おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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同じカジュラーホのジャイナ教寺院でも、玄関ポーチから主祠堂の間に集会堂を設ける、カジュラーホ寺院の基本形式を完備したパールシュヴァナータと違い、アディナータ(ジャイナ教第1代祖師)寺院は、後補で壁面彫刻の無い玄関ポーチと、主祠堂のみという小さな寺。従って彫刻は、主祠堂のシカラ(尖塔)の外壁にしか残っていない。

にもかかわらず、この寺の彫刻はカジュラーホの他の寺院では見ることの出来ない、魅力的なナーイカー(世俗的女性像)に出会うことが出来る。

世俗的主題であるが故に宗教図像の制約から自由であるナーイカーは、どんな女性のポーズがよりセクシーなのか(いかにシャクティを表現出来るか)を写実的に探求している。おそらくデーヴァダーシー(寺院付の踊り子)や宮廷女性、はたまた遊女をモデルにポーズをとらせてもいたのだろう。そういう点では、古代ギリシャ、ヘレニスム期の女神像も同じかもしれないが、大きな違いは、アディナータの女性像の、おそらくはダンスやヨーガで鍛え抜かれた贅肉のない肢体と、胴や手足を大きく捻った、柔軟かつ緊張感あふれるポーズである。ヘレニスム彫刻のスポーティーとはいいがたい、ふくよかでリラックスした静的な女性表現とは対象的だ。

インド中世=密教という神秘的イメージとは程遠いが、考えてみれば、世界広しといえども、近代以前の美術でこれほどスポーティーな女性の写実的肉体表現というのは無いのではないか。11世紀の建立といわれるから、日本では源氏物語の時代。平安女性がこれらのポーズをとったら、肉離れ必至である(今でもそうか?)。

他のカジュラーホの寺院はもっと形式化、抽象化していたりデフォルメしたりしているので、あまり生身のモデルを写生したという印象は受けない。その点、アディナータの彫刻には、芸術家とモデルの共同作業による美の探求という、絵画、彫刻、写真を含めた近代芸術の課題を見てとることも出来るのでは。

裸体表現を伝統に持つ西洋も、女性の裸体と世俗性が結びつくのは19世紀後半のマネあたりから。風俗や思想的背景が違うとはいえ、ある意味アディナータ寺院壁面彫刻の先進性には驚かされる。

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