おるたな美術館

旅先で出会った東洋美術、西洋美術

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西塔門東側壁面のデヴァターは身長が100〜110㎝くらいだが、中央入口から遠い通用門付近になると80〜85㎝くらいに小さくなる。

画像は北翼の通用門付近のもので、勿論小さくなったと言っても東側北翼壁面らしく装飾性よりもデヴァターそのものの表現に重点を置いた個性表現が面白い。それは彫工の作風のことでもあり、像のキャラクター表現のことでもある。

画像のような張り出した壁面の側面という狭い空間でもそれはよく現れている。いや、縦長の狭い空間故に身体のプロポーションという制約が無くなり、その分表現の自由度が増したと捉えることも出来るかもしれない。こうしたことが宗教美術的規範からの逸脱というアンコールワット女神像の傾向を助長する要因にもなっていそうだ。

壁面の横幅が狭いため、西塔門東側壁面のデヴァターの特徴である肩幅を広くとることがかなわず、また、単純に肩幅を狭くするだけではバランスがとれない為か、頭部より身体の比率を小さくして6頭身あまりのプロポーションになっている(別に6頭身そこそこなら普通だが、ここ西塔門東面では7.5〜8頭身が標準体型)。

それだけではない。眼の位置が頭部の中央より下にあるという子供顔のプロポーションになっているのだ。画像の乳房の大きさからいって子供でないとしても、実在の人物の頭を身体に比べ大きくすることによって幼く見せ、親しみやすくする現代のコミカルなキャラクター表現に近い効果がある。

いかにも勝ち気そうな左に、華奢でおとなしそうな右のデヴァターと、画像の2体はキャラクター設定も実にわかりやすい。特に左は、身体の線が曲線を描かずに、棒のような脚とぐっと力を入れたような腕で、まるで怒っているようなジェスチュアに見え、成熟した女性の優雅さよりカリカチュアされたコミカルな感覚を強調している。

また、他のデヴァター達の豪華なアクセサリーと違い、装身具も比較的シンプルで、ネックレスなど現代でもありそうだし、サンポットも短いので、まるでアンコールワットのデヴァターを現代の女の子風にアレンジしたパロディーのような錯覚を受けさえする。

頭飾もこれだと植木鉢状態だ。やはりこうした中心部分から離れた目立たない壁面程、“逸脱度” は高くなる。

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