おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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善化寺その2

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本来、仏像に施された彩色が剥落、退色したり、持物が逸失したりすると、その仏像は、その尊格を特徴づける図像的な決まり事に倣っていないので、尊格としての職能を果たせないことになる。要するに、ご利益が無くなる。

従って、その尊格の職能を保つ為に、造像当初の状態を再現しなければならないわけだが、素材や技術が後代に維持されていない場合、再現どころか、その仏像の美的価値が著しく損なわれるというジレンマがある。

日本の仏像の場合、文化財的価値の高い場合は現状維持を尊重するあまりか、埃さえ払われずに仏像に降り積もったままというのを良く見かける。

私が訪れた時の善化寺大雄宝殿の二十四諸天はその両方。つまり、部分的に後代の調子はずれの補修彩色がされており、埃もかなり積もっていた。こういう場合、白黒で撮影した方がその像の本質的な素晴しさが伝わるような気がする。白黒なら出来の悪い彩色も、埃などの汚れも、陰影の中に溶け込み、邪魔になったりしない。

“その1”の向かい合う鬼子母像と訶梨帝南像の西隣にはそれぞれ2体ずつ向かい合わせに忿怒の武人像が並んでいる。どうやら四天王らしい。楽器を持っている天王像なんて珍しいけど、中国化された持国天には、左画像のように阿形で琵琶を抱えて仁王立ちというのがけっこうある。琵琶とはいえどこの風情、琵琶法師とは趣きが違い、ヘヴィなロックが聞こえてきそうだ。

右画像は訶梨帝南像東隣の像で金剛力士だろう。この像、二十四諸天の中では特にプロポーションが崩れていて、真横から見るとかなりマヌケなのに、このアングルだと迫力がある。

自然な人体造形が崩れているのがむしろ異様な効果を生んでいて、日本の金剛力士の人間的な怒りに対し、こっちはもっと鬼気迫るものがある。黒曜石の黒目部分が無くなって穴が開いており、伎楽面のように見えるのも不気味さを助長している。背景の壁画の如来の光背も、まるであつらえたようにマッチしている。

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