|
“その1”の統率と均整のとれた上品な群舞イメージとは明らかに異なり、全体的に彼女たちは、ハメを外して思い思いに踊っているかのようだ。
上画像の4体は、ちゃんと踊ろうという雰囲気すら感じられない。左2体は、けっこう酩酊状態じゃないのか? 特に左から2体目は酒癖が悪く、曲がりなりにも踊ろうとする3体目に絡んでいる様子。彼女は迷惑そうだ。その右隣は憮然と知らん振りを決め込んでいるし、一番左端はこの酔っぱらいの友人で、腕を引っ張って連れて帰ろうとしているようにも見える。口元に笑みを浮かべてはいるが、連れの醜態に内心ブチギレなのかもしれない。……などと、真偽はともかくその諧謔味のある表現は、勝手な解釈を楽しめる。
一方、下画像は気合いの入り方が違う。そもそも“その1”や上画像とは演奏されている曲目が違うような気がする。かなりこっちはリズムが激しそうだし、他人と合わせようとする気配は無く、自分をアピールしようと必死だ。近く行なわれる王宮儀礼の踊子を決めるオーディションでもやっているのか?
これらはもちろん、彫工の技量が下手でこのような表現になっているのではなく、むしろ芸術的野心すら感じさせる。彼らは宮女たちを理想化するのでなく、リアルな姿としてこの経蔵壁面に記録したかったのだろう。とはいえ、経蔵という施設からは随分かけ離れたイメージではある。手に持つ団扇が扇子だったら某国バブル期の光景を彷佛とさせもするし、やっぱりスリヤヴァルマン2世の時代は超バブリーだったにちがいない。
|