクレットを着けているところ。
決まり事の多い宗教的図像の定型からはずれ、均整を欠いたプロポーションと、女性の日常のさりげない仕草に色香を求める歌麿のような世俗的主題は、単調になりがちな宗教的図像に魅力的なアクセントを作っている。
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