おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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故宮博物院その5

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この弥勒倚像、“15世紀 西蔵”とキャプションに書かれていて、中国製ではない為か、背面の彫刻のインド風が目立ち、そのおおらかで活き活きした造形が、この珍宝館の展示品の中では異色だった。

それにしても最上部のラマ像はもちろんのこと、背面彫刻と中尊の作風が違う。背面彫刻がオリジナルで、ラマ像と中尊は後補なのか?中尊の顔はさらに生硬な出来で、これなんか後補の後補かもしれない。

通常なら、破損部分を後の時代に補修するというのは、オリジナル部分とのバランスが悪く、がっかりもの。でも、そこはさすが“複合性”のチベット美術!? これはこれで様になってる。背面のキールティムカ(右上画像)、マカラ(右中)、脇侍菩薩(右下)のマスコット的にチャーミングな自然主義的造形に対し、中尊の造形は抽象的に洗練されたもので、説法印を結んだ長過ぎる指や、両脇の大き過ぎる天衣などのデフォルメも魅力的ではある。

中尊の顔が身体に比べるとでか過ぎるからといって小さくすると、その上のキールティムカの方が目立ってしまうし、周囲の装飾にも埋もれてしまう。背面彫刻のボリューム感と質の高さに押されつつも、何とかこの大顔面で対抗し、バランスを取っているのだ。

ところでこの弥勒、王族のコスチュームで説法印とくれば、兜卒天で下生を待つ彌勒菩薩な訳だが、文献によっては同じスタイルの弥勒倚像が彌勒仏(弥勒菩薩が56億7千万年後!?に下生して悟りを開くという未来仏)と表記されていたりする。

数ある仏像の中で、その初期からあるとされる古いキャラの弥勒が、仏教の最終形態においてどのような立ち位置にあったか全く無知なのでわからないが、密教では菩薩形の如来も多いし、この弥勒は菩薩と如来の複合イメージと考えても良さそうな気がしてきた。

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