おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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インド博物館その3

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資本主義の発達による増産指向と宗教的道徳観の後退、大衆の欲望をダイレクトに反映したセクシャルイメージの商業化。そうした条件がそろった第二次大戦後のアメリカに於いて初めて、極端に大きな胸と尻、極端に細く括れた腰をもつヌードイメージが成立したと勝手に思っていた私は、学生の頃、こうした彫刻が2千年近くも前の、しかも仏教遺跡に存在することを知って驚いた。

こうした下腹部も露なグラマー美女が、ずらりと仏塔の周りを囲む欄楯に表された理由(言い訳?)はどうあれ、多くの民衆をそのエッチな魅力によって惹き付ける目的があったことは否めないだろう。

ビハーラ(僧房=僧の生活と修行の場)ではなくチャイティヤ(ヤクシャ、ヤクシーなどの精霊の宿る場所。仏教成立後は、仏塔またはそれを祀った礼拝堂)には多くの信者を呼び込み、寄進や布施を集めるアトラクションが必要だったのだ。勿論そこには、仏教の教えを絵解きするための仏伝図や本生図も描かれている。

結局のところ、経済効果を無視して大宗教の美術を語ることなど無意味なのだろう。

そういう意味では70年代、テレビに客を奪われた映画が、“ポルノ解禁”というアドバンテージを利用して、ポルノ映画以外でもストーリー展開とは無関係に女優を脱がせたり、ベッドシーンを挿入したりして入場者を増やそうとしたのと変わりないかも。

勿論ヤクシーの方は、シャクティズムというインド土着信仰の重要概念と、豊穣多産、不死再生という現世利益への願いという特殊事情が前提となる。宗教的道徳観の後退などではない。


そんなわけで、欄楯彫刻であるこれらのヤクシー、クシャーナ朝(1〜3世紀)にマトゥラーで数多く造られた典型的な例といえる。ただ、最もポピュラーな形式である“その2”のヤクシーのようなシャーラバンジカー(樹下美人)ではなく、もっと世俗的な貴婦人もしくは遊女が描写されており、その点では、“その1”のナーイカーに近い(といっても“その1”のナーイカーは樹下美人形式が復活しているからややこしいが)。

だから、こうして並んだ姿は、ポーズだけ見ればファッション雑誌(体型でいえば男性雑誌)のグラビアのモデルと変わりない、えらくモダンなものだ。

でも、キモカワの侏儒に乗っかっているところから女神(精霊)であることはあきらかで、“その1”のような、中世ヒンドゥー教美術のナーイカーの足下にまとわりつく小さな人物(“その1”では“いったい何処見とんじゃ!”の人物)はその世俗化した変形なのかもしれない。

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