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レンブラントの肖像画家としての歴史的評価を決定づける要因に、ライティングがある。無表情な顔に深い陰影を与え、それが人物の思索的な内面表現を産みだしている。
彼の特徴的なライティングのひとつに、この画像のような逆光がある。といってもこれほど極端ではない。まあ、客からの注文制作による肖像画で、こんなライティングをしたら怒られるだろうから、自画像に多いみたいだ。
善化寺大雄宝殿の二十四諸天には文官形の天が何体かある。画像の2体は北壁と南壁に向かい合わせに並べられた諸天のそれぞれ東端の像で、名称はわからないが、この2体だけ入口のある東壁を背に西を向いて立っており、堂内正面奥の五仏を拝する形になっている。
中国の人物画にはとても写実的なものがあるにもかかわらず、西洋絵画のように陰影を表現しないのは、それが不吉とされたからといわれるので、このようなライティングを意図して造像、設置したのではないかもしれないけど、当時の彫工達には、光による演出効果という発想はどの程度あったのだろうか。
いずれにせよ、現状としては、文官という世俗の人間と変わりない外見の彫像を、入口からの逆光で浮かび上がらせることによって聖別し、深遠な印象を見る者に与えることになっている。
また、衣服の文様までレリーフ状に表現されており、このライティングだとそれも際立って美しい。右画像の袖には龍が描かれている。もとは極彩色な訳だが、暗い堂内では、色彩はおろか文様の輪郭すら、このようにしないと際立たない。この点は、光の効果を意識したものなのだろうか。
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