おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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雲岡その2

イメージ 1

大仏のある石窟は、普通前壁があるので、離れた距離から全身を見ることはできず、窟外からは、前壁に穿たれた窓越しに顔を拝むのみ。全容は窟内から見上げる角度でしかを見ることができない。しかも、曇曜五窟は東大寺の大仏殿より、像に対して内部空間が狭く、“その1”の第18窟のように、近接距離から急な角度で見上げることになる。

この第20窟も、今は崩落しているとはいえ前壁があったわけだから、かつての大仏の見え方は、上の画像か、それよりもっと仰角が大きかったわけで、遠近が強調されて実際以上に巨大に見えたことだろう。

ところが様々なメディアで紹介されている第20窟の画像は、ほとんどが前壁の位置より外側から大仏の全容を写したもので、仰角というより水平視に近いものが多い。

東大寺の大仏が、見上げて拝むものなので、わざと頭の大きいプロポーションになっているというのは良く知られていることだ。つまり、このことは、本来見るべき角度以外から見るとプロポーションが崩れるということを示している。

例えば、第20窟の本尊右にある脇侍仏立像などは5頭身に満たないので、水平視のアングルから撮影すると、頭の比率が大きくなり過ぎ、寸詰まりのマスコット人形みたいでスケール感をいちじるしく失う。

さらに、斜め横からの水平視という、前壁があれば不可能だったこのアングルの画像は、本来見えないはずの本尊の肩の後側が見えてしまい、その結果、肩から上腕部にかけてのシルエットが極端にデフォルメされ(腕が急に太くなって見える)て、バランスの悪い彫刻に見えてしまう。(因に、左下の画像は若干仰角である為、本尊、脇侍ともデフォルメがましな方ではある。)

雲岡第20窟が、現存最高の大仏だと勝手に思っている私としては、このような完成度の低い彫像としてのイメージが流布していることは、何とも口惜しい。

前壁が崩れて不規則な岩肌のテクスチュアが露になり、形体もデフォルメされて、彫刻的面白さが増したのは確かだ。しかし制作当初の意図を反映しない画像ばかりなのは如何なものかと思う。

弟20窟は後壁の状態からもわかるように、堂内は4分の1球状に近い形をしていたと考えられる。ちょうどプラネタリウムを半分にしたような天球的空間は、やはり宇宙論的イメージのとても強いものだったのだろう。

仏教思想など解らなくても、仰角による上の画像のようなイメージならば、制作当初の宇宙論的身体の偉容を、リアルなものとして感じ取ってもらえるのではないか。

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