おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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西塔門の壁面彫刻もこれくらい中央入口から離れて来ると、北翼、南翼共、造形的な試行錯誤を終えた安定した様式を見せる。

表現上の葛藤が無くなると、表面的な美しさにより神経が注がれ、随分浅い彫りで無駄の無い制作行程に則った繊細な装飾を展開している。右画像の南翼のものは頭飾の尖塔が7本になったりと、装身具がよりゴージャスになっているのがわかる。

そうした神像的表現から逸脱した世俗性は、特に顔の肖像性に強く現れる。スタイルとして安定しているからこそ顔の個性表現が際立ってくるのだ。

右画像は、例の “つながり眉毛” のアンコール・ワット様式を踏襲しながらも、鼻筋が通ってなくて、二重瞼の大きな眼をした親しみやすい表情で、神像的な形式性から逸脱した個性を感じる。今のカンボジアでもよく見かけるクメール系の風貌だ。

左の北翼のデヴァターは、そうした南方系とは明らかに違い、眉が薄く、一重の小さな眼で、小鼻もエラも張ってない、どちらかといえば大陸系の特徴を持つ。

日本で言えば縄文系と大和系ぐらい違う2体に共通するのは、分厚い唇の大きな口と ”ケツアゴ”。他のデヴァターにもだいたい共通する。この二つは美人の条件として外せなかったのだろうか?

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