おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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それにしても「ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展」とは、タイトル長過ぎ。その割には人は良く入っていた。

”190点の選りすぐり”とうたってはいるが、退色を避けるため、当のギメ美術館ですら常設展示をおこなっていないのに、本当に色の状態の良いものを、何ヶ月も巡回する展覧会に貸し出すわけが無いと思う。だから海外の所蔵品は保存状態がいいと行っても、出品作の色に関しては最初から期待していなかった。

最近、新しいシリーズのモチーフとして明和期の錦絵をイラストレーターで描き起こしているのだが、美人画の髪の生え際が細すぎて、印刷物の図版では確認できない。尤も、オリジナルをそのままパスで再現するつもりは無く、制作に用いる素材にあわせてアレンジしていくつもりではある。でもだからといってオリジナルの細部がどうなっているか全くわからないのでは話にならない。

そこで、せめて線の摺の状態の良いものを期待して、単眼鏡を携え、ハイセンスな花壇のある天王寺公園を通り抜け、大阪市立美術館にやってきたわけである。

というわけで、自分にとってこの浮世絵名品展のテーマは、勝手ながら“生え際”である。

いざ入館してみると、線はとてもシャープで、エッジが欠けているような状態の悪い出品作はなかったので一安心。生え際に関しては,髪の太さなど単眼鏡で見たらかなりまちまちだろうとタカをくくっていたのに、拡大しても等間隔で同じ太さの線が整然と並んでいるので愕然……一体どうやって彫ったのやら。

それでも、明和年間のは規則的な直線なので、まだなんとかパスで再現出来そう。寛政年間の大首絵になると、線ではなくもうリアルな“髪”。実際の髪の毛より細いかもしれない複雑な曲線を、筆のしなやかさを損なわずに彫っているのだから恐れ入る。


この展覧会の目玉である北斎の竜虎図は、これが本当に対幅だとしたら、虎図と龍図両者の構図と色のコントラストは驚く程大胆だ。両者の共通点と言えば、青い色の眼だけなのだから。

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