おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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アンコール・ワットの環濠に掛けられた200m近い陸橋を渡って西塔門にたどり着くと、最初に迎えてくれるのが、中央入口両脇に彫られた2体のデヴァターだ。

アンコール・ワットの2000体に及ぶといわれるデヴァターの内,最も彫りが深く、彫刻的な重量感やモニュメンタリティーがある。

これらの像も、他のアンコール・ワットのデヴァター達と同じく、ニューモードに身を包んでいるが、やはりその彫刻的量感は、他とは決定的に異質なイメージを見る者に与える。

それは、装束のニューモードに像表現が対応しきれていないことから見ても、チャウ・サイ・テボーダ、トマノンのそれらより古風にすら思える。

装飾性、非対称性、柔らかで軽やかな曲線が特色のニューモードのコスチュームに対し、肉身部があまりに肉厚で、姿勢も直立に近い。コスチュームと作風の整合感という点では、チャウ・サイ・テボーダ、トマノンの方がずっと洗練された造形になっている。

こうした不整合な感覚が、異質なイメージをつくり出しているのだろう。何せ聖域の最初の入口であるから、どうしても、守門神的威圧感が必要とされ、こういうイメージになったのかもしれない。また、頭上の植物や、手に植物を持つ等、インドの樹木神で、聖域を守護する役割を果たすヤクシーの図像の名残をとどめていることから、肉身部に豊穣多産と生命力を感じさせる量感と力強さも求められたのかもしれない。

その頭上の植物文と、うずたかい頭飾の関係も何だか窮屈で、イマイチ処理しきれていない。技術的には高く、かつ入念に仕上げられているだけに、ニューモードの装束を造形的に消化しきれていないのが目立つ。

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